「大丈夫ですか…?」
翔太「これくらい平気です。」
びしょびしょに濡れて彼が強がる姿を見て
あの日を思い出して
また彼の前で涙を流しそうになった。
翔太「めめ、やっぱ今日無理だわ、ごめん」
渡辺さんは隣にいるメンバーの方に軽く謝った。
蓮「俺の家近いし、濡れても全然大丈夫だから。」
「あの、私はここで…」
翔太「あっ、あの!名前、教えてください…っ」
そうだった。
私は彼のことを知っているけど
彼は私のことを何も知らない。
「あなたと申します。」
翔太「俺は渡辺翔太です。
んで、こっちは一緒に仕事してる目黒蓮。」
私は知っているのに彼は知らない。
当たり前の事実に
胸が痛くなった。
蓮「あの、」
2人にお辞儀をして立ち去ろうとすると、
目黒さんに止められた。
蓮「あなたさんもすごく濡れちゃってるから
よかったら家来てください。」
渡辺さんにも勧められ
3人で目黒さんの家へ向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!