第109話

101 暗転。
5,611
2020/08/29 02:51

宮パピ「そない可愛ええ顔しとるんやから、
彼氏くらいおるやろなぁ〜」



お酒を飲みながらガハハ!と真っ赤になった顔で笑うお父さん。




『あはは…はい、まぁ……』




侑と私が付き合ってること、お父さんは知らないんだ…




チラ、と侑の方を見ると

何かを決意したのかお父さんの方を向いた。




侑「なぁ、…おとん。」




宮パピ「なんや〜?小遣いならないで?」




侑「ちゃうわ!……俺の、、その、彼女のことなんやけど。」




『_!』





宮パピ「ほぉ〜侑に彼女が出来たんか!
あなたちゃんみたいな可愛ええ子なん?」





侑「いや……みたいなやなくて、あなたが俺の彼女や。」




彼がそう言うと、お父さんはピタッ、、と動きを止めた。




え……これってもしかして、、



反対されちゃう……?




しばらく沈黙があって、お父さんはゆっくりと口を開く。




宮パピ「あなたちゃん…ほんまに…侑と付き合うて
くれとるんか?」





『は、、はい…!お付き合いさせていただいてます。』




宮パピ「さよか……くっ…っ…」




『…え。』




お父さん……泣いてる……!?



治「いやおとん……なんでそこで泣くねん。」



侑「…そない嬉しかったんか。息子に彼女が出来て。」





宮パピ「ちゃうっ…!侑に彼女が出来た言うから
どんなギャルかと思えば……!!

礼儀正しくてしかも可愛ええ天宮さんとこの娘さんやなんて…!!」





『ええ……いや……そんな……))汗』








宮マミ「あなたちゃん、この人あなたちゃんの
お父さんに命救われとるんよ〜?」





『父が…ですか?』





宮マミ「そうなんよ!まだ息子らが小さい時、
現場で大怪我してな、

そんとき自分の病院に運んで……手術したのがあなたちゃんのお父さんなんやで。」





『そうだったんですか……』





そんな繋がりがあるなんて知らなかったな、




宮パピ「バレーボールばっかりでさえん息子やけど、
よろしゅうね、あなたちゃん。」




『はい!こちらこそ……!』




侑「さえん言うなや……」


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『ご飯美味しかったです!』




宮マミ「ふふ、また食べに来てな〜」




『ありがとうございます! ))ニコッ



お邪魔しました〜』






侑「待ってや、家まで送る。」



____宮家の玄関を出て、自分の家の方へ向かう。




侑「おとんうるさくてすまんな、

あと紹介が遅れたんも……すまんかった。」




『ううん、全然大丈夫だよ?


