1ヶ月後__________
とある昼休み。
『スポーツ大会?』
さち「せや!…この3つの競技の中から選ぶんやけど…
どれにする〜??」
稲荷崎はどうやら10月下旬にスポーツ大会を行うらしい。
競技表のプリントを見せながら、
うきうきとはしゃぐさちとみよ子。
競技は、女子はバレー、バスケ、テニス。
男子はバレー、卓球、サッカーの
それぞれ3種目からひとつ選んで参加するようだ。
『どれにしようかな……』
テニスは中学生の頃やっていたから、、ルールもちゃんとわかるし……
ああ、でもバスケも楽しそうだなぁ…
バレーも捨て難いし……
『うーん…どうしようかな。
2人はもう決めた?』
さち「おん!うちはテニス!」
みよ子「うちはバレーや!」
『なるほど…!じゃあこの流れでいったら、、
私はバスケにしようかな!♪』
よし!決まりだ。
でもバスケは中学の頃体育の授業でしかしたことがないから…
基礎練習くらいはしておかないとな…
皆に迷惑かけたくないし!
『よーし!頑張ろ!』
_____________________
放課後。
治「あなた、スポーツ大会の競技決まったん?」
『うん!バスケにした。』
今日は部活が休みだったらしく、
久しぶりに侑と治と家へ帰る。
侑「ほ〜、バスケか!ええなぁ、
よし、ほな見とくからな。」
『えっ、やめてよ緊張するから(笑)
…2人はなんのスポーツにしたの?』
治「俺はサッカーやで。」
侑「サムもなん?俺もや。」
治「……最悪や。」
侑「なんでやねん!!」
『へぇー!じゃあ応援しなきゃだね♪』))ニコッ
侑・治「………」
侑「俺んこと応援しとってな?
ええか!俺だけやで!!」
治「ちゃう!俺や!ツムやのーて俺んこと見とってや!!」
『(また始まった……)』
ぎゃあぎゃあと揉め合いを始める双子。
ここまでくるともう慣れたようなものだ。
『はいはい、2人とも応援してるから!
…あ、でも治は同じクラスだから…
ここはやっぱり治を応援しなきゃ。』
治「ふ。」))ドヤッ
侑「なっ、クソサム……!」
『ふふ、
2人とも頑張ろうね!』
______________________
当日。
体操服に着替え、体育館へ向かう。
治と侑はサッカーだから、グラウンド前で『頑張ってね!』
と言ってそのまま別れた。
『(一応基礎練習しといたけど…緊張するなぁ、)』
1組女「あーっ!天宮ちゃん!待っとったで!」
1組女「今日頑張ろうな!天宮ちゃんのプレー
見るん楽しみや♡♡」
ニコニコと話しかけてくれるクラスメイトの女の子。
『うん!頑張ろうね!』))ニコッ
優しい人達で良かった…))涙
その後一旦集合して説明を終え、
直ぐに第1試合が始まろうとしていた。
『あれ…?一般の人も見に来るんだ。』
1組女「せやで〜、稲荷崎のスポーツ大会
意外と有名なんやで?」
1組女「皆が全力でやるから毎年怪我人出るんよなぁ。」
『そうなんだ…あっ、もう試合はじまるね!』
クラスメイトの女の子達に
あなたちゃん!と呼ばれ振り返ると、
『_!円陣?』
1組女「せや!」
急いで円陣を組む中に入り、クラスのチームリーダーが声を
上げた。
1組女「1組〜〜!!!気張るでー!!!」
「「オーーっ!!!」」
『(1組の皆……楽しい子ばっかりだ…)』
1組で良かったなぁ。
そんな事を考え
はにかみながら前を向くと、
『っ___!!!』
目の前に居たのは…
5組女「久しぶりやなぁ〜、天宮ちゃん?」
5組女「相変わらずば抜けて可愛ええ顔しとるなぁ。」
5組の女子……
体育祭で____私に怪我を負わせようとした人達だ。
『……どうも。』
真っ直ぐに相手の目を見つめる。
「この人達には絶対に負けたくない。」
久しぶりに私の中で闘志が燃えた。
絶対に勝ちたい。
負けたくない。
ピーーッ_!!!
試合開始の笛が鳴り、
ジャンプボールの子が私の方へボールを落としてくれた。
1組女「あなたちゃん!」
パシッ!!
それを受け取り、ドリブルでスリーポイントラインまで
走る。
そして狙いを定めて_______
パシュッ____。
ビーーッ!!
『やった!!』
シュパッ、と綺麗にボールはリングをくぐり抜けた。
1組女「スリーポイントや!!凄っ!!」
5組女「チッ……」
その後も1組は次々と点を決めていき、
ピーーッ_!!
