そして迎えた体育祭当日。
『(いつもより早く着きすぎちゃった)』
教室のドアを開けると、やっぱり誰もいな__
『あっ、』
誰もいないと思った教室には1人の男子生徒がいて、
部活バックからウィダーインゼリーを取り出し
飲もうとしている最中だった。
角名倫太郎くんだ…
あんまり話したことないんだよなぁ、、
角名「…ん?あ、天宮さん。おはよう」
『角名くん、だよね…!おはよう』
いそいそと自分の席へ行き、
とりあえずカバンをかける。
シーン____
『(う……沈黙苦手…………)』
角名「…ねぇ、天宮さんって…
〝あの双子〟のどっちかの事_好きなの?」
『………え?』
角名「…いや、ちょっと気になって。
いつも一緒にいるし…」
『あ、えと…その……2人は特別仲がいい友達で、』
なんだろう……角名くんの目見てると
謎の緊張感というか………))汗
そう言うと彼はふーん、そうなんだ。とだけ言って
また沈黙が流れた
しばらくするとガララッ__と教室のドアが開き、
治が入って来た。
『治!おはよう!』
沈黙に耐えられなかった私にとって治の登場はありがたい…
治「あなた、おはよ。
…?角名と2人きりやったん…?」
角名「なんでショックー、みたいな顔してんの。」
治「あ、
北さんが男バレ招集係やから
開会式前すぐ集合やて。」
角名「了解〜」
『そっか、部活ごとに係が決まってるんだ…』
治「あなたは選抜リレー以外になんか出るん?」
そう言って隣の自分の席に座る治
『ムカデ競走と、100m走に出る!
…怖いの選抜リレーだけだから………』))ガクブル
治「予行練習でも練習したやんか。
絶対大丈夫や。勝つで!」
『っ…ぁあああ治ぅう!!』
なんて良い子なんだっ……
前から思ってたけども!!
ガララッ__
侑「おはよ〜さん」
パシッ
『いたっ』
入ってきた侑に
体育祭のプログラム表で頭を叩かれる。
侑「今日は絶対〝赤〟に勝つからな」
治「…去年負けたもんな。」
侑「うっさいねん!去年の3年が使えんかったんや!」
『なんてこと言うの侑…))汗』
侑「もうおらんからええやんか!
あと騎馬戦出るやろ?サム」
治「ほんまは出たくなかったんやけど…
おん。」
侑「っしゃ!ぶちのめしたる!」
治「…!
なぁ、あなた」
『ん?どうしたの?』
治「今日、俺らのブロックが勝ったら…
…俺と2人っきりで
〝1日デート〟してや…?」))コソッ
『んん!?えっ…!?//』
治と……1日デート……?!
治「ええやろ??」
『え、あ、わ、わかった。良いよ』
治「ほんま!?頑張れるわ!」
侑「…何の話してるん。」
治「ツムには関係無いやろ」
侑「……あ?」
バチバチッ_と睨み合う2人。
治「…俺に勝ったら教えたるわ。」
侑「もちろんそのつもりや。覚悟しとき」
そう言って侑は私の頭をポンッ、としてほな後でな、
と教室を出ていってしまった。
___________________
稲高体育祭のブロックは
1組が赤、2組が白、3組が青……その他の
色とりどりでクラスごとに分けられる。
体操服に着替え全校生徒グラウンドに集合した。
グラウンドの周りにはテントが建てられ、
みよ子は生徒会の仕事で本部テントまで走って行ってしまった。
さち「今日頑張ろな♪」
『うん!頑張ろうね!』
開会式を終え、ついに種目スタート。
放送「プログラム1番、2年女子100m走に出る生徒は速やかに体育館側のゲートに集まって下さい。」
『じゃあ行ってきます!』
さち「応援してるでー!!ファイトや!!」
さちの応援を背に集合場所へ向かう。
赤色のハチマキを結び直し、整列していると、
治「あなた」
出場者を招集して
整列させていた治に声を掛けられた。
『!治』
治「いっちゃんあなたの事応援しとるからな。
頑張れ」))コソッ
すれ違いざまに耳打ちでそう言われ、
最後に背中をポンッ、と軽く叩いて行った
『ありがとう、治…。
_よっしゃ!1位とるぞっ!』
___________________
「位置について_____よーい___」
パアンッ!!
『っ__!』
全力で走りゴールテープを目指す。
100mといえど気を抜けば追い越されてしまう。
___そして、、
『っ……はぁ…はぁ……』
放送「1位赤ブロック、天宮!2位……」
目指していた1位でゴールし、ホッ……と胸を撫で下ろす。
女子「え……はっや…………顔も完璧なのにスポーツも得意なんだ…!」
男子達「さすが天宮ちゃんや〜♡」
___________________
侑side
招集、整列を終えて
女子の100m走が始まった。
治「……」
隣で真剣な顔をして種目が行なわれているのを
見ているサム。
侑「…なんや、あん中に新しく気になる子でも出来たんか?」
治「アホ、あなたが出るんや。
…あと俺が好きなんはあなたや、変わらん。」
ま、せやろな、と内心し
あなたが出る。
と聞いて俺も秒であなたを探し始める
侑「…!おった」
治「!?よう見つけれたな…あの人数で。」
侑「ふっふ、あなたレーダーや!」
治「なんやそれ、あなたが笑うで。」
数分後、あなたが出る番が回ってきた
「位置について___よーい___」
パアンッ!!
侑「速!?ダントツやん!!」
治「さ…さすがあなたやな……」
あなたが知ってるかは知らんけど…
あの中全国常連の陸上部おるで……?!
侑「アカン……なんであなたは2組じゃないんや…」
治「種目終わったで、はよ次のグループ整列させな。」
放送「続きまして、第2種目、1年生男子による__」
___________________
あなたside
いくつかの種目を終え、さちと一緒に
テント近くの階段に座る。
さち「あなた!次借り物競争やで!」
『借り物競争かぁ…面白そう!』
さち「どっちかって言うと人を借りてく方が
多いんやけどな、…))汗」
『そうなの?』
さち「なんせ稲高の体育祭はな…
〝ノリ〟と〝楽しさ〟と〝面白さ〟重視してるんやもん。
…今年もごっつやばいお題が……あのカードに書かれてるんや……!」
そう言いながら遠くに並べられていたカードを指さすさち。
『た、例えばどんなのがあるのかな??』
さち「んー、去年いっちゃんウケてたんは
「ズラ付けてそうな教師」やったなぁ(笑)」
『それ触れちゃダメなやつじゃんか!!』))汗
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!