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ザックside
あの後、アイツの車でアイツの家に戻った。
車の中でもアイツは楽しそうに話してたがアイツ自身のことを聞いたら顔を歪ませたんだよな…言いたくねぇのか?
………だぁ!!辞めだ、辞め!!考えんのは嫌いなんだよ、こういうのはレイに任せた方がいいんだ
…でもなんだ、心臓の辺りズキズキすんだよな、これも好きってやつか?
よくわかんねぇな。
それより、嫌な予感がすんだよな…
なんなんだよさっきから…クソ、どうしちまったんだ…?
あなたside
___化け物____
_______気持ち悪い___死ね___
_____近寄るな___菌がうつる______消えろ
____お前なんて産まなきゃよかった____お前なんて要らない____
_________役立たず________人殺し_____
_____裏切り者______
「ここは…」
『あぁ、やっと起きた』
「……ボクか?」
『鋭いねぇ、その通りさ。ボクは君の過去のボク』
「…何の用だ?」
『嫌だなぁ、用なんて無いさ。ただ喋るだけだよ。せっかく君からチャンスを貰ったんだから』
「?僕はチャンスなんてあげた覚えないぞ?」
『えぇ?確かにくれたよ?過去を振り返ったんだもん』
「…」
『故意じゃなかったとしても思い出したんだでしょ?ボクの頃の過去を。あの苦い思い出を』
_____化け物____
_______気持ち悪い___死ね___
「…っ、」
『あーあ、苦しそうな顔しちゃって。もう過去のことは忘れるとか言ってたのに全然忘れてないし寧ろ悪化してるじゃん』
_________役立たず________人殺し_____
_____裏切り者______
「ぁ………あぁあ…」
『ねぇ、一応聞くけどさ、君、本当に過去を乗り越えられるの?ボクが見てきた中だとずっと今のままだけど。フラッシュバックして混乱して蹲って過呼吸起こして。誰かに助けてもらいたくて、藁にも縋る思いで這いつくばって迷子のままじゃん。』
「ち、ちが…」
『違わないよ。自分でもわかってるでしょ。今の君は過去を乗り越えようとしてるんじゃなくて過去を避けてるんだよ。またあの時の苦しみを味わいたくない、あんな記憶なんて要らないって。』
「…。」
『避けてるせいでまた同じ事が起こりそうになってるじゃん。いつまで過去と同じことを繰り返すつもりなの?いい加減気付いてよ。過去を避けることが自分の傷を抉って自身を見失ってることに。』
「…自身を、失う……」
『そう。今のうちから向き合わなきゃ、仲間なんて失うよ。……大切なんでしょ。ザックとレイと頼が。』
「…でも、話すのが怖い、僕の過去を曝け出すのが…」
『…今更何言ってんだよ。そんなこととうの昔の事だろ?確かに曝け出して吐く奴も居るかもしれない。だけどよく考えてみろよ。その3人はそんなことする奴らか?なぁ。お前が信じた人だろ?そんなことするような奴じゃないって分かってるんじゃないのか?』
「…でも迷惑に……」
『でもじゃねぇ!寧ろボクや3人からすりゃあ相談しないほうが迷惑になるわ。』
「…」
なんだか、とても暖かい叱責を受けたような…
今日は仕事は入っていないはず。
ゆっくりできるのも久しぶりだな…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!