第101話

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2020/07/29 12:56
あなたside





今、私と侑はイルカショーを見ている最中。






『うわ、凄い!水面からあんなにジャンプ出来るなんて…』




水面に向かって投げられたボールを口でキャッチしたり、


くるっ、と一回転したり。





凄いね!と侑の方をみると


まるで5歳児のようなキラキラとした瞳でイルカを見ていた。




『(え……かわい……)』



侑「凄いなぁ……俺もあんなジャンプ力欲しいわぁ…」






「次はイルカの大ジャンプです!前方の席に座っている方は
水しぶきに御注意ください!」




『あっ、やばいかも。』




侑「!?ちょ、アカンって…!まっt))」




バシャァァンッ!!





今までの中で1番の大ジャンプ!!




飛んできた水しぶきの量は半端じゃない





幸い、前から3列目に座っていたから、

1列目に比べるとまだマシなほうだ……






『あはは……こんなに水しぶきが来るなんて…笑

侑、大丈夫?』




侑「俺は大丈夫やけど…」




チラ、と私を見ては目をそらす。



『え?なに?』




侑「………タオル買いに行かへん?」




『?わかった。行こう』





____________________


お土産屋にて。




店員「ありがとうございました〜」



タオルを1つ買って出てきた侑。



『ごめんね、イルカショーって
こんなに濡れちゃうなんて思ってなくて…』




侑「俺やなくてお前や。」




バサッ_。




私の肩にタオルをかける侑。




『え?』



侑「…その…あれや………下着が透けとる。/」




『ええっ!?う、嘘!?//』




気づかなかった………



ありがとう、と言って慌てて隠す。



侑「俺以外に見せたらアカンで…?」



『は…はい。/』




侑「ふっふ、ええ子。__ほな水族館も回ったし…

こっからどこ行こか?」





『うーんそうだなぁ、、』



しばらく考えていると、



あ、と何かを見つけた彼。





侑「あそこに海岸あるやん!海見に行こうや。」




『ほんとだ、行こう!』





水族館の近くには浜辺があって、

太陽の光を反射してキラキラと光っている。





『今日、海尽くしだね笑』




侑「せやな(笑)」



2人で砂の上に腰掛けて海を眺める。




しばらく沈黙が続いた後



侑が口を開いた。




侑「なぁ、1つ聞きたいことがあんねんけど、」



『なに…?』



侑「俺とサムは…………お前のことが好きで、


同じ位の時間一緒におったって思っとったから…



なんで__サムやのーて俺を選んでくれたんかな、って……/」





少し顔を赤くした侑は

私の方を向かないまま聞いてきた。




治じゃなくて……侑を選んだ理由………か、






『確かに2人は…同じ位私の大切な存在だよ。…今も。


でも……私が侑を恋愛感情で「好きだ」って思ったきっかけは、



私を支えてくれた侑の「言葉」にあるの。』





侑「言葉……?」




『うん。それに……父さん相手に言い返してくれたあの時も、
凄いなって思ったの、。

私は今まで言い返したことなんてなかったから…』






侑「あなた…」




『ちょっと恥ずかしい…けど、、


ヤキモチだって妬いたんだよ……?』




侑「え!?いつ!?」




『………あの1年生の子…』






侑「_!さよか…

そんなに俺のこと想ってくれとったんやな。


俺、お前の彼氏になれてほんまに嬉しい。」




ギュッ。



『わ…っ//』




抱きしめられ、侑の胸元に倒れ込む。






侑「もー、ほんまに……好きや。」





『わ…私だって……好き…だもん。/』





侑「ふっふ__なぁ、こっち向いてや。」












『ん?___んっ。』











ちゅ、と優しくキスを落とされる。






『………////』




侑「ふ…真っ赤やで?可愛ええなぁ。」




『だって……いきなりするから……//』





侑「初めてやないやろ…?」



『…そうだけど。』




侑「…じゃあ、今度はあなたからしてや。」





『え、なにを?』




侑「キス。」





『…!?//む、無理……はずかしいから…//』





私の言葉を無視して ん…と目を瞑る。



『(ええええ……//むりだっていってるのに…!)』





侑「…はよ。」



『ええ……もう、、わかったよ。』





目閉じたままの彼の両頬に手を添え、



唇を近づけていく。





うるさい心臓が聞こえてしまいそうなくらい周りは静かで、


唯一波の音だけが響く。




『っ……//す、するね?』



侑「ふっふ、どーぞ。」




『………ん、、っ。』






…ちゅ。




触れ合って1秒。__直ぐに恥ずかしくなって唇を離す。





侑「よく出来ました。……せやけど足らんな。」




『へ…?』





侑「なぁ、〝キスの先〟って知っとる?」




『……それ………』




前に誰かにも言われたような……




あ………そうだ、、





治に言われたことがある…。




結局私には分からずじまいだった。




でも……私はそれを彼に、




侑に教えて貰いたい…




『ねぇ……侑……』



侑「…ん?」




『教えて……ほしい、な。』




侑「……え……」



『その……先……侑に教えて欲しいの…。』




侑「!?っ……//あほ。



そ……そういうんはまだ……な…?ほら…えっと…//」




『???え?』




侑「……そのうち、な?」




私の手を引き、立ち上がって砂を払う。



『(そのうち……?)』




侑「(ああ…あかんあかん…

こいつの前やと俺の余裕キャラが壊れてまう…)」





___だんだんと日が暮れていく。





家までの帰り道は行きよりも時間が早く感じて




もう少し一緒に居たかったな、なんて考えている自分がいた。





『ありがとう。今日凄く楽しかった!』





侑「俺も楽しかったで。また行こうな!」





にっ、と笑う彼にまたドキッ、として


ああ、幸せだなとはにかむ。




『じゃあ、また明日。』



侑「おん。明日な。」






バタンッ__。








________________________


宮家にて。




ガチャ…




侑「ただいま帰ったでー」



宮マミ「あら、侑そんな格好して…
女の子とでも遊びに行ったん?」





侑「せや。」



宮マミ「ほー、あんたがなぁ。珍しいな。」





侑「(あ…せやった。オカンに付き合うてること
言うてへんかった……)


あ……あんな、オカン、」





宮マミ「??なんや改まって。」





侑「俺……彼女出来た。」





宮マミ「えぇええ!あらまぁほんまに!?

え、誰!?おかーちゃんあなたちゃんがええ!」




侑「(オカン…(汗))


おん……そのあなたちゃんが俺の彼女や。」






宮マミ「……………………ほんまに……?」





侑「ほんまや。」




宮マミ「ぇええええ!いやぁぁあ♡♡!!
ようやったで!バカ息子ぉお!!」




侑「うわっ、!ちょ、やめろや!!頭撫でるな!」






宮マミ「あんな可愛くてええ子……ようあんたのこと選んでくれはったなぁ))泣」





侑「うっさいわ!」




治「自分らがいっちゃんうるさいで。」





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あなたside






時は期末テスト1週間前。




突然だがここは宮家。




___時刻は9時。





『はい、じゃあ解けるようになるまで休憩なし。』




侑「鬼やぁ……」




治「そもそもここどうやって解くん…」



『ああ、ここはね…こうして、』




治「_!なるほどな。」




侑「なーあ。」






すり、と猫のように背後からくっついてくる侑。



あれ……なんかデジャヴだなこれ…




『侑!集中して。』




侑「んー、ほなちゅーしてくれたら集中すr))何か言った?

…いやほんとすんませんでした。頑張ります。」





『ふぅ……』




こうしてまた、宮兄弟のための期末テスト対策、





赤点回避勉強会がスタートしたのであった。







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