牢獄があった建物から抜けると、そこには市が広がっていた。
傘屋に、和菓子屋、扇子屋や呉服屋が長屋のように並んでいる‥‥なんか、昔の日本の町並みみたいだな。
夜曇は私の腕を引っ張って、路地裏のような所に入った。
‥‥‥‥‥‥‥‥って、あれ?
私たちの後ろには、一人の男の人が立っていた。
いや、あやしいよ。
突然、追っ手が現れた。
‥‥‥やばい。
私は、夜曇を追いかけて走りだす。
‥‥なんか今日、走ってばかりだな。
何なの‥‥この人。
急にその人が止まったので、思わず私も止まってしまった。
男性は、私たちの前を指差す。
そう言われて、前を見る。
追っ手は私の手を掴み、ナイフを首に当てた。
嫁‥‥‥!?
首にナイフを当てられて、すっと血が出てきた。
どうしよう、どうしよう、このままじゃ‥‥‥
せめて、夜曇だけでも逃げ────────
‥‥‥‥え?
男性は、私を見た。
神の、上‥‥‥?
気付いたら、私は男性の腕の中にいた。
男性は、怖いくらいに微笑んでいた。
追っ手は、男性に攻撃を仕掛けた。
けど─────────────
見事避けられた。
夜曇は質問したが、男性が答える必要は無くなった。
長屋の屋根から、女の子が男性の名前らしき単語を発しながら降りてきたのだ。
立法さんは、司法さんに言われて私を放した。
神祓い師‥‥?
アレ‥‥‥?
追っ手はそう言って、私たちに襲いかかろうとした。
けど─────────
司法さんが手から何かを投げて、それが追っ手の顔に擦った。
司法が投げたのは‥‥‥‥簪?
行政さんは、溜息を吐いてから地面に手を置いた。
すると、辺りに魔法陣のような、でも札に書かれたような、そんな模様が地面に浮かび上がった。
立法は、私と夜曇を見つめた。
夜曇も、一礼をする。
すると、立法さんは笑って追っ手たちと共に消えていった。
嵐のような、人たちだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。