第72話

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2020/05/10 15:05

侑「思っとった通り…財布とジャージはアイツらの仕業やったな。

…勝手に人の私物触んなや、きっしょ。」



治「ほな財布中身ごと洗濯しとったるわ」



侑「やめい!!」



『…あ、侑のジャージたたんで
机の上に置いたまんまだ。』




侑「ええよ、終わったら取りに行くわ。」





放送「間もなく、午後の部が始まります。

午後の部、最初の種目は10人リレーです。
選手は速やかに___」




侑「あっ、俺行かなアカン!」


治「10人リレーでるんや、
俺はさすがに断ったわ。」



侑「俺おらんと負けてまうからな」



治「俺がおったらの間違いとちゃう?」



侑「なんやと!?」



『喧嘩しないで、ほら、早く行かなきゃ!』




そう言って侑と別れ、治と2人でテントへ向かう。



さち「あなた!えらい遅かったやん…!」




治「あなたな、他クラスの女子に囲まれとったんや。」



さち「…!ほんま……?」




『うん、笑
でも侑が来てくれたから…』



さち「っ……ウチが一緒におらんから…
ほんまにごめん、」



『さちは謝ら無くていいよ!

それに__もう大丈夫だから!』))ニコッ




さち「さよか…?もう今度からトイレの中まで
着いてくるわ…」



『いやいやそれはちょっと…(笑)』



__________________
治side



さち「にしても…宮(侑の方)が女かばうん珍しな。

やっぱしあなたん事好きなんやなぁ〜」




『すっ…!?えっ、な、そんな訳…//』




治「…ツムよか俺の方が好きやし。」))ボソッ



『……ん?
治?なんでそんな不機嫌そうな顔してるの?』



あなたに言われるまで自分が不機嫌な

顔になっている事に気づかなかった。



…俺かてあなたん事守りたいし。


ツムに遅れてあなたの元へ向かった時、



ツムがあなたん事抱きしめて…キスしとったんも

見とった。



俺……このままやとツムに負けて___あなたが
ツムとくっついてまうんやないかって、





不安になる。





治「__っ…」






『治、よーしよし。』))ナデ





治「___!」




あなたがニコニコしながら俺の頭を撫でた。




まるで___不機嫌な子供をあやす様に。





『何か___悩んでる?

私で良かったら話し聞______っん!?』




なんや……もう。



可愛すぎやんか。




俺は周りにバレないように振り向きざまにちゅ、

とあなたにキスをした。



治「…ツムやのーて、俺の事見とって…?」



『っえ?……//』



治「言うたやろ___?



俺……あなたに惚れてるんやって。/」




『う…//えと…私どうしたら良いか…//』



治「今はまだ…それだけ覚えとってくれたら
ええ。

……絶対俺に惚れさすからな。」



『っ……//わ、わかりました…??//』





治「ふ…」



ほんまに、あなたは天然やな



わかりました…?ってなんやねん(笑)





でもそんなとこがたまらんく愛おしいんや。




ツムなんかに負けてたまるか。






絶対惚れさせて、俺の傍で笑わせたる。







____________________
あなたside



『ああっ……ついに……ついに選抜リレー……』



さち「頑張ってな!」



『行ってきます……』



治「頑張ろな、あなた。」



『うん…!』



治「?なんや、また緊張しとるんか?」



『だって私が遅かったら…
治とか、皆に迷惑が…』




治「ドアホ」


ビシッ


『いたぁっ!?』


額を軽くデコピンされ、じーんと痛む。


治「心配せんでええ、自分がヘマしても

____俺が1位とったるから。」




ドキッ__。





『……治……!!か、、っ』



治「…?か?」



『かっこいい…!!』




治「ふ、あなたに言われるんがいっちゃん
嬉しいで?」))ニコッ




『いやぁぁあ治ぅぅう!!』




もうこの子いい子すぎて


ほんとに泣きそう……))



