第115話

番外編 Another Story__
5,182
2020/10/26 14:27
Another Story___.









〝貴方で良かった。〟











_____________________

no-side




明るい教室、響く笑い声。




私だけが…〝此処ここ〟にいない。








女「それにしても…ほんっと地味ブスだよね〜!」




『…』



女「なんとか言うたら?悔しないんかぁ〜?

ま、ほんまのことやしな!」






私は……2年2組の世にいう陰キャ女子。





外見だって…言われたって仕方の無いくらい…可愛くない。





女「あんたとさ、隣のクラスの天宮あなたちゃん、
並べてみたいわぁ〜笑

マジ女神とゴミだよね。」



女「そうそう笑 ほんまその顔どうにかせぇや。」






『…ごめんなさい。』





何度言われただろうか。


…となりのクラスの…美人のあなたちゃんと比べられて


毎日悪口を言われる日々。






…でも、私が悪いんだ。



元々は、こんな外見でも直接悪口を言われる事なんて無かった。







理由があるんだ。







『…っ』






〝恋〟をしてしまったから。







このクラスの___









男子バレー部の彼に。






____________________



『はぁ………かっこいいな、』




今日は男子バレー部の練習試合。




ウチの高校でやるから、同じ学校の男バレファンは

こぞって見に行くんだ。






勿論自分もその中の1人。






上がったボールを巧みにセットアップして……



スパイカーを上手く使い分ける。





セッターの彼の背中を見つめては…胸が高鳴る。







『侑……くん、、』




双子の治くんがスパイクを決めて、



「よっしゃ!」とはにかむ彼が格好良くて…





気づけば恋に落ちていたんだ_____。






女「ねぇ、あんたちょっといい?」





『え、な、なんですか。』




いきなり同クラスの女子に腕を捕まれ、




体育館横まで連れていかれる。





『(まだ試合途中だったのに……)』




女はドンッ、と私を話すと、


担当直入に言うけど…と睨んで来た。




女「あんたさ、男バレの試合毎回見に来てるよね?」



『…だから、、なに?』




女「正直キモいから。どうせ宮兄弟のどっちかのファンでしょ?


あんたみたいなブス、ファンとしていられると困るの。」





……何を言われるかと思えば。





外見のことなんて、言われなくてもわかってる。



そりゃ、あんたらよりあたしはブスだよ。




…でも、







『……でも、応援したいって……思っちゃだめなの?

その気持ちに…外見って関係あるの?』





女「…は?何…ほんとムカつく!!ブスだから宮くんらが
迷惑がるでしょ?あんたみたいなのに応援されても嬉しくないから。」






『でも私は…応援したい、、!!この気持ちは嘘じゃないから。』




怖くても全力で見つめ返すと、


女はさらにキレて、近くの水道にあった水の入ったバケツを



私の方に思いっきり投げた。







『っ__!!』





ギュ…と目を瞑る。




濡れるのを覚悟した、その時だった。







______バシャァッ!!







『あ…れ……?』





いつまでたっても濡れない。



どうして…とゆっくりと目を開けると、





そこには誰かの後ろ姿があった。







それが_____金髪の〝彼〟だと言うことに


気づくのに時間はかからなかった。






『………!!』





女「な………っ!」







侑「はーぁ。びしょ濡れやわ。……どないしてくれるん?」





つめた。と濡れた練習着を絞る侑くん。




なんで…?どうしてここに…こんなタイミングで?


頭の中がぐるぐるして、、何か言葉を発することも出来なかった。





女「あ、、あ、み、宮くん…ごめんね、!これは
そこのブスが悪くて…」





侑「せやな、これはブスのせいや。」





女「そ、そう!!宮くんも思うよね!!」





侑「おん。……お前みたいなブスのせいや。」




『!!』


女「!!なんで…っわたしブスじゃな………」




侑「はぁ?ブスやん。あとその香水?毎回教室で思っとったんやけど臭いからやめてや。

サムも廊下ですれ違った時言うとったわ。笑」






女「っ…ひどいっ……」




途端、女は泣き出してしまった


すると侑くんは「めんどくさ。」と言いながらさっさとどっか行けや、と女を睨んだ。







『(……女、、走って行っちゃった……………)』




シーン、と辺りが静まりかえる。




…何か言わなきゃ、ありがとうって、


たとえ、私を庇ってくれたわけじゃないかもしれなくても、



救われたから。





何も言わず体育館に戻ろうとした侑くんのシャツを



気づけば掴んでしまっていた。







『…あ…っ』





侑「…なんや。」





練習戻らなアカンのやけど。と言われ、ごめんなさい…と

シャツを離す。





そして____









『ありがとう。』





彼の目を見て言うと、






侑「…別に、うっさかったから見に行っただけやし。

庇ったんはついでやから。」







それと…と彼は続けた。







侑「…応援、ありがとうな。」






『っ………!//……はい。っ!』






それだけ行って、また練習へ戻って言った。






…嬉しい。





応援して………いいんだ、



気づいてくれた。



ありがとうって言ってくれた。




『っ…うっ……』





いけない…ここで泣いちゃ、誰かに見られてしまう。




急いでハンカチを取り出し、目元を拭き、


またギャラリーへ戻ることにした。




______________________



『今日の練習試合も、稲荷崎の全勝だったなぁ…』




そして…侑くんのセットアップ…凄かった!





カバンとリュックをからい、帰宅しようと校門を出る。






?「待って!」





『?!』




少し弱い力で…誰かに服の袖を掴まれた




振り返ると…




『!?貴方は………』





あなた「いきなりごめんね、これハンカチ……


落としたの見て、探してたの!」




透き通るような可愛らしい声、綺麗な肌、整った顔立ち。



…噂の〝あなたちゃん〟が…私の目の前に立っていた。




『…ありがとう。』



そう言って受け取ると、どういたしまして!とニッコリと
微笑む彼女。





…いいなぁ。私が貴方だったら、、、



きっと侑くんに見て貰えただろうな。




もしかしたら、、恋人同士にだって…





『(…いけない、こんなこと考えてちゃだめ…)』





あなた「…?どうしたの?どこか、体調悪い…?」



『え、ああ、ううん。ちょっと、考え事してて。


ありがとうあなたちゃん。』





あなた「!名前、知っててくれたの?嬉しいな…//!

貴方の名前も聞いていいかな、、?」




そう言って細くて華奢な手で、私の手をぎゅっ。と握った。







〝うっわ!ブス!さわんじゃねーよ!〟



〝触られたぁ…最悪なんやけど。〟






『…っ』





__触れてみてすぐにわかった。





あなたちゃんは……






とても暖かくて、、〝優しい女の子〟だってことを。







みんな私を嫌がった。みんな…私から遠ざかったのに。





彼も…



そして_____目の前の彼女も。






決して私を軽蔑の目で見ることも無く、




1人の人として……接してくれた。







『…私の名前は_________。』









あなた「宜しくね、___ちゃん今日から友達だっ!」ニコッ







『…うん!ありがとう。』





______________________



あれから数ヶ月が経った。








噂では、どうやら私の大好きな〝2人〟は____




恋人同士になったらしい。








『ふふ____






大好きだった人の彼女が………





貴方で良かった。』


















これからもずっと……〝応援〟しています。













_______Another Story.____end.

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