第4話

生き人形/綾辻行人
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2019/07/18 06:39

私は人形だ。

人形であらねばならない。


「くく……それで良い」


目の前で艶やかな金の短髪を揺らすのはこの探偵事務所の主、綾辻先生…綾辻行人である。

私は毎日のように、甚振られては無表情でいないとたれるという事をされていた。

習慣とも云える様になってしまったこの出来事を、どう表せばいいのかはよく分からない。


「また感情が出ているな…調教が足りなかったか」


冷徹な目で、彼は私を見据えた。

然しその奥では隠せなかった加虐的な喜色が混じっている。

そう、"調教"は彼の趣味でもある。


却説 さ て、如何調理するか」


心底愉しそうに綾辻先生は口角を上げる。

私は再び無表情の仮面を被って、彼を見上げる。


「あなた君も楽しみだろう?」


答える術は無いけれど。



貴方がタノシイのなら、私はそれで良い。







私達の歪な関係は…今も尚、歪なまま続いている。


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