10月4日______。
私は今……物凄く頭を悩ませている。
『うーん…何が良いのかなぁ……』
明日は………侑と治の誕生日。
プレゼントは何にしようか、迷い中なのだ。
どうしようかなぁ、、
___そうだ!男バレの皆に相談してみよう!
『ねぇ、倫太郎、……ちょっといいかな?』
自分の席でスマホをいじっていた倫太郎に声をかける。
角名「なに?」
『実はさ……明日双子の誕生日でしょ…?
だから、プレゼント何がいいかなって、、』
角名「あー。プレゼントね。俺は去年から購買のモノ
適当に買って渡すだけだったから…」
『そうなんだ!私すごい迷っててさ…))汗』
その後沢山の案が出たが……
途中クラスの男子が話に加わり、何やら「エロ本」やら「メイド服でお出迎え」やら…
ちょっと訳の分からないことを言われてしまった。
ので、、
『信介先輩!』
3年の先輩にも相談してみることに。
信介「……なるほどな。明日は双子らの誕生日やったんか。」
『はい!先輩は何がいいと思います……?』
んー、と顎に手を添え考える信介先輩。
信介「……なんか買うんやなくて、
手作りのもんでもええんやない?」
『_!なるほど……手作り……いいですね!』))ニコッ
アラン「お、あなたちゃん。ここで何してるん?」
『尾白先輩!…今双子への誕生日プレゼント考えてて…
手作りのものにしようかなって!』
アラン「ええなぁ、(双子羨ましいわ。)
ほな、あいつら食いもん系好きやから…
クッキーとか…その辺でええんちゃう?」
なるほど……手作りのクッキー……か!
いいかも!♪
2人の先輩にお礼を言って、さっそく教室へ帰り
スマートフォンで材料を調べて…計画を立てる。
『買いに行かなきゃ…あとラッピングも必要だ。』
治「あなた、何してんのん?」
『ああ、治!…ふふ、秘密♪』))ニッ
治「…っ……さ、さよか……(ニッ……て可愛ええ……)」
________________________
部活終わり、
さっそく必要なものを買いに行くため、荷物をまとめて
早々と準備をする。
侑「あなた〜帰ろうや。」
『ごめん、侑!私用事があるから……今日は帰れないや。』
侑「…え、なんでや……」
治「用事や言うてたやろ。アホツム。」
侑「うっさいわ!!…ほな、夜道暗いんやから、
気ぃつけて行くんやで?なんかあったら俺に連絡や。」
『大丈夫!ありがとう!』
また明日ね!と2人に手を振り、ダッシュでスーパーへ。
『えーっと、、薄力粉と…無塩バターと……砂糖は家にあるから___』
次はラッピングの袋を買いに。
『よし……!これで材料全部揃った!
あとは家に帰って作って焼くだけ〜♪』
ガチャ__
『ただいま!』
「おかえりなさいませ、あなた様。」
『今日ね、クッキー作ろうと思って!材料買って来たの。』
家政婦さんと話をしながらリビングのドアを開ける。
天宮父「やぁ、おかえり。」
『あ。……父さん……(今日に限って休みだなんて……)』
「あなた様、先に晩御飯を召し上がってから
お作りになってください。私も何かお手伝い致します。」
『ほんと!?ありがとう!』
________________________
晩御飯を食べ、食器を片付けて……
すぐにクッキー作り開始!
手を洗い、卵やバターを用意する。
『えっと……あ、バターは常温に戻しておかないとだよね。』
「……お待ちください、あなた様。」
『へ?』
「バターは常温に戻すのが一般的ですが、そのままの状態で混ぜ合わせた方がより風味が良くなりますよ。」
『そうなの!?初め知った……ありがとう!』
_____1時間後____
あとは冷やした生地を形取って焼くだけ。
『……あ、そうだ。』
ガラッ…とキッチンの引き出しをあけて、
ひとつの型を取り出す。
『……侑、気づいてくれるかな。/』
形取った生地をクッキングシートの上にのせ、
オーブンで加熱する。
天宮父「…ん、何やらいい匂いがするね。」
『……これ、クッキーです。試しに食べてみてください。』
1番最初にテストで焼いたものを、
父さんに差し出す。
天宮父「うん、美味しいよ。これを誰にあげるのかは
しらないけど、、
きっと喜ぶんじゃないかな。」
『_!ありがとうございます。
(最近の父さんは……なんか変だな……)』
全てのクッキーを焼き終えて、
オーブンから取り出すと……
『おっ、いい色だ!……味は……』
パクッ、とひとつ食べてみる。
『んん!!んまっ!』
家政婦さんもひとつ食べて、「美味しいです!」と言ってくれた。
少し冷まして、ラッピングをして___
『完成〜!♡』
あとは明日渡すだけ!
『ふふ、ちゃんと作れて良かった。
あとは……喜んでくれるといいな。』
______________________
次の日の昼休み。
治と侑に渡しに行こうと思い、
昼練をしていると聞いて体育館へ向かう。
…………が。そこには……
女「宮く〜ん!!♡♡誕生日なんやろ〜?
誕プレ!受け取ってや〜」
女「ずるいっ!ウチが先やで!」
女「はぁ!?ちょっ、順番守れや!」
2人を囲むようにして…大勢の女の子が集まっていた。
『人気者って凄いな……))汗』
これじゃあ渡せないや……
後にしよう。と向きを変え、教室へ戻ろうとする。
侑「…はぁ、ほんまに邪魔や____って、あなた?
