第6話

夜の火事
1,165
2020/11/22 05:19
今日、任務でここに来たわけなんだけど、
最近、夜に火事が多発しているらしい。
それが普通の火事じゃなくて、
消火しようとしても消えないらしくて、
ひとつの家を包み込むように燃えるらしい。
包み込むように燃えるから、家の中に入って救助することもできない。



朝になると火は自然に消える。
そして、燃えていたはずの家はどこも焼けることなく、変わらずに建っているらしい
その代わりに、家の中には血がとんでいて、
ばらばらになった体や、骨が落ちている。










これ、絶対鬼だよね
火事は血鬼術だね


みんな毎夜毎夜怯えながら過ごしているらしい。
教えてくれた方もすごく怯えていた。
何も見えない暗闇から私たちを連れ出してくださいと、体が言っていた。








大丈夫、今日私が暗闇に飛び込んで光になるから。
今日はどこも燃やさないから。
私の故郷を暗闇に飲み込まれてたまるか

























あなた
!!
ヒリヒリする   鬼がいる
私の触感は特徴的で、鬼がいるとヒリヒリする。戦いに支障が出るほどではないけど。
急げ急げっ














あなた
いたっ!!



手のひらで火の玉をころがしながら歩いている鬼がいる

あなた
ぁ!!
投げる気だな!火の玉を!!
あれが家に当たるともえる??




私はドンッと地面を蹴って、火の玉に向かって走る
あれって刀で切れるもんなのかな!?
でもやってみるしかっ!!















『 スッ 』
斬れたっ!?















あ゛??

家は燃えてないから、大丈夫そう
邪魔すんなよ
あなた
家を燃やすこと??
そうだ
あなた
そりゃ邪魔しますよ
俺はこれから飯の時間なんだ
あなた
今日は食べられませんよ
あなた
昨日が最後のご飯です
は?
あぁ、お前、鬼殺隊か
一緒に食べてやる
あなた
無理ですよ
っ!!
鬼はまた火の玉を作って、私に向かって投げてくる
一気に全て真っ二つにする


すばしっこいやつめ!!
血鬼術 天狗火てんぐび
またひとつ火の玉を作って、投げる
あなた
ん??
血鬼術って言ったよね?
それにしてはさっきと変わらない気がするけど




あなた
!?
ひとつだった火の玉は次々分裂していく
どんどん数が増えていく
この血鬼術は天狗火、そのまんまだ
あなた
っ天狗火!!
なるほどね
ひとつからどんどん分裂していくんだ
もう50は超えたんじゃないかな
あなた
わっ
一気にこっちに向かってくる
綺麗に一つ一つ流れるように刻む





くそっ!!
血鬼術 川蛍かわぼたるっ!!



鬼は炎でできた弓矢を作り出す
矢先には火がついている
あれを飛ばすのかな?
でも確か、川蛍って言ったよね??
斬ったら、もしかして、





そんなこと考える暇もなく、火のついた矢が飛んでくる
初めは矢として飛んできたが、こっちに近づくにつれて、矢は消えていき、火だけがこちらに飛んでくる




斬ったら多分、川蛍だったら、あたりに火が広がって生臭い匂いがして、ぬるぬるしたものがとぶはず





だから一つ一つ弾いていく












そろそろ頸を斬ろうかな









あなた
えっ!?


鬼の体から炎が出てる
あれって近づいたら火傷する??







ここまで俺の攻撃を避けたお前でも、熱くて俺の頸は斬れない
あなた
いや、一瞬で斬るから大丈夫です
お前なんかに斬れるかっ!
あなた
私の足の速さなめられちゃ困りますよ
私を誰だとお思いで?
あなた
私は、鬼殺隊 鳴柱 黒雷あなた
っっは?!柱!?!?
あなた
雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃


『 ドンッ 』











か、雷が、な、鳴った、、?







『 ボト 』









は?








よし、斬れた
でも熱かった、、
火傷はしてないみたい


あ、鬼が何かぶつぶつ言ってる









頭の方へ歩いていき、鬼の顔を覗き込むようにかがむ





あなた
ねぇ、君
あなた
なんで鬼になったの??
あ、、えっと、そうだ、、、
お、俺、家族を、こ、殺されたんだ

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