パスッ…シュバッ…
治「…やっぱ上手いな」
申し訳なさそうにいう治くん。
きっとバレーと私が話した過去を重ねたのだろう
『昨日のこと、気にしないで!
あんまり心配しなくて大丈夫だよ!
私はこの通り、元気もりもりだよっ!!』
治「無理がバレバレや。
ってゆかポジションはどこやったん?」
『あー、ウイングスパイカー!』
治「お!俺と一緒や」
そう言うと彼はふっ、と少し嬉しそうに笑った。
『そういえば__侑くんもバレー部なの?』
治「え、知らんかったん__?」
『部活聞いてなかったんだよね…もうしわけない(汗)』
体育委員らしき人がピーッと笛を吹き、
試合するぞーとボールと得点板を用意していた。
どうやら1組対2組、しかも力を平等にするため
男女混合チームを作れだとか。
『どこに入ろう…』
治「あなた、俺のチーム来てや。
あなたとバレーしたい。」
おいでおいで、と手招きする治くん。
友達がまだ全然いない私にとって
声をかけてもらえるのは凄い嬉しいことだ。
もちろん急いで治くんのいるチームへ入る。
?「バレーのルールわかるの?」
『えっ、う、うん!私元々バレーやってたんだ笑』
この人は確か…あ!角名くんだ!
治「おれと同じポジションやったんやで。」
角名「…ふーん。」
なんか眠そうな子だなぁ。
雰囲気で言うとチベットスナギツ…))
後からみよ子とさちが加わりようやく6人組が出来た。
そして対する1組には
女「侑くん!頑張ろうね〜♡」
女「私侑くんのトス打ちた〜い!」
侑「どけや。邪魔だけせんかったらええ。」
『う、うわー、なんかすんごい圧…』
治「俺がおるからやな。ま、頑張ろうな」
『うん!))ニコッ』
そして遂に
))ピーーッ!!
試合が始まった。
まずはこっち側のサーブからスタート。
サーブを打つのは治くんだ。
打ったサーブは見事相手コートの良いコースに
入る。
『ナイッサ!』
が、向こう側の男子が苦しい体制ながらもそれを取り
侑くんがトスを上げ、それをもう1人の男子が打つ。
__侑くん…上手い。
そのプレーとボールさばきは見ただけで
凄いと圧倒されてしまう。
『…!』
ぼーっとしてる場合じゃない!
こっち側のブロックが何とか防ごうと飛ぶ。
が、相手はストレートに打ってきたため
今ボールが真正面に____来る!!
スッ
ポンッ!
取った!!
『…上がった!治くんッ!!』
私がレシーブしたボールはセッターのポジョンにいる治くんの所へ。
治「ナイスやで……!来い!あなた!」
えっ!?ちょま、私が打つの!?
呼ばれたからには仕方ない、
助走をつけて_____
〝手のひらじゃない_指先にもちゃんと意識を向けて、ボールに最大限の力を込めろ。〟
『__ッ!!』
パァンッ!!!
勢い良く打ったボールは相手コートに落ち、
強くバウンドしてギャラリーにまで飛んで行って
しまった。
着地した途端、
シーン、と静まり返った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!