秀一side
みんなのいるスタート地点に着いたのはいいものの、未だに怖がっているあなたはずっと俺の腕にしがみついたままだ。
まぁ、無理もないか。
あとちょっとでスタート地点だというところで、もう一度幽霊の格好をした駒井が現れて脅かしてきたんだから。
あとは戻るだけだから大丈夫だろうと油断してたあなたは、それに驚いて戻る間もずっと肩を震わせていた。
ここまで来るとさすがに可哀想だな‥‥。
‥‥っ、ヤバい可愛すぎ。
俺のハグであなたの恐怖が少しでも取り除けるのなら、と思い周りからの視線を感じながらも俺はあなたを優しく抱きしめた。
小さな子をあやす様にあなたの頭を一定のリズムで優しくポンポンしながら声をかける。
そしてしばらくすれば、収まってきたあなたの肩の震え。
よし、あとちょっとかなと思ったその時だった。
たった今ここへ戻ってきたであろう川崎と東条のペアが駆け足で俺らの元へとやってきたのだ。
そして、東条の隣にはなぜか駒井の姿も。
俺の視線をさっした東条が説明してくれた。
あぁ、なるほどな。
そう言って幽霊役だった駒井を睨みつける川崎。
脅かすのが幽霊役の仕事なんだけど、あなたを溺愛している川崎にとってはそれは関係ないみたいだ。
そして駒井が幽霊役だと知らなかったあなたは驚いた様子。
よほどあなたに嫌われなくないのか、大慌ての駒井。
だけど、そんな願いも虚しくバッサリと切り捨てられてしまった。
まぁ、駒井には悪いけど俺にとってはそっちの方が都合がいいから。
だって、あなたが好きな男は俺だけでいいでしょ?
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。