あなたside
ゆっくりと目を開けると__そこは保健室。
体を起こすとズキッ、と右頭部が痛んだ。
『あ……そっか、、私喧嘩を止めるために走って…』
そのまま侑の拳を受けたんだ。
『ふ……侑って凄いパワーなんだな。』
シャッ__
カーテンがゆっくりと開けられ、
保健室の先生が入ってきた。
先生「目が覚めて良かった…!
ここまで治くんが運んでくれたんだよ。」
『_!治が……
あとでお礼言わないとな…』
先生「殴られた後さらに床に強く打ち付けたから、
当分痛むと思うわ。
……でも、男の子同士の喧嘩によく向かって行けたね?」
ふふ、と笑う先生。
『あはは……私が勝手に向かって行っただけなので、、笑』
先生「そっか。
あなたちゃんにとって…2人は大切な
存在なんだね!」
『_!……はい、2人は私にとって特別な友達なんです。』
__その後、しばらく先生と他愛ない話をした。
先生「おっ、そろそろ……か。
じゃあ先生はもう行くから、氷渡しておくね!」
『あっ、はい!ありがとうございました!』
ガララ………
シャッ__。
閉じられたカーテンが再び開き、
次にやってきたのは………
『侑………』
視線を逸らし、どこか申し訳なさそうな顔をした
侑が立っていた。
侑「……あなた………その、、」
『ふふ、……どうだった?今日の部活。』
侑「_!……いつも通りやった。」
私がそう言うと、ようやく目を合わせてくれた彼。
『そっか…良かった。』))ニコッ。
侑「っ……」
スッ___
ゆっくりと私の頭に手を添える。
ちょうど___痛む場所。
侑「……殴ってしもて……すまんかった。」
『ううん、大丈夫。私が勝手にしたことだから、、』
侑「せやけど……お前を傷付けてしもた…。」
途端に泣きそうな顔をする侑。
私はゆっくりと彼の手に自分の手を重ねた。
『ふふ………そんな顔しないで…?
私は侑に笑っててほしいの。……もちろん、治にも。』
だから、
『2人があんな風に喧嘩してるとこ……見たく無かったんだ、。』
侑「…ごめんな、もうせぇへんから。」
『殴り合いはダメです。…わかった?』
侑「おう。」
『ふ、おりこうさん。』
重ねた手を下ろそうとすると、
ぎゅ、とその手を握られる。
『っ……/……?』
侑「俺な……お前の事……好きやねん。」
『う…うん、この間も言ってくれた、ね、、。/』
侑「お前が、、誰かを好きやったとしても……
俺はあなたが好きや。」
『…ありがとう。』
侑「……おるんやろ?好きな奴。」
『……うん。』
途端に恥ずかしくなって目をそらす。
侑「やっぱりそうよな……
はぁ……」
誰やねんそいつ…!と言いながら
布団に顔を伏せた。
『ふふ、………じゃあ、ヒント、、あげようか。』
侑「…!!欲しい!」
『そうだなぁ………彼は、、
1度私の大切な物を盗んだ事があります。』
侑「盗っ!?泥棒やんか!!」
なんでやねん!!と突っ込む侑。
…でも実際本当なんだから。
侑「なぁー、わかりずらい!!もう一個!!」
『だーめ、ヒントはこれだけです。
さ、帰ろう?』
侑「しゃんなしやなぁ。
よっしゃ、ほな帰ろか。」
鞄も靴も用意してくれていて、
今日は侑と2人で帰った。
『…治は?』
侑「…ああ、俺が先に帰っとくように頼んだんや。」
『そっか、帰ってお礼の電話しなきゃ。』
侑「……まだ痛むか?」
『もう平気だよ!』
侑「ほんまに?バカになってへんよな?」
『…………なってません。さようなら。』
玄関に着き、ドアを開ける。
侑「冗談やって笑……あなた!」
『ふふ、なに?』
侑「おやすみ。」
『うん、おやすみ。』
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あなたside
『__あ、もしもし、治?』
治「目ぇ覚めてほんまに良かったわ。
…もう大丈夫なん?」
『うん、しばらく冷やしてたおかげで、
腫れもひいたみたい。
……それと、運んでくれてありがとう、』
治「ええよ。それに…喧嘩止めようとしてくれて
ありがとうな。」
______治との電話を終え、お風呂へ入る。
『いっ……まだ少し冷やさないとな…笑』
それにしても…髪伸びたなぁ。
思い切って切っちゃおうかな?