試合終了の笛が鳴る頃には
5組女「う……嘘や…………1点も決められへんかった……」
『はぁ……っ……はぁ……』
私達1組は
5組に1点も許さずに勝利を収めた。
________________________
1組女「いやぁー、ほんまにあなたちゃんのお陰や!」
1組女「去年うちら初戦で負けとったんやで?」
『ううん、皆が力を合わせて頑張ったから勝てたんだよ。
……私、どうしてもあの子たちに勝ちたかったから。』
1組女「5組の連中な、、あんまいい噂聞かへんから、
なんかされたんやろ?」
『うん……でももう大丈夫。
みんなのおかげで__スッキリしちゃった!』))ニッ
女子達「ハゥアッ!?///(なんや今の可愛すぎや…)」
________________________
治side
治「角名!」
角名「治_!」
角名にパスを貰い、
そのままディフェンスをくぐり抜ける。
侑「そうはさせへんで!!」
ゴール前まで来た所でツムに邪魔をされ、
シュートが打てない。
治「(あかん…一旦パスやな。)」
何をするにしても俺らは張り合うんや。
バレーも…
…あなたん事も俺はお前に負けたくないんや。
侑「_!!」
俺はパスを出すのをやめ、そのままゴールに向かって
ボールを蹴りこんだ。
ピピーッ!!
キーパーの手をすり抜け、シュートが決まる。
治「っし_!」
角名「ナイス!」
侑「クソッ(今のは絶対ほかにパス出す思たんやけどな…)」
その後も接戦が続き、
結果は…
1組男子「よっしゃァァ!!!」
俺ら1組の勝ちや。
________________________
あなたside
第2第3試合も勝ち続け、
残すは決勝となった。
1組女「あかん…緊張してきた…」
1組女「まさかうちらが決勝まで進むなんて……」
『よし…!ラスト試合頑張ろう!!』
1組男子「応援に来たでー!!!
1組の意地見せたれ!!」
頑張れー!という声援がギャラリーから聞こえてくる。
既におわった競技の1組の皆が応援に来てくれたんだ
『(頑張らなきゃ!)』
治「あなたー!」
『_!治〜!』
治はこっちに向かってファイトやで〜と手を振ってくれた。
もう一度皆で円陣を組み、遂に試合開始。
ビーーッ!!
1組女「あなたちゃん!!」
『おっけ__!!』
パシッ!__シユッ。
ピーッ!!
『よし!(スリーポイント!!)』
1組男子「ひぇーっ。」
1組女子「天宮ちゃんてやっぱり万能やなぁ…」
_______________________
治side
開始そうそうスリーポイントを決めるあなた。
治「凄……」
侑「やっぱりあなたはなんでも出来てまうなぁ!」
治「!ツム、自分のクラス応援に行けや。」
侑「はぁ?やってあなたん事見たいんやもん!!
あなたがバスケしとるとこなんて
滅多に見られへんやんか!」
そう言ってナイスやでー!と叫び始めるツム。
……お前は1組ちゃうやろ。
まぁ、何言うたって聞かへんやろうけど。
治「……あなたはなんであんなスポーツ出来てまうんやろか。」
侑「……あぁ、俺の予想なんやけど、
あいつは多分、見とるんや。」
治「見とる……?」
侑「おん。……出来る奴の動きを見ただけで体にインプットしてまう〝バケモン〟や。」
ツムの目が真剣になる。
治「確かに…あなたは
元々バスケの経験あんまりないんやろうしな。」
侑「せやな。ほんまにびびるで。……さすが俺の惚れた女や♡」
治「……うっさいねん。お前だけちゃうわ。アホツム。」
侑「俺の方があなたん事好きやもん。サムは2番目や。」
治「あ…?何言うてんねん。ツムが2番目やろ。」
ガコンッ_!!
その時……
俺らの喧嘩を遮るように
体育館に大きな音が響き渡った。
侑・治「___!!あなた!!」
あなたが……足首を抑えて体育館の床に倒れている。
まさか……足やってもうたんか…?
ピピーッ!!
タイムをとり、同クラの女子にかかえられて
立ち上がるあなた。
治「なぁ、ツム……あれもしかして
捻挫してもうたんとちゃう…?__ツム?」
気づけばツムの姿が無い。
……あいつまさか。
バッ!とギャラリーから下を見下ろすと、
もう既にあなたの元へ駆け寄っているツムの姿があった。
治「(早………)」
…あかん、
俺はこないな所でツムに負けとる言うんやろか、。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。