秀一side
「うらめしや~」
肝試し大会が始まってから数分。
あなたと手を繋ぎながら歩いていると、突然木の陰から現れた幽霊。
まぁ、幽霊といっても生徒の誰かなんだけど。
この声からして駒井だな。
こんな定番な脅かしかし方されたって全然怖くないんだけど。
それに俺、幽霊とか心霊現象とか全然信じてないんだよね。
まぁ、俺の隣にいる子は別だけど。
大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、俺の腕にしがみつくあなた。
本当に怖いんだろうな‥‥。
少しでも恐怖を取り除いてあげたくて、優しく頭を撫でた。
そんな上目遣いでお願いされたら断れないでしょ。
まぁ、あなたのお願いを断るって選択肢はないんだけどさ。
懐中電灯の光を頼りに暗い林の中を進んで行く。
そしてそこから5分後、明かりに照らされたゴール地点が見えてきた。
うん、絵馬も置いてある。
並んでいる絵馬を一つ取ってポケットへ入れると、まだ少し怖がっているあなたの頭をポンポンとして今度はスタート地点に戻るため、また歩き出した。
NEXT
♡→10個以上=更新
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。