秀一side
斎藤 「では今から一緒に回るペアを決めてくださーい!男女1人ずつですよー!!」
この肝試し大会の幹事である1組の斎藤の声で始まったペア決め。
好きな人に積極的に声をかけているヤツもいれば、中々ペアが決まらず困っているヤツも。
まぁ俺はもう決まってるから、何の問題も‥‥
「‥‥俺さ、頑張って姫崎さん誘ってみようかな」
「え、それって3組の?」
「やめとけって!あなたちゃん明智と付き合ってるんだぜ?絶対無理だって!!」
‥‥あったな。
あなたが他のクラスの男子にも人気があるってことは知ってたけど、ここまでとは‥‥。
まぁ、絶対に譲らないけど。
「‥‥俺、行ってくる‥‥!!」
「は?ちょっ、‥‥おい!」
そして決心したのか、暗い夜でも分かるくらい顔を真っ赤にして俺達の元へとやってきた1人の男子。
へぇー、いい度胸してるじゃん。
「姫崎さん!」
「あ、あの!肝試しのペア俺と組んでください!!」
そう言うと、そのままガバッと頭を下げたそいつ。
あなたを見れば、いきなりのことに状況が飲み込めないのかぽかんとしていた。
「‥‥っ、明智」
男を軽く睨みながらそう言うと、俺はあなたの腰に手を回してグイッと引き寄せた。
彼女を他の男と組ませるわけねぇじゃん。
もうこれ以上、この男の近くにあなたをいさせたくなくて俺はあなたの手を引いて東条達のいる方へと向かった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。