第60話

最終決定
527
2022/03/11 23:05

西宮side



七五三掛父.
 はぁ、なんだか緊張しますな笑 
西宮父.
 そうですな笑 
西宮母.
 ドキドキしちゃいます笑 
七五三掛父.
 本当なら妻も連れてきたかったのですがね。 
西宮父.
 そうですね。 
西宮母.
 きっと龍也くんのことお空から見守ってますよ。 
しめ.
しめ.
 きっと見てくれてます!笑 
.
 ははっ。 
七五三掛父.
 こんなに可愛らしいお嬢様がうちの娘になるとは妻も思ってなかったでしょうね笑 
西宮母.
 可愛らしいなんて笑 
西宮父.
 こうやって言ってくださるのは凄くいいことだよ 



松倉くん、まだかな。



西宮母.
 本当にこの子でいいんですか? 
しめ.
しめ.
 僕は、あなたちゃんだから好きになれたんです! 
しめ.
しめ.
 あなたちゃんでいいじゃなくて、あなたちゃんがいいんです!! 
.
 ありがとうございます。 
七五三掛父.
 ここでもう婚約届け書いちゃいましょうか!
しめ.
しめ.
 えぇ、ほんとに? 
西宮父.
 それがいいですな!笑 



松倉くん、お願い。来て。



西宮母.
 印鑑持って来させますね! 
西宮父.
 おい、堀田ーいるか? 
家政婦.
家政婦.
 はい!お呼びでしょうか? 
西宮母.
 印鑑を頂戴 
家政婦.
家政婦.
 ただ今持ってきますね! 
家政婦.
家政婦.
 どうぞ 
西宮母.
 ありがとう 



堀田ちゃんの目に問いかけてみる。







でも堀田ちゃんは首を横にふった。








松倉くん。約束したじゃん。




七五三掛父.
 あとは西宮さんの名前と印鑑だけ 




お願いっっ……。来て。神様。お願いします。




西宮父.
 印鑑は綺麗に押したいからなー笑 
西宮母.
 慎重にね? 
西宮母.
 綺麗に!綺麗に!! 


お父様が押そうとした、







その時だった。











がちゃ




松倉海斗.
松倉海斗.
 待って!!! 
松倉海斗.
松倉海斗.
 ハァハァ 待ってください!! 
.
 松倉くんっ!! 
西宮父.
 誰だい君は 
松倉海斗.
松倉海斗.
 松倉海斗と申します。 
西宮母.
 何の用? 
松倉海斗.
松倉海斗.
 お見合いを中止にしてください!! 
七五三掛父.
 は??何を言っているんだ君は 
しめ.
しめ.
 …… 
松倉海斗.
松倉海斗.
 僕は、あなたちゃんが大好きです! 
西宮父.
 おい堀田、そいつを追い出すんだ。 
松倉海斗.
松倉海斗.
 待ってください!あなたちゃんはお見合いすることを望んでいません。 
西宮父.
 そんなもの関係ない、そういう運命なのだ 
松倉海斗.
松倉海斗.
 それでも親のつもりですか!! 
松倉海斗.
松倉海斗.
 血が繋がっていなければ誰とでも結婚させるんですか!!! 
.
 えっ……。 
しめ.
しめ.
 ……?! 
七五三掛父.
 血が繋がっていない……?ですと? 
松倉海斗.
松倉海斗.
 そんな事はどうだっていい! 
松倉海斗.
松倉海斗.
 結婚は、本当に大好きな人とするものです!! 
西宮母.
 それだけが全てじゃないわ。 
松倉海斗.
松倉海斗.
 でもっ!!! 
.
 お父様、お母様。私は松倉くんのことを心から愛しています。 
松倉海斗.
松倉海斗.
 え……?? 
西宮父.
 はぁ、どいつもこいつも。 
西宮父.
 いいさ、帰ればいい。本当の親のところへ。行けるもんなら行ってみろ 
西宮父.
 どうせ出来もしないくせに 
松倉海斗.
松倉海斗.
 分かりました。行ってきます。あなたちゃん行こ。 



そう言って掴んだ松倉くんの手は、震えていた。




西宮父.
 おい、堀田はここに残れ! 
家政婦.
家政婦.
 何故ですか?私は、お嬢様を一生かけて守ると決めていますので。 
家政婦.
家政婦.
 お嬢様は私の命よりも大事な人です。
西宮母.
 まぁ、、、! 
松倉海斗.
松倉海斗.
 では。 
西宮父.
 おい!待つんだ!! 


車へと走る私たち。





私たちを追いかけるお父様。





でも、七五三掛くんはぴたりと止まったまま。動こうとはしなかった。





そんな彼はこう言った。




しめ.
しめ.
 お幸せに。 
七五三掛父.
 何を言っているんだ!! 
しめ.
しめ.
 本当に好きな人には、幸せになって欲しいからね。 



車に乗り込んだ私たちに、彼は何と伝えたのだろう。





それは、車のエンジン音でかき消されてしまった。




でも、彼が泣いていたことだけは、サイドミラーから確認できた。






とても美しい涙だった。




しめ.
しめ.
 _______!! 


それが彼の最後の一言だった。




松倉海斗.
松倉海斗.
 はー!緊張したよぉ!! 
家政婦.
家政婦.
 松倉くんもう来ないかと思いましたよ!笑 
松倉海斗.
松倉海斗.
 ごめんなさい!セリフを考えてて。 
家政婦.
家政婦.
 本当に律儀な方ですね 
家政婦.
家政婦.
 これからどこへ行きますか? 
松倉海斗.
松倉海斗.
 あなたちゃん、本当のお母さんとお父さんに会いたい?? 
.
 本当の親……。 
松倉海斗.
松倉海斗.
 ずっとあなたちゃんのことを探してるんだよ。 
.
 あまり状況が把握できない。 
松倉海斗.
松倉海斗.
 わかった、とりあえず僕の家に行こう 
.
 うん。 

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