第90話

84
6,585
2020/07/10 04:51
あなたside



試合も中盤に差し掛かった時だった。






ダンッ_!!



『っ………!!』






パスを出そうとして踏み込んだ足を



相手チームに思いっきり踏まれてしまった。





対戦相手チームは4組。





確か……バスケ部のスタメンの子がいるんだっけ…





『(どの子だかわからないけど…
この位でへばってられない…!)』




少しだけ痛む足を無視して試合を続ける。



?「チッ……」





ビーーッ!!




1組「いいぞぉー!天宮〜!!」




侑「ナイスやで〜!!」





『はぁっ…はぁっ……(あれ…、侑の声が聞こえたような。)』




1組女「あなたちゃん、大丈夫か…?

息上がってもうてる…」




『大丈夫!さ、残りあと1分だよ!頑張ろう。』




1組女「うん…!(心配や……)」






ピーッ!!



パスを貰い、ゴール下まで走る。





その時だった。







スッ__




『__!!』


足元に……足を掛けられたように見えた。




そのまま床へ崩れ落ちる。




その拍子にボールで足をくじいてしまった。




『っい…………ッ……』




痛い……でも、、あと1分も無いのに__!!



シーン……と静まりかえる体育館。



立ち上がろうとしても起き上がれない……





1組女「あなたちゃん…!大丈夫か!?

……保健室に行こ!!」




『ありがとう、自分で行けるから…試合をつづけて…』




1組女「せやけど………」






侑「俺が連れてくからええよ。」



そう言って片方の肩を支える侑。





『侑…?どうしてここに、、』



1組女「宮くん!?…ほんなら、、任せた__!!


