治side
北さんに連れられ、フラフラとした足取りで
体育館を出ていったツム。
治「どあほ……」
最近のツムは___プレーに力がこもっとる。
どうせ俺に負けんようにとか思てるんやろーけど。
角名「あれ…侑は?」
治「ああ、熱中症や。
北さんに連れられて行ってしもた」
角名「あれだけ水分取れって言われてたじゃん(笑)
それに…
…最近やけに無茶してるように見えてたし。」
首に掛けたタオルで汗を拭きながらそう言う角名。
治「…俺らは同じチームやけど…
バレーやってる時はお互いに〝好敵手〟や。
せやから俺に勝つために無茶しとったんやろ。」
角名「……なるほどね。」
治「……ま、バレー以外でもライバルになってしもたけどな、」
角名「……天宮さん?」
治「…おん。」
角名「…あれは…確かに可愛い。」
治「!…やっぱ角名もそう思うん?」
角名「裏表無さそうだし、、
ってか狙ってる男結構多いって噂は聞く。」
治「まさか……角名………」
角名「ちょ、そんな訳ないじゃん、
………護衛に宮兄弟いたら誰も手ぇ出せないでしょ。」
治「ほんなら…ええけど……」
角名の言葉に内心ホッとし、
北さんが戻ってきたのと同時に休憩時間は終わった。
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侑side
冷やしタオルの効果か
頭痛も少しずつ治ってきている。
侑「はぁ……はよう試合したいわ。」
完璧に治ったらすぐコート戻ったるわ。
ブーッブーッ。
侑「(ん…?スマホのバイブ音や。)」
俺のバックの中から聞こえる。
侑「LINEの通知音やな。」
そう言って体を起こし
バックからスマホを取り出して
ロック画面を見ると、
あなた「「おはよう!今日は暑いから、水分しっかり取るんだよ?」」
とメッセージが来ていた。
侑「こういうとこやでほんま………
…絶対彼女にしたるわ………//」
案の定……熱中症になってしまったことを知られないように
返事を返すのは今日の練習試合が終わってからにした。
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あなたside
夜。
今日は結局家の中で1日中勉強してたな…
『夜になっても暑いな…』
〜♪〜♪
あ、電話だ。
誰だろうと思いスマホを見ると
「宮治」と表示されていた。
『もしもし?治くん?』
治「あなた!元気しとった?」
『うん!今日凄く暑かったよね、
熱中症とか大丈夫だった?』
治「大丈夫やで。……俺はな。」
『俺は…?』
治「実はな、今日ツムが熱中s))」
侑「あなた〜元気しとる?」
治くんが何かを言いかけたかと思いきや
侑くんの声が電話の向こうから聞こえた。
『あ!侑くん!
練習試合おつかれ様!』
侑「今日はほんま疲れたわー。
俺めちゃめちゃ頑張ってん。」
治「あなた、コイツ嘘言うてるで。」
『え?なになにどういうこと?笑』
侑「あっ!おい!クソサム!」
治「ツムな、
今日熱中症でほとんど試合出てないんやで〜」
『え…熱中症!?大丈夫なの?!』
あれ…私熱中症に気をつけてねってLINEで送ったような…
遅かったか__。))
侑「…もう大丈夫や。
明日からちゃんとフルで試合でるし。」
『頑張るのは良い事だけど、
無理しないでね、あとちゃんと水分取ること。』
侑「……おん。」
信介「2人ともはよ風呂入り。」
治「はい。
すまんあなた、
風呂行かなアカンから、そろそろ切るな?」
『わかった!2人とも明日も頑張ってね!』
治「おん!じゃあまた。」
ピッ。
さて……私は明日何しようかな。
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風呂にて。
侑side
あーあ。
あなたに熱中症なってしもたこと
知られてもーたやんか。
サムのアホ野郎。
体を洗い、湯船に浸かる。
侑「ふぅ……」
バシャァ__ッ。
治「ええ湯やなぁ…」
そう言って俺の隣に座るサム。
侑「今日__俺がおらん間、
…試合どうやってん。」
治「?もちろん全勝や」
侑「さよか。」
治「…何心配してるか知らんけど…
目の前の試合ちゃんと見ぃや。
勝つで。…明日も。」
侑「…!」
それだけ行って先に出ていってしまった。
侑「ふっふ、当たり前や__。」
片割れのくせに…
たまにはええこと言うやん?サム。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!