あなたside
試合も中盤に差し掛かった時だった。
ダンッ_!!
『っ………!!』
パスを出そうとして踏み込んだ足を
相手チームに思いっきり踏まれてしまった。
対戦相手チームは4組。
確か……バスケ部のスタメンの子がいるんだっけ…
『(どの子だかわからないけど…
この位でへばってられない…!)』
少しだけ痛む足を無視して試合を続ける。
?「チッ……」
ビーーッ!!
1組「いいぞぉー!天宮〜!!」
侑「ナイスやで〜!!」
『はぁっ…はぁっ……(あれ…、侑の声が聞こえたような。)』
1組女「あなたちゃん、大丈夫か…?
息上がってもうてる…」
『大丈夫!さ、残りあと1分だよ!頑張ろう。』
1組女「うん…!(心配や……)」
ピーッ!!
パスを貰い、ゴール下まで走る。
その時だった。
スッ__
『__!!』
足元に……足を掛けられたように見えた。
そのまま床へ崩れ落ちる。
その拍子にボールで足をくじいてしまった。
『っい…………ッ……』
痛い……でも、、あと1分も無いのに__!!
シーン……と静まりかえる体育館。
立ち上がろうとしても起き上がれない……
1組女「あなたちゃん…!大丈夫か!?
……保健室に行こ!!」
『ありがとう、自分で行けるから…試合をつづけて…』
1組女「せやけど………」
侑「俺が連れてくからええよ。」
そう言って片方の肩を支える侑。
『侑…?どうしてここに、、』
1組女「宮くん!?…ほんなら、、任せた__!!
あなたちゃん、絶対勝つからな!!」
『うん……!!』
そして、
支えられたまま体育館を出た。
_______________________
『どうして侑は2組なのに……1組の所にいたの?』
ゆっくりと歩きながら話す。
侑「はぁ_?見とくからなって言うたやん?」
『そうだけど……あいだっ…』
やばい……これ捻挫してるかも…
侑「無茶するからや。おぶって欲しいんか?」
ニヤ…と笑みを浮かべ私を見下ろす彼。
違うから!!と言いつつも……
実はお願いしたくなるくらい痛む……。
『(おぶってなんて言えないし…。)』
侑「……はぁ…
ほんまに……素直になれや。」
グイッ__
『わ!?』
抱きかかえられ、
それが言わいる「お姫様抱っこ」だと言うことに
気がつくのに時間はかからなかった。
『ちょっ、ちょっと!?//
ここ学校だよ!?皆に見られちゃう…!!』
侑「ふっふ、学校やなかったらええのん?」
『そうじゃなくて!!//せめておぶって欲しい…な、、。』
すると彼はしばらくんー、と考えて
やっぱこのままでええわ。と歩き始めた。
『(ああもう恥ずかしい……//!!)』
______________________
保健室
先生「これは……捻挫してるわね。」
『やっぱりそうですか……))泣』
侑「なんであそこでずっこけてもーたん?」
『実は………誰かに足踏まれたり、
足掛けられたりしてて……』
あれは気のせいじゃなかった。
多分……意図的だ。
侑「……自分、よく女子と揉め事なるからな。」
『……ほとんど妬み関係なんですけどね?』
じとーっと彼を見ると
侑「俺のせい言うんか!?」
と言い出す侑。
『だって皆口をそろえて……「宮くんと仲良くせんといて!」
って言うんだよ?』
まぁ、他の女子生徒より2人と距離が近いのは自覚してる。
侑「……せやからそのへんの女は嫌いやねん。」
うざったいし、などと愚痴をこぼしながらベッドに腰掛ける。
先生「あら、その「女」の中にあなたちゃんも入ってるのかな〜?」
テーピングをしながらクスッと笑う先生を横目に、
侑「……あなたは別や。」
『……(別…か)』
先生「ふふっ。
____はい!出来た!氷も渡しておくから、しばらく安静にね。」
『ありがとうございました!』
侑「ほな、もう試合終わってる頃やと思うから、
結果聞きに行こか。」
『うん!』
________________________
1組女「あなたちゃーーん!!」
1組女「勝ったで…!!優勝や……!!」
わあぁっと駆け寄って来てくれたバスケットチームの皆。
『本当!?やったね…!!』))ニコッ
1組女「あなたちゃんのお陰や!!ほんまにありがとう!」
『ううん、私は途中で抜けちゃったし…
ほんとに皆が頑張ったからだよ!!』
4組女「はっ……良い子ぶんなや。」
突然、すれ違いざまにそう言われ、
『っえ………?』
振り返ると、
4組女「バスケ部のうちに勝てたからって偉そうにすんなや!!」
『な、、別に偉そうになんてして………』
治「なぁ、何なん。自分。」
4組女「_!!宮くん……!」
『治…?』
横からちょっとええか、と言って4組の子の前に立つ治。
治「……自分、試合中あなたの足わざと踏んだり、
足掛けたりしとったやろ?……俺見とったからな。」
『__!!(この子だったんだ……)』
ザワ……と周りの目線が女の子に集まる。
4組女「ち、ちゃうくて、、!わざとやないもん…!!
