第108話

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2020/08/22 15:08
あなたside





目が覚めると…もう外は暗くなっていた。




ゆっくりと体を起こすと、ベットの傍に飲み物が置いてある。





『あ……そういえば侑がここに来てくれてたような……』





あんまりよく覚えてないな……









飲み物のフタを開け、ゴクッ、と1口二口飲む。




『私…ちゃんとありがとうって言ったっけ……』





___熱を計ってみると37度5分まで下がっていた。





よし、侑に電話してみよう。






prr………prrr……





侑「ん…あなた?起きたん?」




『うん、熱がだいぶ下がったから、、

お見舞い来てくれたでしょ?…ごめんね、ぼんやりとしか
覚えてなくて……


改めてありがとう。』






侑「ええよ、早う元気になってな。……っゲホッ…」




え……今侑咳き込んだ…?





まさか。




『侑……私の風邪うつっちゃった、、!?』





侑「や……大丈夫やってこのくらい…!っ…ゲホッゴホッ」




『嘘……ぁあああごめんっ……どうしよう……』





私のせいで侑まで……




治「よ、あなた。熱大丈夫か?」



侑「おい、サム……!」



『…あ、治?私は今7度台まで下がったんだけど、

侑にうつしちゃったみたいで、、』





治「…ツム、黙って寝とけや言うたやろ。

何バレーボール持ってんねん!


__ほんま?
まだ安静にしとくんやで?あとツムは案外タフやから。
心配せんとき。」



『うう……ほんとに申し訳ない……


明日熱が下がったら学校行くね。』




治「おん!待ってるで。」



侑「ちょお、何人の彼女と仲良く…っ!
スマホ返せボケ…ゲホッ!」




治「はいはい。」




侑「おい……あなた。」




治と電話を変わったかと思えば、さっきよりも低く
怒ったような声……





『(やっぱりうつしちゃったこと怒ったよね…
うわぁぁ、どうしよう……)』





侑「…彼氏の前で他の男と仲良くした罰……

受けてもらうから、熱さがったら覚悟しときや。」




『……へ?…え、あ、、はい。』



侑「じゃあ、安静にな?おやすみ。」




『侑もだよ、おやすみ…!






___だいすき、))ボソッ』





ピッ






『/……ちゃんと言いたかったのに、


声小さくなっちゃった、』






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侑side




侑「じゃあ安静にな、おやすみ。」



『侑もだよ、おやすみ…!』




通話を着る音まで聞いていようと、最後まで耳にスマホをあてる。





『……だいすき……』






侑「_!」



ピロン、と切れてしまった電話。




切る直前にその言葉言うとか………

ほんまに何なん可愛すぎやろ。





侑「あーっ、もう。今ので熱上がったらどないすんねん!」





治「案外ほんまに上がっとるんちゃう…?
さっきより顔赤いし、鼻声やんか。」





侑「え、ほんま…?」





体温測ってみるか……



体温計を取り出し、脇に挟む。




___ピピピッ




«38.0»





侑「………俺、決めたわ。」



治「アカンで。」




侑「まだ言うてへんやん!!」




治「…どうせ学校は休むけど部活は行くとか言い出すんやろ?