そんなことを考えながら湯船に浸かった。
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in 宮家
侑「なぁ、サム、、」
治「なんやねん。ってアイス食うてるやん。」
侑「んまいで。
…でな、あなたの好きな奴……俺ヒントもろたんやけど。」
治「!!?どんなヒントや!」
侑「そいついっぺんあなたの大事なもん盗んだんやって。」
治「_!…………さよか。」
侑「な?わからんやろ?」
治「…せやな。」
侑「ほんまにいっはいはへやへん。
(ほんまに一体だれやねん。)」←アイス咥えてる。
治「おい、ツムお前……」
侑「ん?」
治「それ俺のアイスやんか!!アホ!!」
侑「はぁ?冷蔵庫に入っとるもんは誰のもんでもないやろ。」
治「てめ……」
侑「あ……?」
__ピタッ。
「「殴り合いはだめだからね。」」
侑・治「………」
宮マミ「(あら……珍しい。)」
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次の日。
さち「あなた!おはよ〜」
『おはよ〜!』
さち「そう言えば男バレのマネになったんやろ?!」
詳しく聞かせてや〜!と私の前の席に座った。
『月曜日から正式にマネージャーとして入部
したんだけど…
まだまだサポート面で勉強が足らなくて…笑』
さち「ほええ……あなたはやっぱり真面目やなぁ!
…ところで、今週他校と合同合宿なんやろ?」
『_!そうだった……』
すっかり忘れてたから何も準備してないや…
さち「マネってあなた1人なんやろ?…しかも女子やし。」
『うん、そうだよ!』
さち「そうだよ…ちゃうねん!!他校の男子部員に気をつけるんやで!?ナンパされんようにな?」
ああ…心配や…と胸元を抑えるさちに
大丈夫だよ!と言って笑った。
_____1時間目。
『(マネージャーの仕事も大切だけど、
勉強も同時に頑張らないとな…)』
今は数学の時間。
既に教科書の範囲は全て終わっているから、
今は自分の問題集を解いている。
『えっと……ここはなんの公式だったっけ…』
治「なぁ、あなた」
『なに?』
治「来月期末テストやんか。」
『うん、そうだね。
今のうちから苦手科目やっておくんだよ?
この間みたいにやればきっと今回も大丈b「あかん。」…え。
治「俺…三角比特に苦手やねん…」
『ええ……範囲じゃん…』
治「また勉強会しよ…?な?お願いや。」
『わかったよ笑じゃあ頑張ろっか!』
__そういうわけで来月の期末テスト前の予定は
全て「The・宮兄弟赤点回避大作戦」へと
変更されたのであった。
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部活にて。
監督「来週から合同合宿やからな。しゃんとせぇよ。」
「「ハイッ!!」」
侑「あなたも行くんよな?」))ボソッ
治「はぁ?そんなん…」
信介「…当たり前やろ。マネージャーなんやから。」
侑「そっ、そうですよね。(北さん耳よすぎんか…?)」
監督「__と言うわけでしっかり基礎練も忘れんようにな。
ほな練習開始!…あと、天宮。」
『はい!』
監督さんに呼ばれ、駆け寄ると
練習試合の日程表と対戦表をもらった。
監督「バレーの経験があるって聞いたんやけど、
ほなルールは大丈夫よな?」
『はい!大丈夫です。全力でサポート頑張ります!』))ニコッ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!