第106話

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2020/08/13 13:37
10月4日______。






私は今……物凄く頭を悩ませている。




『うーん…何が良いのかなぁ……』






明日は………侑と治の誕生日。





プレゼントは何にしようか、迷い中なのだ。





どうしようかなぁ、、


___そうだ!男バレの皆に相談してみよう!







『ねぇ、倫太郎、……ちょっといいかな?』





自分の席でスマホをいじっていた倫太郎に声をかける。




角名「なに?」




『実はさ……明日双子の誕生日でしょ…?

だから、プレゼント何がいいかなって、、』




角名「あー。プレゼントね。俺は去年から購買のモノ
適当に買って渡すだけだったから…」




『そうなんだ!私すごい迷っててさ…))汗』





その後沢山の案が出たが……




途中クラスの男子が話に加わり、何やら「エロ本」やら「メイド服でお出迎え」やら…



ちょっと訳の分からないことを言われてしまった。




ので、、






『信介先輩!』



3年の先輩にも相談してみることに。





信介「……なるほどな。明日は双子らの誕生日やったんか。」




『はい!先輩は何がいいと思います……?』




んー、と顎に手を添え考える信介先輩。




信介「……なんか買うんやなくて、

手作りのもんでもええんやない?」




『_!なるほど……手作り……いいですね!』))ニコッ





アラン「お、あなたちゃん。ここで何してるん?」




『尾白先輩!…今双子への誕生日プレゼント考えてて…

手作りのものにしようかなって!』




アラン「ええなぁ、(双子羨ましいわ。)

ほな、あいつら食いもん系好きやから…


クッキーとか…その辺でええんちゃう?」





なるほど……手作りのクッキー……か!



いいかも!♪





2人の先輩にお礼を言って、さっそく教室へ帰り



スマートフォンで材料を調べて…計画を立てる。





『買いに行かなきゃ…あとラッピングも必要だ。』






治「あなた、何してんのん?」




『ああ、治!…ふふ、秘密♪』))ニッ




治「…っ……さ、さよか……(ニッ……て可愛ええ……)」




________________________


部活終わり、




さっそく必要なものを買いに行くため、荷物をまとめて


早々と準備をする。




侑「あなた〜帰ろうや。」




『ごめん、侑!私用事があるから……今日は帰れないや。』




侑「…え、なんでや……」



治「用事や言うてたやろ。アホツム。」




侑「うっさいわ!!…ほな、夜道暗いんやから、

気ぃつけて行くんやで?なんかあったら俺に連絡や。」





『大丈夫!ありがとう!』





また明日ね!と2人に手を振り、ダッシュでスーパーへ。





『えーっと、、薄力粉と…無塩バターと……砂糖は家にあるから___』







次はラッピングの袋を買いに。







『よし……!これで材料全部揃った!

あとは家に帰って作って焼くだけ〜♪』






ガチャ__






『ただいま!』




「おかえりなさいませ、あなた様。」





『今日ね、クッキー作ろうと思って!材料買って来たの。』





家政婦さんと話をしながらリビングのドアを開ける。





天宮父「やぁ、おかえり。」





『あ。……父さん……(今日に限って休みだなんて……)』






「あなた様、先に晩御飯を召し上がってから

お作りになってください。私も何かお手伝い致します。」





『ほんと!?ありがとう!』




________________________




晩御飯を食べ、食器を片付けて……




すぐにクッキー作り開始!



手を洗い、卵やバターを用意する。


『えっと……あ、バターは常温に戻しておかないとだよね。』




「……お待ちください、あなた様。」



『へ?』





「バターは常温に戻すのが一般的ですが、そのままの状態で混ぜ合わせた方がより風味が良くなりますよ。」




『そうなの!?初め知った……ありがとう!』





_____1時間後____




あとは冷やした生地を形取って焼くだけ。




『……あ、そうだ。』




ガラッ…とキッチンの引き出しをあけて、


ひとつの型を取り出す。




『……侑、気づいてくれるかな。/』





形取った生地をクッキングシートの上にのせ、


オーブンで加熱する。






天宮父「…ん、何やらいい匂いがするね。」




『……これ、クッキーです。試しに食べてみてください。』




1番最初にテストで焼いたものを、


父さんに差し出す。





天宮父「うん、美味しいよ。これを誰にあげるのかは
しらないけど、、


きっと喜ぶんじゃないかな。」




『_!ありがとうございます。

(最近の父さんは……なんか変だな……)』






全てのクッキーを焼き終えて、



オーブンから取り出すと……



『おっ、いい色だ!……味は……』



パクッ、とひとつ食べてみる。





『んん!!んまっ!』



家政婦さんもひとつ食べて、「美味しいです!」と言ってくれた。




少し冷まして、ラッピングをして___




『完成〜!♡』




あとは明日渡すだけ!





『ふふ、ちゃんと作れて良かった。


あとは……喜んでくれるといいな。』




______________________

次の日の昼休み。




治と侑に渡しに行こうと思い、



昼練をしていると聞いて体育館へ向かう。





…………が。そこには……






女「宮く〜ん!!♡♡誕生日なんやろ〜?

誕プレ!受け取ってや〜」




女「ずるいっ!ウチが先やで!」




女「はぁ!?ちょっ、順番守れや!」





2人を囲むようにして…大勢の女の子が集まっていた。




『人気者って凄いな……))汗』



これじゃあ渡せないや……


後にしよう。と向きを変え、教室へ戻ろうとする。




侑「…はぁ、ほんまに邪魔や____って、あなた?


