治side
転校生が来たかと思えば_同じクラスだった。
初めて見た時も思ったんやけど、
間近で見るとほんまにシャレならんくらい
可愛い子や。
俺がジーッと見つめると、彼女は分かりやすく動揺した。
天然なんやな、可愛ええな。と思った。
ただ…一つだけ不可解なのはツムのことや__。
___部活前___
治「なぁ…ツム。」
侑「なんや。」
治「今日、…天宮ちゃんに会いに2の1来たんやろ?」
俺は何故かあなたを呼び捨てしていることを
ツムに知られたくなく、〝天宮ちゃん〟と呼んだ。
侑「あー、行ったな。それがなんやねん。」
治「本気なん?」
俺がそう聞くとツムは高々と笑った。
侑「はっ、本気なわけないやろ!
第1、女は皆同じや。
まぁ見てろやサム、そのうち好きって言わせたるから(笑)」
こいつ……ほんまに人間のクズやな。
そう思いながら内心どこかホッとした。
_____________________
あなたside
放課後になり、教室をでると担任の先生と出会った。
どうやら〝体操服〟が明日届くから、
昼休みに取りに来て欲しい。とのことだ。
それにしても1日目__なんだか疲れたなぁ
でも友達も出来たし!
『うん!1日目にしてはよく頑張った!私!』
よく頑張った__か。
〝よく頑張ったな、あなた。〟
若利がたまに褒めてくれる時の言葉。
だめだ、思い出しちゃいけない。
……どうしてるかな、もしかしてもう彼女とか……
ポロッ
『っあ……やばい、ハンカチハンカチ』
溢れ出る涙をハンカチで抑えながら、
誰にも見られていないことを確認した。
…良かった、大半の人は皆部活に行って
靴箱ががらんとしてる。
その時だった。
?「君、なんで泣いてるん?体調悪いんか?」
前から声をかけられ、一瞬呼吸を忘れてしまった
『っ!?え、あ、だ大丈夫です!
ごめんなさい…』
短髪に髪色が毛先だけ少し黒い…
シューズの色を見ると…えっ待って3年じゃん。
先輩だよ終わったよ。←
?「大丈夫ちゃうやろ。体調悪いんなら保健室行きや。って、もしかして噂の…転校生ちゃうか?」
顔を除きこまれ、一瞬驚いた顔をされる
いや驚きたいのコッチなんだが…
格好は見るからに部活生で練習着を見るに
きっとバレーボール部だ。
あ、ってことは治くんのこと知ってるんだろうな。
『はい、私転校生なんです…笑
あと、ご心配ありがとうございます!
でも、ほんとに大丈夫なんで!』
?「やっぱり、そうやろておもた。
大丈夫ならええけど、、じゃあ、俺は行くな。」
そう言うとすっ、と職員室の方へ向かう階段を上り始めた。
あれ…名前なんて言うんだろ。
『あ、あの!バレー部ですよね…
名前なんて言うんですか!』
はっ…自分でも信じられないくらい大きい声が出てしまった。
どうしよ…はずかしい!!
すると先輩は一瞬驚いた顔をして、
北信介や。とだけ言って行ってしまった。
絶対変な子って思われた、
なんか名前聞かないほうが自然だったかも……
もう早く帰ろ………(泣)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。