実は…私も、父さんに侑のこと話さなきゃいけなくて、、』




こんど父さんと会ってくれる?と聞くと、


もちろんや!と笑ってくれた。





侑「スーツ着て行くわ。」




『いやいや、普通に私服でいいよ……笑』




侑「せやけど、反対されへんかな。


俺……前お前のおとんに結構偉そうなこと言うたから、」






心配そうな顔をする侑の手を握り、




大丈夫!と言うと、



「まぁ、反対されても別れんけどな。」

と少しイタズラに笑った。





『…侑、』





侑「ん?」






「あ……ちょっとかがんでもらえる?…/」







侑「なんでや?」






『いいから!/』







侑「なんやねん(笑)……ほら、かがんだで____っん。


_!?」






ちゅ、彼に自分からキスをしてみる。





侑は驚いた顔をして、耳と頬が少し赤くなっていた。





やばい……そんな顔されたら逆に………っ……







『じゃ…じゃあまた明日ね…!//

ちゃんと早めに寝るんだよ!』







___バタンッ。








『はぁぁ………もう、、









ほんと……すき……。』











〝反対されても……別れんから。〟







その言葉を聞いた瞬間、胸がドキッ。となるのを感じた。






……嬉しかったんだ。







『だからって……ちょっと大胆だったかな……//』







でも…たまにはいいよね。






______________________

次の日__。






治「あなた、おはよ。」




『おはよ〜』





いつもの様に挨拶をして、自分の席に座る。





『…?何か入ってる。』





机の中に手を入れると___何やらカサッ、と音がして



見てみると「手紙」が入っていた。






『誰だろう………』





取り出して読んでみると





「天宮さんへ。


話があるので、昼休みに生徒玄関前まで来てください。」







『話…?なんの話だろう。』






治「ん?…あなた、それ何なん?」




『ああ、、机の中に入ってて……



話があるから昼休みに生徒玄関前まで来てって。』





名前が書いて無いのがちょっと怖いけど。




治「どうせあなたのファンやろ。
無視しとき。」





『でも………』





もしかしたらちゃんとした用事かもしれないし…





とりあえず行くだけ行ってみるね、と治に言って




午前中の授業を終えた。





______________________


キーンコーン___






『ごめん、先に食べてて!ちょっと行ってくる。』




さち・みよ子「おっけ〜」






廊下へ出て、階段を降りる。






生徒玄関前に着くと……


1人の男の子が扉の前に立っていた。





『(この人……かな、?)』





シューズを見ると…1年生だ。




男の子「_!あ、あの……来てくれたんですね。」






『……君が手紙を入れたの?』





そう聞くとにっこりと笑って、はい!と答えた。





男の子「実は……直接会って言いたくて……」





『_?』





男の子「先輩が好きです!……俺、ずっと好きだったんです。」





『__!』





告白……されちゃった、、






でも私にはもちろん侑がいるし、、






『ありがとう、でも……ごめんなさい。



私…付き合ってる人がいるから、。』





男の子「知ってます、宮兄弟の__宮侑先輩の方ですよね?

校内1の美男美女カップルだって……噂になってますから、。


でも、俺……知ってるんです。」







突然、暗い顔になる男の子。






『何を……?』






男の子「侑先輩が………天宮さんと付き合っているのに、










〝年下の女子〟と浮気してるんだって、。」








え……?










何を……言ってるの?







『え……何かの間違いじゃない?

…だって、侑はそんな事しないし、、。』







男の子「…でも俺見たんです。侑さんがこの間の昼休みに、

俺と同じクラスの女子と抱き合ってるの、、。」







『うそ………そんな……嘘だよね……?』





頭の中が混乱して……うまく思考が回らない。




侑はそんな人じゃない。




わかってるのに…一気に不安が押し寄せる。






男の子「こんなこと聞きたくないですよね、、

すみません。でも……天宮先輩の事思うと黙ってられなくて。」






『……そう、、ごめんね、、私ちょっと、、もう教室戻らなきゃ。』





いても立ってもいられなくなって、男の子に背を向け

教室の方へ戻ろうとする。








すると男の子は私に向かってこう言った。




男の子「もしかしたら………今も会ってるかもしれないですね、





2階の……物理室で。」






『っ__!』







階段を登る足が止まる。






『(嘘だよ……だって……私は侑を信じてるんだから……)』






それでも何故か動き出した足は物理室の方へ向かっている。





『(あんなの嘘…だからお願い………






〝そこ〟に居ないで。)』







物理室の前を過ぎる瞬間__一瞬だけ中を覗いた。






『__嘘……








ほんとに……侑が…いる、、。』






それに……女の子もいた。







〝あの子〟だった。







でもやっぱりまだ何かの間違いだって思いたくて……




いつもの様に教室へ入り、さちとみよ子に笑顔を向ける。




『ただいま!遅くなっちゃった。』




みよ子「_!あなた……?」




さち「ちょ……なんかあったん…?」






『え………?』






ポロッ__と瞳から涙が溢れてくる。







さち「あかん……!ここじゃ目立つから……


女子トイレ行こ。」




みよ子「せやな、行くであなた。」





『ん……ごめんね、、』




____________________



さち「そんで……どうしたん?なんかあったん?」



みよ子「宮あつと喧嘩したとか?」






『ちがうの………実は_____』






さっきあった出来事を全てさちとみよ子に話した。





みよ子「……それ、ほんま……?