「選手、入場。」




放送がなり、それぞれ2グループに別れて
指定場所へ移動。



『ああ……治がっ……向こう行っちゃった……』



周りには1年やら3年の速そうな人達ばかり。



白、青ブロックが隣に並ぶようにして整列した。




私の走順はアンカーの1個前。



私次第で赤チームは大きく変わってしまうことも
考えられる。




『(ああ……やだ怖いここ………)』


でも、



頑張らなきゃ。




1番でバトンを渡して、治への負担を軽くしないと。




そうこうしているうちに走順が回ってきた。




赤チームは先輩男子が1番で持ってきてくれて__




赤男子「___ハイ!!」



パシッ。




『っ___!』





よし、このまま全力で走って治に渡すんだ!!




〝俺が1位とったるから。〟





治の言葉が脳内で響き渡る。




その一言のおかげで、私は今ちゃんと走れてる。



治が待つ1レーンを走り、






治「あなた!!」




『治_!!』




パシッ__。





バトンを渡した。




侑「なっ___!クソッサム!!」




続くように来た白チームからのバトンをもらい、



侑が治を追う。



『はあっ……はあっ……』




その他のアンカーも次々と走り出したが、




治に続く侑__2人に追いつく者はいないようだ。




『治っ____!!頑張れ!!』




侑が追い上げてる……!!



なんて速さなの…))汗




ゴールテープの手前__睨み合う2人。



1位でゴールしたのは_____











治「はぁっ………はぁ……っ…」




侑「…くっそ………っ……」




「1位赤ブロック!2位白ブロック…!3位__」





『やった…………やったぁああ!!』




放送「選手、退場。」



退場後、すぐに治の所へ駆け寄る。





『治ぅうう!!やったね!!』



治「!あなた!」



ハイタッチ__!しようと両手を上げると




ギュッ。



『わっ_!?』




抱きしめられてしまった。



治「あなたが1番で持ってきてくれたから
勝てたんや。……ありがとな。」




『ううん、治が声かけてくれてたおかげ!
だからちゃんと走れたんだ。』


そう言うとさよか_と笑い、


ゆっくりと私を離した。



『所で____あそこでしゃがみこんでるの

侑……だよね?』




グラウンドの端にある木に腰掛けてズーン……と

いかにもという様子で沈みこんでいる侑。




治「ああ……今はそっとしとった方がええで。


…多分俺に負けて機嫌悪いんや。」




『そう……なんだ。』



そして治は

ほな、また係行かなアカンから…と向こうへ行ってしまった。



『………ほっとけないな……』




でも…勝ったチームから何か言われてもな。



うーん。どうしたら……



ゆっくりと侑に近づく。



侑「……なんやねん。」



声のトーンで分かる。やっぱり機嫌悪いんだ。





『……どうだった?私の走り。』




侑「あぁ?……速かったな」



『でしょ……?……でも赤が勝てたのは

最後に治が頑張ってくれたからだよ。』





侑「…何が言いたいねん。」




『治……………かっこよかったなぁ〜!♡』



侑「_!?!」



そう言って侑の隣に座る。



『一生懸命走ってる横顔とか…』


侑「ゔっ……」



『バトン受け取る時の表情とか…』



侑「あ"っ……」



『もうめちゃくちゃかっこよかった!』



侑「なんやねんっ……!!そんなん思てるんやったら
サムんとこ行きやぁああ!!))泣」



耳をおさえそう叫ぶ彼




『……じゃあ、治のとこ行くね?』



そう言って立ち去る素振りを見せると


体操服の裾を掴む。



侑「……ほんまに行くなや。」



『ふふ……じゃあ、見せてよ。』



侑「_?」




『侑のかっこいいところ。』



侑「__!」



『ね……?だから、

そんな所でうつむいてないで、元気だしな!』))ニコッ



侑「ふっふ……ありがとさん。))ポンッ


ほな…見ててな?俺の事。」







『うん。ちゃんと見てるよ___侑。』






彼はこうして笑ってる方が___




かっこいいんだから。


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