アカンに決まってるやんか。アホ。」




言おうとしていた内心を見透かされ、うっ…となる。





侑「はぁ……バレーせな治らん……悪化する……」



治「したら悪化するの間違いや。

……ほな夕飯持って来たるから、食えよ。」



バタンッ。







侑「んん……


…ちょっとキスしただけでうつってまうんやな。」






ドサッ、とベットに倒れ込む。






侑「バレーもしたいけど……やっぱあなたとデート
もしたいなぁ。

ふっふ、早う元気にならなあかんな。」



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あなたside



次の日。


熱はすっかり引いていて、頭痛もなく体がすっきりしていた。




『よし!学校行ける。』





準備をして朝食を食べる。




「体調は大丈夫ですか…?」



『うん!もうすっかり良くなった!』




___行ってきます、と言って家を出て学校へ向かう。







『侑……大丈夫かな、、帰りに何か買って行こう。』




学校に着き、教室に入ると治と倫太郎がいて、


大丈夫?と声をかけてくれた。



治「9度台って聞いた時は
今日も来れんやろなって思ったわ。」




『あはは……私もあんなに上がるとは思ってなくて…))汗

侑は、大丈夫かな…?』




治「あいつ今朝無理やり学校行こうとしとってん。」




『それもしかして……部活がしたいんじゃ……』



あああ、だったらなおさら申し訳ないよ……




『うう……何かお詫びしないと……』





治「そんな気にせんでええで?
明日には来れるやろうし。」





あいつは大丈夫やから、と

ぽん、と私の頭を撫でる治。





『…じゃあ、せめてお見舞いとして何か買いたいから、

部活終わったらコンビニ着いてきてくれない…?』




治「ええよ。」




『ありがとう!』






_______________________


部活終わり。




信介「あなたちゃん、昨日風邪ひいたんやってな。

これからはもっと体調管理に気をつけるんやで?」





『はい、気をつけます………』



信介先輩……怒ってなくてもなんか迫力あるな……






倫太郎「って言うか…なんで風邪ひいたの?」




治と倫太郎と校門前まで向かう途中、


倫太郎が首を傾げて言う。



『うーん、ちょっと雨に濡れちゃって。』



治「そんだけであんな上がるん?…やば。

寒ないか?大丈夫か?」




相当体が弱いんやな、と私に上着を着せようとする治。




『いやいや!大丈夫!あれは多分たまたま!(笑)』





倫太郎「たまたまで熱がでるって…笑
やっぱ天然じゃん。」




じゃあまたね、と倫太郎はバス停の方へ向かって行った。




治「コンビニやったよな、行こか。」




『うん!ありがとう。』





治と2人でコンビニへ向かい、

そこでフルーツゼリーや飲み物を買う。







治「…ん。」




『…!くれるの?』





買い物を終えてコンビニをでると、治が肉まんを1つくれた。



『ありがとう!』))ニコッ



治「どういたしまして。」





家までの道のりを2人で食べながら歩く。





治「ツムが見たら…嫉妬するやろな。」





『…ん?何が?』




治「俺らがこうやって2人で歩いとるの。」




『……そう、かな。』




治「ふ…自慢しよかな。」




『ふふ、歩いてるだけだもん、
自慢になんてならないでしょ。』






治「いや、ツムはあなたん事になるとうるさいねん。
いっつも家で

「あなたが他の男に襲われたらどないしよ」とか、


「あいつ守るためにもっと俺鍛えなアカンよな!」とか。



近づくやつみんなボコボコにする勢いやでほんまに。(笑)」





『ふふ、そうなの?……ちょっと、照れちゃうな、/』



話しているうちに宮家の前まで到着。





治「……お前にそんな顔させるんは………

俺が良かったわ。」))ボソッ






『__ん?何か言った…?』



治「いや、ほな玄関開けるからちょっと待ってな。」




『うん!』





ガチャ





治「ただいま。」





宮マミ「おかえり〜__ってあなたちゃん!?
いやぁ!久しぶりやね〜!」





『こんばんは!…あの、侑……大丈夫ですか?』





宮マミ「もう熱も引いとるみたいやから、大丈夫!

…せや!あなたちゃん晩御飯食べてって〜!」





『(熱下がったんだ……良かった。)

_!え、良いんですか……?』




宮マミ「ええよ〜!ちょうど作りすぎてもうてな、(笑)

ほら、早う中に入り!」





『あ、じゃあ、、お邪魔します!』





治「ツムは二階の部屋におるで。」




『ありがとう、様子見てくるね。』



二階へ上がり、侑の部屋をノックする。





コンコン、




『侑……?大丈夫?』




あれ……返事がない……


寝てるのかも、、




入ってもいいかな……



ガチャ……






『し、、失礼します………』




侑の部屋は何度も来たことがあって
初めてじゃないけど……



やっぱり何か緊張するんだよなぁ、




『侑…?』




侑「ん………」




あ、やっぱり寝てる……




飲み物だけ置いて出よう。



それにしても部屋が暗くて、どこに何が歩かわかんな__




『__!!うわっ__!!』





ドサッッ………!!




侑「_!?なっ、なんや!!?」



『あいたっ…………あっ!ごめん………!!

起こしちゃった………』





何か丸いもの(?)を足で踏んじゃった拍子に転んで……




侑の方に倒れ込んじゃったんだ…。




侑「なん……え、あなた……?なんでここにおんの…?」




『侑のお見舞いに来たんだけど…

晩御飯もご馳走になることになって……』





侑「なるほどな……とりあえず……その……//」




『へ……?』




侑「…や、、お前の手……がッ………/」




『私の手……?』





ピッ、と侑が証明のリモコンで電気をつけると、





『……!?!?っ……//ご、ごめんなさいっ……!
わざとじゃないのっ、!!』





私の手が……侑の股の所にあって………





『ほんとにごめん……//』




私のバカ……!!


なんでよりによってそんなとこに…っ、、!




すぐに離れると、


侑「別にええんやけど……/

それより、飲みもん買うてきてくれたん?…ありがとうな。」





買ってきたポカリをごくっ、と飲む彼。





『あ、ゼリーもあるよ?冷蔵庫に入れてもらったから、
後で食べてね。』





ぱっ、と彼から目を逸らしてしまった。




さっきの事のせいで……何故か自然と逸らしてしまう。





『(これじゃ私……変な女だと思われちゃう……)』




侑「……ふっふ、なんや、意識しとるん?」




ぎゅ、と私を後ろから抱きしめる。





『_っ!ち、ちがうの……//あれはわざとじゃなくて……』





侑「別にわざとや言うてへんで〜?
ただ自分の顔がりんごみたいに赤ぉなっとるから……」




ちゅ……と首筋にキスをされ、さらに熱が溜まる。



『…っ、もう、体の具合は平気…なの、?』




侑「この通りや。心配してくれてありがとうな。」





『ううん、私がうつしちゃったんだし……』






治「2人ー、ご飯やで〜!」





『あっ、はーい!…いこ、侑!』





侑「おん!」





___________________



『いただきます!』



宮マミ「沢山食べてな〜」



侑「サムもっとそっち行けや!」



治「あ?いつも通りやんか!病人!」



侑「なんやと!!」




?「うっさいわ!!またお前ら喧嘩しとるんか!!」





突然、男の人の声が聞こえて……



双子はビックリした顔をして黙ってしまった。




侑「……なんや、帰ってきたんか……」





治「……」







『(誰だろう………)』



振り返って見ると、



作業服を着た男の人が立っていた。



もしかしてお父さん…かな?




『こ…こんばんは!お邪魔してます!』



椅子から立ち上がって頭を下げる。




宮パピ「_ん!君は……」




『2人と同じ高校に通ってます、天宮あなたです!

今日は晩御飯をご馳走になっていて…』




宮パピ「おお!天宮さんの!1人娘がおる言うとったもんな〜
可愛ええ子やな!

俺はバカ息子共の父ちゃんです〜よろしゅうね!」




侑「バカ息子言うなや!おとん!!」



宮パピ「ほんまのことやんか!!」



治「…まぁまぁ、ツム……(めんどくさいこと起こすなや。)」




宮パピ「母さん〜ビールは?」




宮マミ「はいはい!ちょっとまってくださいね〜」





『(この人が2人のお父さんなんだ……)』






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