第61話

失ったもの
494
2022/04/05 15:18


七五三掛side





あなたちゃんが僕を選ばないと、知っていた。





大切な人がいることも、知っていた。





僕は見てしまったんだ。あなたちゃんが他の男の人とハグするところを。






車に乗り込んだあなたちゃんの頭の中にはもう、僕はいなかった。







僕は泣いていた。





たった一言、貴女に伝えたかった。





僕は出せるだけの大きい声を出した。





しめ.
しめ.
 あの時からずっと大好きでした!! 



なんて、届く訳ないけど。




七五三掛父.
 龍也、本当にいいのか……? 
しめ.
しめ.
 うん。泣 
しめ.
しめ.
 だって僕あなたちゃんのこと大好きだもん。だから、あなたちゃんには大好きな人と幸せになってほしいの。 
七五三掛父.
 そうか。 
西宮父.
 本当に何を考えているんだあいつは! 
西宮母.
 まさか、バレていたなんてね。 
七五三掛父.
 もういいです、今回のことは無かったことに 
西宮父.
 それだけは!どうかそれだけは。 
七五三掛父.
 いえ、今回は縁がなかったということで。では、さようなら。 
西宮父.
 はぁ。 
しめ.
しめ.
 短い間でしたが、ありがとうございました。 
西宮母.
 もう、私たち、終わりね。 
西宮父.
 これからどうしようか。 
西宮父.
 堀田h……そうだったな。 
西宮母.
 もう、全て失ってしまいましたね。 
西宮父.
 やはり、誘拐された子どもを育てなければ良かったな。 
西宮母.
 そうですね。 

プリ小説オーディオドラマ