第17話

17.莉沙
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2022/02/18 06:05
樹里菜
莉沙、顔色悪いよ?保健室行く?
  ハッとして我に返る。樹里奈が心配そうに顔を覗いてくる。
莉沙
ううん、、大丈夫。ありがと
樹里菜
ならいいけどさー・・・
  星護。ずっと考えてしまう。


今、どこにいるの。何をしているの。


どこか遠くへ、消えちゃったみたい。
紅亜
2人とも!ちょっと外行こうよ!
  紅亜も樹里菜も、私の事を必死に励ましてくれている。優しく微笑んで、気遣ってくれている。

・・・あの夜から、もう2週間経っているのに、私はまるで変わらない。あの時、私は何が出来たんだろう。

私は、星護に何もしてあげられなかった。
今は、一時保護所という所に預けられているのだと、この前おばさんが、、星護のお母さんが教えてくれた。
おばさんも、病院に搬送された星護のお父さんに付き添っていたから、星護本人には会えていないみたい。星護のお父さんは、頭を打撲していたり、鼻の骨にヒビが入っていたりと重症だけれど、心配はいらないそうだ。


会えない。こんな時にも、会えない。辛いよ。



樹里菜
暑っついね!ってかもう7月になるじゃーん
  照りつける陽射しの中を、3人で並んで歩く。


もう、夏・・・。
紅亜
今年はいよいよ遊べないなぁ。地獄の受験講習が始まるのかぁ
莉沙
そうだね、、
  声が、上手く出ない。頭がぼーっとする。


暴行沙汰で、大怪我させちゃって、もしかしたら傷害罪で・・・。


いや、嘘。そんな、そんな事には、、。
紅亜
莉沙!莉沙!
莉沙
あっ、
紅亜
元気出そう。皆心配してるけど、影山君は、絶対大丈夫だって。ね!
樹里菜
そうだよ、だから莉沙が落ち込んでちゃダメだよ!笑って帰りを待つのが莉沙の役目だよ
  2人とも、、。
莉沙
ごめんね。ありがとう
  そうだよ、ね。一番苦しいのは、星護なんだ。


私が不安に駆られてるようじゃ、助けてあげられないよね。



・・・私が、星護を守るんだ。

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