あなたside
今、私と侑はイルカショーを見ている最中。
『うわ、凄い!水面からあんなにジャンプ出来るなんて…』
水面に向かって投げられたボールを口でキャッチしたり、
くるっ、と一回転したり。
凄いね!と侑の方をみると
まるで5歳児のようなキラキラとした瞳でイルカを見ていた。
『(え……かわい……)』
侑「凄いなぁ……俺もあんなジャンプ力欲しいわぁ…」
「次はイルカの大ジャンプです!前方の席に座っている方は
水しぶきに御注意ください!」
『あっ、やばいかも。』
侑「!?ちょ、アカンって…!まっt))」
バシャァァンッ!!
今までの中で1番の大ジャンプ!!
飛んできた水しぶきの量は半端じゃない
幸い、前から3列目に座っていたから、
1列目に比べるとまだマシなほうだ……
『あはは……こんなに水しぶきが来るなんて…笑
侑、大丈夫?』
侑「俺は大丈夫やけど…」
チラ、と私を見ては目をそらす。
『え?なに?』
侑「………タオル買いに行かへん?」
『?わかった。行こう』
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お土産屋にて。
店員「ありがとうございました〜」
タオルを1つ買って出てきた侑。
『ごめんね、イルカショーって
こんなに濡れちゃうなんて思ってなくて…』
侑「俺やなくてお前や。」
バサッ_。
私の肩にタオルをかける侑。
『え?』
侑「…その…あれや………下着が透けとる。/」
『ええっ!?う、嘘!?//』
気づかなかった………
ありがとう、と言って慌てて隠す。
侑「俺以外に見せたらアカンで…?」
『は…はい。/』
侑「ふっふ、ええ子。__ほな水族館も回ったし…
こっからどこ行こか?」
『うーんそうだなぁ、、』
しばらく考えていると、
あ、と何かを見つけた彼。
侑「あそこに海岸あるやん!海見に行こうや。」
『ほんとだ、行こう!』
水族館の近くには浜辺があって、
太陽の光を反射してキラキラと光っている。
『今日、海尽くしだね笑』
侑「せやな(笑)」
2人で砂の上に腰掛けて海を眺める。
しばらく沈黙が続いた後
侑が口を開いた。
侑「なぁ、1つ聞きたいことがあんねんけど、」
『なに…?』
侑「俺とサムは…………お前のことが好きで、
同じ位の時間一緒におったって思っとったから…
なんで__サムやのーて俺を選んでくれたんかな、って……/」
少し顔を赤くした侑は
私の方を向かないまま聞いてきた。
治じゃなくて……侑を選んだ理由………か、
『確かに2人は…同じ位私の大切な存在だよ。…今も。
でも……私が侑を恋愛感情で「好きだ」って思ったきっかけは、
私を支えてくれた侑の「言葉」にあるの。』
侑「言葉……?」
『うん。それに……父さん相手に言い返してくれたあの時も、
凄いなって思ったの、。
私は今まで言い返したことなんてなかったから…』
侑「あなた…」
『ちょっと恥ずかしい…けど、、
ヤキモチだって妬いたんだよ……?』
侑「え!?いつ!?」
『………あの1年生の子…』
侑「_!さよか…
そんなに俺のこと想ってくれとったんやな。
俺、お前の彼氏になれてほんまに嬉しい。」
ギュッ。
『わ…っ//』
抱きしめられ、侑の胸元に倒れ込む。
侑「もー、ほんまに……好きや。」
『わ…私だって……好き…だもん。/』
侑「ふっふ__なぁ、こっち向いてや。」
『ん?___んっ。』
ちゅ、と優しくキスを落とされる。
『………////』
侑「ふ…真っ赤やで?可愛ええなぁ。」
『だって……いきなりするから……//』
侑「初めてやないやろ…?」
『…そうだけど。』
侑「…じゃあ、今度はあなたからしてや。」
『え、なにを?』
侑「キス。」
『…!?//む、無理……はずかしいから…//』
私の言葉を無視して ん…と目を瞑る。
『(ええええ……//むりだっていってるのに…!)』
侑「…はよ。」
『ええ……もう、、わかったよ。』
目閉じたままの彼の両頬に手を添え、
唇を近づけていく。
うるさい心臓が聞こえてしまいそうなくらい周りは静かで、
唯一波の音だけが響く。
『っ……//す、するね?』
侑「ふっふ、どーぞ。」
『………ん、、っ。』
…ちゅ。
触れ合って1秒。__直ぐに恥ずかしくなって唇を離す。
侑「よく出来ました。……せやけど足らんな。」
『へ…?』
侑「なぁ、〝キスの先〟って知っとる?」
『……それ………』
前に誰かにも言われたような……
あ………そうだ、、
治に言われたことがある…。
結局私には分からずじまいだった。
でも……私はそれを彼に、
侑に教えて貰いたい…
『ねぇ……侑……』
侑「…ん?」
『教えて……ほしい、な。』
侑「……え……」
『その……先……侑に教えて欲しいの…。』
侑「!?っ……//あほ。
そ……そういうんはまだ……な…?ほら…えっと…//」
『???え?』
侑「……そのうち、な?」
私の手を引き、立ち上がって砂を払う。
『(そのうち……?)』
侑「(ああ…あかんあかん…
こいつの前やと俺の余裕キャラが壊れてまう…)」
___だんだんと日が暮れていく。
家までの帰り道は行きよりも時間が早く感じて
もう少し一緒に居たかったな、なんて考えている自分がいた。
『ありがとう。今日凄く楽しかった!』
侑「俺も楽しかったで。また行こうな!」
にっ、と笑う彼にまたドキッ、として
ああ、幸せだなとはにかむ。
『じゃあ、また明日。』
侑「おん。明日な。」
バタンッ__。
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宮家にて。
ガチャ…
侑「ただいま帰ったでー」
宮マミ「あら、侑そんな格好して…
女の子とでも遊びに行ったん?」
侑「せや。」
宮マミ「ほー、あんたがなぁ。珍しいな。」
侑「(あ…せやった。オカンに付き合うてること
言うてへんかった……)
あ……あんな、オカン、」
宮マミ「??なんや改まって。」
侑「俺……彼女出来た。」
宮マミ「えぇええ!あらまぁほんまに!?
え、誰!?おかーちゃんあなたちゃんがええ!」
侑「(オカン…(汗))
おん……そのあなたちゃんが俺の彼女や。」
宮マミ「……………………ほんまに……?」
侑「ほんまや。」
宮マミ「ぇええええ!いやぁぁあ♡♡!!
ようやったで!バカ息子ぉお!!」
侑「うわっ、!ちょ、やめろや!!頭撫でるな!」
宮マミ「あんな可愛くてええ子……ようあんたのこと選んでくれはったなぁ))泣」
侑「うっさいわ!」
治「自分らがいっちゃんうるさいで。」
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あなたside
時は期末テスト1週間前。
突然だがここは宮家。
___時刻は9時。
『はい、じゃあ解けるようになるまで休憩なし。』
侑「鬼やぁ……」
治「そもそもここどうやって解くん…」
『ああ、ここはね…こうして、』
治「_!なるほどな。」
侑「なーあ。」
すり、と猫のように背後からくっついてくる侑。
あれ……なんかデジャヴだなこれ…
『侑!集中して。』
侑「んー、ほなちゅーしてくれたら集中すr))何か言った?
…いやほんとすんませんでした。頑張ります。」
『ふぅ……』
こうしてまた、宮兄弟のための期末テスト対策、
赤点回避勉強会がスタートしたのであった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。