ちょお、どけ。俺の彼女がそこに来とるんや。」





『侑…?いいの?』




周りの女の子そっちのけで…私の方にニコニコと
向かってくる侑。




侑「ええんやあんなやつら。それより、俺に会いに来たん?

んもう!可愛ええなぁ〜♡」





ぎゅー、と私を抱きしめる侑。




『ふふ、実は……はい、これ。』




昨日作ったクッキーを手渡す。





侑「……!!これ………俺に……?」




『うん!!誕生日…でしょ、、?だから、、作ったの。//

誕生日おめでとう!侑。』




侑「…………っ……///ぁあああ好きやぁぁ♡♡

ありがとうな、あなた!」



ちゅっ。




『んっ、、ちょっと、人前で…!!//』




侑「ふっふ、見せつけたらええやん。」





『もう、………あ、あと治にも渡したくて…』







侑「……は?」






『え?』




私がそう言うと、いきなり真顔になる侑。



侑「まさか……サムにも作ったん……?」



『え……う、うん、、そうだけど……』





侑「………嫌や。俺だけがええ!!」



『ええ、だって今日は侑の誕生日でもあるし、治の誕生日でもあるんだよ?』





とにかく、治に渡してくるから!とまた体育館の中へ向かう。






侑「なぁー、、嫌やぁ〜俺だけがええのぉ〜!!」




後ろから抱きついてきて、なかなか離れようとしない彼。



『……もう、ちゃんと〝食べて〟よね?それ。』





侑「当たり前やんか!!彼女の作ったもん食わん奴があるかい!」





『(食べて早く気づいてよ……もう。/)

治…!って……凄いね………』





治の腕には沢山のプレゼントや手作りのものが。



治「俺だけのやのーて、ツムの分もあるんや。

ツム…毎年いらん言うて俺にやるんやで。」




『そうなの?』




侑「おん。せや。…ブタの作ったもん食えるわけないやろ。」




『侑。………その言い方やめなさい。』




侑「))ビクッ

……ハイ。」




『はい!これ。』



治「__!俺に……?」





『うん!誕生日おめでとう。2人とも。』






治「めっちゃ嬉しい…!……ありがとうな。」




『いーえ!後で感想聞かせてね?』




じゃあ部活でね、と2人と別れ教室へ戻った。






さち「お、渡せたんやな!」



『うん!』))ニコッ





_______________________


部室にて。



侑side





侑「うう……俺だけや思たのに!!」



治「……正直俺もびっくりしたわ。


あなたはツムの彼女やし……


俺には何もないと思とった。」




侑「まぁ、あなたは優しいからな。」





シュルッ_とリボンを解いて…中のクッキーを取り出す。




治「凄……綺麗なまんまるクッキーや!

いただきま〜す。」




パクッ、とクッキーを口に入れるサム。




「んまっ!!」と目を輝かせたかと思えば

一気に全部食べ終えてしまった。




侑「もっと味わって食えや……」




治「美味すぎたわ…また食いたい。」



じっ…と今度は俺のクッキーを見つめる。



「やらんからな!!?」と叫ぶと

わかっとるわ。と先に教室へもどって行った。



侑「じゃあ、俺もひとつ……」




クッキーを袋からひとつ取り出す。





侑「……ん?……これ………」





サムのクッキーは全部まんまるやったけど……



俺が取り出したクッキーは一つだけハート型になっていた。




侑「………っ//俺の事好きすぎやんか。……アホ。」




パクッ、と口に入れるとバターの風味がよくきいていて、



これホンマに手作りなん…?って思うくらい美味い。





侑「ふっふ、最高の誕生日やな。」






後でまたお礼言わんとな。




________________________


部活終わり。


あなたside




帰り道、治と侑と3人で帰る。




治「クッキーめっちゃ美味かったで、ありがとうな。」




『ほんと!?良かった!』))ニコッ





侑「ホンマに手作りなん?美味すぎやったわ。
(ハート型入っとったの、サムには内緒にしとこ。)」




『手作りです!!……あ、侑……気づいた?』




侑のクッキーの中に、1枚だけハート型を入れておいたのだ。


上の方に入れたから…気づくと思ったんだけど…


侑「ん?気づくってなんの話?」



『え、あ!ううん、なんでもないの…/』






気づかずに食べちゃったのかな……?




でも……美味しいって言ってくれたから…いっか!






家の前につき、2人に「また明日!」


と手を振って中へ入ろうとすると、



侑「サム、先に帰っとってや。俺コイツとちょっと
話すことあんねん。」





『……話??』




治だけ家に帰り、侑と2人きりになる。





『話ってなに??』




侑「……クッキー美味かった。」




『ふふ、良かった。』





侑「それと、」





グィ……と引き寄せられ、抱きしめられる。




『侑……?』




侑「…お前、俺の事好きすぎやっちゅーねん…//


ハート型とか……//」




『…!やっぱり気づいてくれたんだ……』





侑「ありがとうな。最高の誕生日やった。」





『ふふ、喜んで貰えて良かった。』))ニコッ





侑「こっち向いてや。」




『ん……っん。』




ちゅ…と唇にキス。





侑「ふ、ほなまた明日な。」




『ん…//また明日!』




帰っていく彼の背中を少し見つめて



自分も家の中へ入る。












『……ゲホッ、、ゲホッ、。』




あれ……なんか少し咳込むな……



まぁ、大丈夫だよね。



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