第89話

83 『スポーツ大会?』
6,737
2020/07/08 15:06

1ヶ月後__________



とある昼休み。




『スポーツ大会?』





さち「せや!…この3つの競技の中から選ぶんやけど…

どれにする〜??」




稲荷崎はどうやら10月下旬にスポーツ大会を行うらしい。





競技表のプリントを見せながら、


うきうきとはしゃぐさちとみよ子。





競技は、女子はバレー、バスケ、テニス。



男子はバレー、卓球、サッカーの


それぞれ3種目からひとつ選んで参加するようだ。






『どれにしようかな……』





テニスは中学生の頃やっていたから、、ルールもちゃんとわかるし……





ああ、でもバスケも楽しそうだなぁ…





バレーも捨て難いし……





『うーん…どうしようかな。

2人はもう決めた?』





さち「おん!うちはテニス!」




みよ子「うちはバレーや!」





『なるほど…!じゃあこの流れでいったら、、


私はバスケにしようかな!♪』






よし!決まりだ。




でもバスケは中学の頃体育の授業でしかしたことがないから…


基礎練習くらいはしておかないとな…





皆に迷惑かけたくないし!




『よーし!頑張ろ!』





_____________________

放課後。



治「あなた、スポーツ大会の競技決まったん?」




『うん!バスケにした。』




今日は部活が休みだったらしく、



久しぶりに侑と治と家へ帰る。




侑「ほ〜、バスケか!ええなぁ、

よし、ほな見とくからな。」




『えっ、やめてよ緊張するから(笑)

…2人はなんのスポーツにしたの?』




治「俺はサッカーやで。」



侑「サムもなん?俺もや。」



治「……最悪や。」


侑「なんでやねん!!」




『へぇー!じゃあ応援しなきゃだね♪』))ニコッ




侑・治「………」





侑「俺んこと応援しとってな?
ええか!俺だけやで!!」




治「ちゃう!俺や!ツムやのーて俺んこと見とってや!!」




『(また始まった……)』



ぎゃあぎゃあと揉め合いを始める双子。


ここまでくるともう慣れたようなものだ。




『はいはい、2人とも応援してるから!

…あ、でも治は同じクラスだから…

ここはやっぱり治を応援しなきゃ。』





治「ふ。」))ドヤッ



侑「なっ、クソサム……!」





『ふふ、

2人とも頑張ろうね!』






______________________


当日。






体操服に着替え、体育館へ向かう。



治と侑はサッカーだから、グラウンド前で『頑張ってね!』

と言ってそのまま別れた。




『(一応基礎練習しといたけど…緊張するなぁ、)』




1組女「あーっ!天宮ちゃん!待っとったで!」




1組女「今日頑張ろうな!天宮ちゃんのプレー
見るん楽しみや♡♡」





ニコニコと話しかけてくれるクラスメイトの女の子。



『うん!頑張ろうね!』))ニコッ





優しい人達で良かった…))涙





その後一旦集合して説明を終え、



直ぐに第1試合が始まろうとしていた。





『あれ…?一般の人も見に来るんだ。』





1組女「せやで〜、稲荷崎のスポーツ大会
意外と有名なんやで?」




1組女「皆が全力でやるから毎年怪我人出るんよなぁ。」




『そうなんだ…あっ、もう試合はじまるね!』




クラスメイトの女の子達に
あなたちゃん!と呼ばれ振り返ると、


『_!円陣?』



1組女「せや!」



急いで円陣を組む中に入り、クラスのチームリーダーが声を
上げた。




1組女「1組〜〜!!!気張るでー!!!」



「「オーーっ!!!」」






『(1組の皆……楽しい子ばっかりだ…)』




1組で良かったなぁ。



そんな事を考え

はにかみながら前を向くと、





『っ___!!!』






目の前に居たのは…







5組女「久しぶりやなぁ〜、天宮ちゃん?」


5組女「相変わらずば抜けて可愛ええ顔しとるなぁ。」





5組の女子……



体育祭で____私に怪我を負わせようとした人達だ。




『……どうも。』






真っ直ぐに相手の目を見つめる。




「この人達には絶対に負けたくない。」




久しぶりに私の中で闘志が燃えた。






絶対に勝ちたい。




負けたくない。






ピーーッ_!!!





試合開始の笛が鳴り、


ジャンプボールの子が私の方へボールを落としてくれた。





1組女「あなたちゃん!」



パシッ!!




それを受け取り、ドリブルでスリーポイントラインまで
走る。






そして狙いを定めて_______






パシュッ____。






ビーーッ!!




