國久先生について行き
1階の椅子があるところに座った。
先生に言われた言葉を
理解するのに少しだけ時間が必要だった。
(イギリス…?)
海外留学なんて滅多に無いチャンスだ。
まだ半年以上時間はある。
でも手続きとかしないといけないため
返事はできれば今週中にお願いしたいと言われた。
私たちは観覧席に戻って行った。
この会話をあの人に聞かれてるとは知らずに。
そう言って先生は戻って行った。
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海外留学、本当に行ってもいいのかな…
侑くんに…、もう会えなくなっちゃうのかな…
(なんで、コタがそれを…)
「頑張れよ」と言ったコタは
笑顔でみんなの元へ戻って行った。
ただその笑顔はすぐ暗くなった。
______ コタ、ごめんね…
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私は父に電話をしてから、寧々の元へ戻った。
彼女はとても驚いていた
彼女はそう言って笑った。
(私、やから?)
海外留学の事、ずっと寧々に相談しないと
って思ってたから、話せてよかった。
少し気分がスッキリした。
でも、この話 ______
侑くんにしたら、何て言うやろ…
侑くんへの気持ちはもう心にしまうって決めたのに考えるのはいつも侑くんのことばっかり。
本当に、侑くんが好きなんだと感じた。
(イギリス行く前に、侑くんに話すか…)
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決勝は 3-0 で稲荷崎の勝利。
インターハイ出場が決まった。
今日は現地解散で寧々は治くんと帰るらしい。
コタはおばさんが迎えに来るらしく
乗っていくかと言われたけど
私はいいと答えた。
______ 侑くんと話したいな…
そう思っていると
侑くんが声を掛けてきた。
1週間ぶりに一緒に帰ったけど
やっぱり侑くんの隣を歩くのは緊張する
彼を見ると少し頬が赤くなっていた。
(素で言うてた…、恥ずかしい)
彼の顔がもっと赤くなる。
無言の時間に耐えられない。
来年の春からは一緒に帰れなくなるんか…
ちゃんと侑くんに話さなあかんのに…
どうしたら、いいんやろ…
その日は彼が家まで送ってくれた。
試合で疲れているのに、わざわざ家まで。
そう言って渡したのは
パパの個展のチケット。
そう言って彼は笑顔で帰って行った。
侑くんに言えるかな、ちゃんと…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。