あなたちゃん、絶対勝つからな!!」





『うん……!!』



そして、

支えられたまま体育館を出た。



_______________________



『どうして侑は2組なのに……1組の所にいたの?』




ゆっくりと歩きながら話す。



侑「はぁ_?見とくからなって言うたやん?」




『そうだけど……あいだっ…』




やばい……これ捻挫してるかも…




侑「無茶するからや。おぶって欲しいんか?」




ニヤ…と笑みを浮かべ私を見下ろす彼。



違うから!!と言いつつも……

実はお願いしたくなるくらい痛む……。



『(おぶってなんて言えないし…。)』




侑「……はぁ…


ほんまに……素直になれや。」




グイッ__



『わ!?』



抱きかかえられ、


それが言わいる「お姫様抱っこ」だと言うことに

気がつくのに時間はかからなかった。




『ちょっ、ちょっと!?//

ここ学校だよ!?皆に見られちゃう…!!』



侑「ふっふ、学校やなかったらええのん?」


『そうじゃなくて!!//せめておぶって欲しい…な、、。』





すると彼はしばらくんー、と考えて

やっぱこのままでええわ。と歩き始めた。



『(ああもう恥ずかしい……//!!)』





______________________

保健室





先生「これは……捻挫してるわね。」




『やっぱりそうですか……))泣』




侑「なんであそこでずっこけてもーたん?」



『実は………誰かに足踏まれたり、

足掛けられたりしてて……』





あれは気のせいじゃなかった。



多分……意図的だ。



侑「……自分、よく女子と揉め事なるからな。」



『……ほとんど妬み関係なんですけどね?』



じとーっと彼を見ると


侑「俺のせい言うんか!?」



と言い出す侑。




『だって皆口をそろえて……「宮くんと仲良くせんといて!」
って言うんだよ?』




まぁ、他の女子生徒より2人と距離が近いのは自覚してる。




侑「……せやからそのへんの女は嫌いやねん。」




うざったいし、などと愚痴をこぼしながらベッドに腰掛ける。




先生「あら、その「女」の中にあなたちゃんも入ってるのかな〜?」


テーピングをしながらクスッと笑う先生を横目に、




侑「……あなたは別や。」




『……(別…か)』




先生「ふふっ。

____はい!出来た!氷も渡しておくから、しばらく安静にね。」





『ありがとうございました!』



侑「ほな、もう試合終わってる頃やと思うから、

結果聞きに行こか。」



『うん!』



________________________


1組女「あなたちゃーーん!!」



1組女「勝ったで…!!優勝や……!!」




わあぁっと駆け寄って来てくれたバスケットチームの皆。




『本当!?やったね…!!』))ニコッ




1組女「あなたちゃんのお陰や!!ほんまにありがとう!」




『ううん、私は途中で抜けちゃったし…

ほんとに皆が頑張ったからだよ!!』





4組女「はっ……良い子ぶんなや。」




突然、すれ違いざまにそう言われ、



『っえ………?』



振り返ると、


4組女「バスケ部のうちに勝てたからって偉そうにすんなや!!」





『な、、別に偉そうになんてして………』





治「なぁ、何なん。自分。」




4組女「_!!宮くん……!」



『治…?』



横からちょっとええか、と言って4組の子の前に立つ治。




治「……自分、試合中あなたの足わざと踏んだり、

足掛けたりしとったやろ?……俺見とったからな。」





『__!!(この子だったんだ……)』





ザワ……と周りの目線が女の子に集まる。




4組女「ち、ちゃうくて、、!わざとやないもん…!!

天宮さんが邪魔やったから…!」



治「……あ?誰が邪魔やて…?」))ギロッ




4組女「っ…!!もうええ!!…行こっ!!」


1組女「ちょお待て!!あなたちゃんに謝れや…!!」



出口から出ていこうとした女の子。



すると、


ガシャンッ_!


侑「どこ行くん?謝れやって聞こえへんかった?」



治「せや、逃げるならあなたに謝ってからにせぇや。」




『(いや……迫力が凄すぎて…


もう別にいいんですけど…)』




その後、その子は「ごめんなさい、」と言って泣きながら出ていってしまった。






『あ、、ありがとう2人とも……』



侑「ええけど、あなたも何か言い返しても良かったんやで?」




治「せや。ツムが手ぇ出してなかっただけでも奇跡や。」




侑「人を暴君みたいに言うなや!」




治「事実やん。」




『まあまあ……))汗』





こうして稲荷崎高校、スポーツ大会は終わった。



________________________

次の日。





『ん〜、行事の次の日って

何だか疲れがどっと来る。』




さち「わかるわ。こんな時は女子トークやな!」



みよ子「なんでやねん!!繋がりが見えへんわ!!」




あはは、と3人でいつもの様に笑う。




さち「__んで、いっちゃん気になるんは…」



みよ子「あー、せやな、そろそろ……」




『えっ?なになに??』



さち・みよ子「あなたの好きな人!!おるやろ!?」




キラキラ…と目を輝かせて私を見る2人。




好きな人__か。




………居ない。って言ったら嘘になっちゃうな。





私は…もう自分で気づいているのだから。





〝彼〟の事が好き____なんだって。





『うん……いる。』




さち「やっぱり……!?♡」


みよ子「えーっ!!誰なん!?誰なん!?教えてや!!」




『ええ……/(こんなに食いつかれると恥ずかしいな…)』




さち「じゃっ、じゃあ!!耳打ちでええから!!」



さぁ来い!と言わんばかりに耳を傾けてくるちさ。



『う……じゃあ、絶対に内緒だからね……?

絶対だよ…?』



さち「うんうん!!」

みよ子「ちょっ、次うちやからな!!」





『私ね_________█が……好きみたい。』





さち「…………ぇええええええ!!!?!?


やっぱり…!?やなくて、、なんでそっち. . .!?」




みよ子「予想通り……って感じやな、、))汗

もう告ってまえ!!」





『うーん、、実は色々あって……まだ言えないんだ、。


それに大会だってあるし……



だから……気持ちを伝えるのは「春高」が終わってからに
したいの。』





〝やるべき事〟もまだ残ってる。




だから、気持ちを伝えるのはそれが全部終わってから。






さち「ほぇええ……あなたはほんまにええ子やな……」





みよ子「でもだいぶ長いで?…知ってるやろうけど
そいつほんまにウザイくらいモテるし……」




『うん…でも、決めた事だから_!』






さち「よーし!ほな!うちら応援するで!!」



みよ子「当たり前や!!」




『ふふ。



……ありがとう。』))ニコッ






プリ小説オーディオドラマ