あのいっつもあなたにベタベタしとる宮あつが……」





さち「いや……これはもしかしたら「罠」かもしれんで。」





『罠……?』





さち「2人を別れさせるように仕向けた誰かが……


仕組んだ罠やと思うわ。


これはうちの推理やけどな、あなた、惑わされたらあかん。



まずは宮あつと会って……ちゃんと話した方がええと思う。」








『うん……そうだよね、ちゃんと話さなきゃ、』






ありがとう、と2人にお礼を言って



2組の教室へ向かった。






『ごめん、侑呼んでくれないかな…?』




女「宮?おっけ、待ってな。


宮あつ〜!彼女ちゃんが呼んでるでー!」






侑「_!………ちょっと待ってな。」






食べていた弁当を置いて私の方へ来る。







侑「…どうしたん、そんな暗い顔して…」





『いきなりごめんね、実は侑に……話があるの。』






_______________________
侑side



俺は今自分でもわかるくらい………ものっそい機嫌が悪い。








1年女「だから……お願い、私と付き合って…?
宮先輩っ……」




男バレの後輩が

物理室で用事があるから来てください言うたから、




来てみれば。





侑「はぁ……なぁ、俺言うたよな?もう俺んとこ来んのやめろやって。

あなたに誤解されたらどないしてくれるん?

あ?責任とれるんか?」





飯食うたらあなたんとこ行こ思てたんに。



時間ロスしたわほんまに。





1年女「だけど……知らないですよね、



天宮さんって……年下の男の子と浮気してるんですよ?」





は……?



何言うてんねんコイツ。






あなたが浮気なんかするわけないやろ。





俺は黒板を思いっきり叩き、女を睨みつけた。


侑「適当なこと言ってんとちゃうぞ……?


女やからって容赦せんからな。」





1年女「っ………で、でも!私見たんです…っ!!

嘘だと思うなら……もしかしたら今も会ってるかもしれないので、、


私が見たのは生徒玄関前なので、そこに行って見てきてください。



もし本当だったら………またここに戻ってきてください。」






侑「はっ………上等や。」





俺はスタスタと生徒玄関へ向かう。





すると……そこにはあなたの後ろ姿があった。







侑「……よりによってなんでほんまにおんねん……


まぁ……たまたまかもしらんし………っ…!」







あなたの目の前には1年のシューズを履いた男子。






侑「……なんで、………嘘や……あいつがそんな、……」




あなたはいつも真っ直ぐで、


ましてや浮気なんかする女やない。




それは俺が1番知っとった……ばすやのに。



______________________




『実は……侑に話があるの。』






話ってなんや…。




もしかして別れ話…?





嫌や、そんなん。俺が好きなんはあなたやし、



あなたが俺以外を好きになんのも絶対嫌や。





なんで……?俺のなんがあかんかった?



いや……そうよな、あかん所もあったかもしらん。



せやけど俺はあなたが死ぬほど好きやねん。



俺から……離れんといて……お願いやから、、





侑「っ………ぁ……」





『…侑…?聞こえて…………』








侑「っ………うっさいねん……!!お前なんか…ッ……



どこにでも行ったらええんや!!!」







シン……と静まり返る廊下。









俺は慌てて口元を抑え、やってもうた……と後悔した。





ちゃう、、そんな事がいいたかったんやない。






「俺から離れんといて」って……そう言いたかったのに。






不安でいっぱいになってしもて……逆のこと言うてしまった。






あなたを見ると……驚いた顔をした後、


目に沢山の涙を浮かべて……『ごめんね、』微笑んで向こうへ
走って行ってしまった。







侑「ちゃう……俺は……






ほんまにお前が好きなんや……。」






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