『やった!!』



シュパッ、と綺麗にボールはリングをくぐり抜けた。



1組女「スリーポイントや!!凄っ!!」




5組女「チッ……」




その後も1組は次々と点を決めていき、




ピーーッ_!!



試合終了の笛が鳴る頃には





5組女「う……嘘や…………1点も決められへんかった……」





『はぁ……っ……はぁ……』






私達1組は



5組に1点も許さずに勝利を収めた。





________________________




1組女「いやぁー、ほんまにあなたちゃんのお陰や!」



1組女「去年うちら初戦で負けとったんやで?」




『ううん、皆が力を合わせて頑張ったから勝てたんだよ。

……私、どうしてもあの子たちに勝ちたかったから。』






1組女「5組の連中な、、あんまいい噂聞かへんから、
なんかされたんやろ?」




『うん……でももう大丈夫。

みんなのおかげで__スッキリしちゃった!』))ニッ



女子達「ハゥアッ!?///(なんや今の可愛すぎや…)」





________________________

治side




治「角名!」





角名「治_!」




角名にパスを貰い、


そのままディフェンスをくぐり抜ける。




侑「そうはさせへんで!!」




ゴール前まで来た所でツムに邪魔をされ、

シュートが打てない。



治「(あかん…一旦パスやな。)」




何をするにしても俺らは張り合うんや。




バレーも…



…あなたん事も俺はお前に負けたくないんや。




侑「_!!」





俺はパスを出すのをやめ、そのままゴールに向かって

ボールを蹴りこんだ。





ピピーッ!!



キーパーの手をすり抜け、シュートが決まる。



治「っし_!」



角名「ナイス!」




侑「クソッ(今のは絶対ほかにパス出す思たんやけどな…)」




その後も接戦が続き、



結果は…




1組男子「よっしゃァァ!!!」



俺ら1組の勝ちや。
________________________


あなたside



第2第3試合も勝ち続け、




残すは決勝となった。





1組女「あかん…緊張してきた…」


1組女「まさかうちらが決勝まで進むなんて……」



『よし…!ラスト試合頑張ろう!!』




1組男子「応援に来たでー!!!
1組の意地見せたれ!!」




頑張れー!という声援がギャラリーから聞こえてくる。




既におわった競技の1組の皆が応援に来てくれたんだ



『(頑張らなきゃ!)』




治「あなたー!」




『_!治〜!』



治はこっちに向かってファイトやで〜と手を振ってくれた。





もう一度皆で円陣を組み、遂に試合開始。





ビーーッ!!





1組女「あなたちゃん!!」




『おっけ__!!』





パシッ!__シユッ。




ピーッ!!



『よし!(スリーポイント!!)』




1組男子「ひぇーっ。」



1組女子「天宮ちゃんてやっぱり万能やなぁ…」

_______________________

治side




開始そうそうスリーポイントを決めるあなた。




治「凄……」




侑「やっぱりあなたはなんでも出来てまうなぁ!」



治「!ツム、自分のクラス応援に行けや。」




侑「はぁ?やってあなたん事見たいんやもん!!

あなたがバスケしとるとこなんて
滅多に見られへんやんか!」



そう言ってナイスやでー!と叫び始めるツム。


……お前は1組ちゃうやろ。


まぁ、何言うたって聞かへんやろうけど。




治「……あなたはなんであんなスポーツ出来てまうんやろか。」




侑「……あぁ、俺の予想なんやけど、


あいつは多分、見とるんや。」




治「見とる……?」




侑「おん。……出来る奴の動きを見ただけで体にインプットしてまう〝バケモン〟や。」




ツムの目が真剣になる。




治「確かに…あなたは
元々バスケの経験あんまりないんやろうしな。」




侑「せやな。ほんまにびびるで。……さすが俺の惚れた女や♡」




治「……うっさいねん。お前だけちゃうわ。アホツム。」





侑「俺の方があなたん事好きやもん。サムは2番目や。」


治「あ…?何言うてんねん。ツムが2番目やろ。」




ガコンッ_!!







その時……




俺らの喧嘩を遮るように





体育館に大きな音が響き渡った。





侑・治「___!!あなた!!」






あなたが……足首を抑えて体育館の床に倒れている。





まさか……足やってもうたんか…?





ピピーッ!!



タイムをとり、同クラの女子にかかえられて
立ち上がるあなた。





治「なぁ、ツム……あれもしかして

捻挫してもうたんとちゃう…?__ツム?」





気づけばツムの姿が無い。






……あいつまさか。




バッ!とギャラリーから下を見下ろすと、



もう既にあなたの元へ駆け寄っているツムの姿があった。




治「(早………)」




…あかん、



俺はこないな所でツムに負けとる言うんやろか、。





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