ちょお、どけ。俺の彼女がそこに来とるんや。」
『侑…?いいの?』
周りの女の子そっちのけで…私の方にニコニコと
向かってくる侑。
侑「ええんやあんなやつら。それより、俺に会いに来たん?
んもう!可愛ええなぁ〜♡」
ぎゅー、と私を抱きしめる侑。
『ふふ、実は……はい、これ。』
昨日作ったクッキーを手渡す。
侑「……!!これ………俺に……?」
『うん!!誕生日…でしょ、、?だから、、作ったの。//
誕生日おめでとう!侑。』
侑「…………っ……///ぁあああ好きやぁぁ♡♡
ありがとうな、あなた!」
ちゅっ。
『んっ、、ちょっと、人前で…!!//』
侑「ふっふ、見せつけたらええやん。」
『もう、………あ、あと治にも渡したくて…』
侑「……は?」
『え?』
私がそう言うと、いきなり真顔になる侑。
侑「まさか……サムにも作ったん……?」
『え……う、うん、、そうだけど……』
侑「………嫌や。俺だけがええ!!」
『ええ、だって今日は侑の誕生日でもあるし、治の誕生日でもあるんだよ?』
とにかく、治に渡してくるから!とまた体育館の中へ向かう。
侑「なぁー、、嫌やぁ〜俺だけがええのぉ〜!!」
後ろから抱きついてきて、なかなか離れようとしない彼。
『……もう、ちゃんと〝食べて〟よね?それ。』
侑「当たり前やんか!!彼女の作ったもん食わん奴があるかい!」
『(食べて早く気づいてよ……もう。/)
治…!って……凄いね………』
治の腕には沢山のプレゼントや手作りのものが。
治「俺だけのやのーて、ツムの分もあるんや。
ツム…毎年いらん言うて俺にやるんやで。」
『そうなの?』
侑「おん。せや。…ブタの作ったもん食えるわけないやろ。」
『侑。………その言い方やめなさい。』
侑「))ビクッ
……ハイ。」
『はい!これ。』
治「__!俺に……?」
『うん!誕生日おめでとう。2人とも。』
治「めっちゃ嬉しい…!……ありがとうな。」
『いーえ!後で感想聞かせてね?』
じゃあ部活でね、と2人と別れ教室へ戻った。
さち「お、渡せたんやな!」
『うん!』))ニコッ
_______________________
部室にて。
侑side
侑「うう……俺だけや思たのに!!」
治「……正直俺もびっくりしたわ。
あなたはツムの彼女やし……
俺には何もないと思とった。」
侑「まぁ、あなたは優しいからな。」
シュルッ_とリボンを解いて…中のクッキーを取り出す。
治「凄……綺麗なまんまるクッキーや!
いただきま〜す。」
パクッ、とクッキーを口に入れるサム。
「んまっ!!」と目を輝かせたかと思えば
一気に全部食べ終えてしまった。
侑「もっと味わって食えや……」
治「美味すぎたわ…また食いたい。」
じっ…と今度は俺のクッキーを見つめる。
「やらんからな!!?」と叫ぶと
わかっとるわ。と先に教室へもどって行った。
侑「じゃあ、俺もひとつ……」
クッキーを袋からひとつ取り出す。
侑「……ん?……これ………」
サムのクッキーは全部まんまるやったけど……
俺が取り出したクッキーは一つだけハート型になっていた。
侑「………っ//俺の事好きすぎやんか。……アホ。」
パクッ、と口に入れるとバターの風味がよくきいていて、
これホンマに手作りなん…?って思うくらい美味い。
侑「ふっふ、最高の誕生日やな。」
後でまたお礼言わんとな。
________________________
部活終わり。
あなたside
帰り道、治と侑と3人で帰る。
治「クッキーめっちゃ美味かったで、ありがとうな。」
『ほんと!?良かった!』))ニコッ
侑「ホンマに手作りなん?美味すぎやったわ。
(ハート型入っとったの、サムには内緒にしとこ。)」
『手作りです!!……あ、侑……気づいた?』
侑のクッキーの中に、1枚だけハート型を入れておいたのだ。
上の方に入れたから…気づくと思ったんだけど…
侑「ん?気づくってなんの話?」
『え、あ!ううん、なんでもないの…/』
気づかずに食べちゃったのかな……?
でも……美味しいって言ってくれたから…いっか!
家の前につき、2人に「また明日!」
と手を振って中へ入ろうとすると、
侑「サム、先に帰っとってや。俺コイツとちょっと
話すことあんねん。」
『……話??』
治だけ家に帰り、侑と2人きりになる。
『話ってなに??』
侑「……クッキー美味かった。」
『ふふ、良かった。』
侑「それと、」
グィ……と引き寄せられ、抱きしめられる。
『侑……?』
侑「…お前、俺の事好きすぎやっちゅーねん…//
ハート型とか……//」
『…!やっぱり気づいてくれたんだ……』
侑「ありがとうな。最高の誕生日やった。」
『ふふ、喜んで貰えて良かった。』))ニコッ
侑「こっち向いてや。」
『ん……っん。』
ちゅ…と唇にキス。
侑「ふ、ほなまた明日な。」
『ん…//また明日!』
帰っていく彼の背中を少し見つめて
自分も家の中へ入る。
『……ゲホッ、、ゲホッ、。』
あれ……なんか少し咳込むな……
まぁ、大丈夫だよね。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。