天宮さんが邪魔やったから…!」
治「……あ?誰が邪魔やて…?」))ギロッ
4組女「っ…!!もうええ!!…行こっ!!」
1組女「ちょお待て!!あなたちゃんに謝れや…!!」
出口から出ていこうとした女の子。
すると、
ガシャンッ_!
侑「どこ行くん?謝れやって聞こえへんかった?」
治「せや、逃げるならあなたに謝ってからにせぇや。」
『(いや……迫力が凄すぎて…
もう別にいいんですけど…)』
その後、その子は「ごめんなさい、」と言って泣きながら出ていってしまった。
『あ、、ありがとう2人とも……』
侑「ええけど、あなたも何か言い返しても良かったんやで?」
治「せや。ツムが手ぇ出してなかっただけでも奇跡や。」
侑「人を暴君みたいに言うなや!」
治「事実やん。」
『まあまあ……))汗』
こうして稲荷崎高校、スポーツ大会は終わった。
________________________
次の日。
『ん〜、行事の次の日って
何だか疲れがどっと来る。』
さち「わかるわ。こんな時は女子トークやな!」
みよ子「なんでやねん!!繋がりが見えへんわ!!」
あはは、と3人でいつもの様に笑う。
さち「__んで、いっちゃん気になるんは…」
みよ子「あー、せやな、そろそろ……」
『えっ?なになに??』
さち・みよ子「あなたの好きな人!!おるやろ!?」
キラキラ…と目を輝かせて私を見る2人。
好きな人__か。
………居ない。って言ったら嘘になっちゃうな。
私は…もう自分で気づいているのだから。
〝彼〟の事が好き____なんだって。
『うん……いる。』
さち「やっぱり……!?♡」
みよ子「えーっ!!誰なん!?誰なん!?教えてや!!」
『ええ……/(こんなに食いつかれると恥ずかしいな…)』
さち「じゃっ、じゃあ!!耳打ちでええから!!」
さぁ来い!と言わんばかりに耳を傾けてくるちさ。
『う……じゃあ、絶対に内緒だからね……?
絶対だよ…?』
さち「うんうん!!」
みよ子「ちょっ、次うちやからな!!」
『私ね_________█が……好きみたい。』
さち「…………ぇええええええ!!!?!?
やっぱり…!?やなくて、、なんでそっち!?」
みよ子「予想通り……って感じやな、、))汗
もう告ってまえ!!」
『うーん、、実は色々あって……まだ言えないんだ、。
それに大会だってあるし……
だから……気持ちを伝えるのは「春高」が終わってからに
したいの。』
〝やるべき事〟もまだ残ってる。
だから、気持ちを伝えるのはそれが全部終わってから。
さち「ほぇええ……あなたはほんまにええ子やな……」
みよ子「でもだいぶ長いで?…知ってるやろうけど
そいつほんまにウザイくらいモテるし……」
『うん…でも、決めた事だから_!』
さち「よーし!ほな!うちら応援するで!!」
みよ子「当たり前や!!」
『ふふ。
……ありがとう。』))ニコッ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。