あなたside
あっという間だったLIVE。
皆さんかっこよくて、いつもはわちゃわちゃしてて
みんな子供みたいなのに踊ったり歌ったりすると
急に大人に変わって、かっこくなる。
隣にいた玲於くんも感心してて
LIVE中、ず ~ っと、これ。
まこっちゃんばっかり。
ちらっと視線を感じる。
もう、玲於くんめちゃくちゃからかってきた。
何度も何度も目が合った。
壱馬と慎くんと。
LIVE終わりに、裏に玲於くんと入った。
まだ、みんな来てなく、私達だけ。
なんて一人喜んでたりしてた。
すると、向こうの方からザワザワと声が聞こえた
玲於くんは大の北ちゃん好き。
壱馬がいない。
集団で挨拶に来てくれたから廊下は凄いことになってて
そう呼ばれている玲於くんの声に近づけず、苦戦。
隙間を狙おうとするがあっという間に閉まって
パッと手を取られ、
LIVE終わってすぐの慎くんが私を見つけてくれた。
手繋いで玲於くんの元へ届けてくれる。
少し汗ばんだ腕と肩。
頭から流れる汗。
濡れた髪の毛。
タンクトップの隙間から見える脇腹。
なんか、すごく魅力的で目が離せなかった。
手を鼻に持って行ってポリポリとかく仕草。
慎くんから離れると向こうから歩いてくる壱馬と陸さん。
反射で少し、玲於くんの後ろに隠れる。
ぼそっと呟いた玲於くんの背中。
あんなに私に冷たいのに大事な時にはちゃんとしてくれて
いい人だなって実感。
壱馬の楽しそうな声。
久しぶりに聞いた。
私も顔でも…
ちらっと顔を出すと
微笑んでくれる。
私、駄目だなぁ、まだ期待してる。
心のどこかでまだ壱馬は私のことを好きでいてくれる、
そう信じてる。
二人ともメンバーの元へ戻って行った。
玲於くんと私の不揃いな足音が廊下に響く。
見た感じは私だって思うし…
けど…
あんな所見ちゃった私にしたら何が何だかわかんない。
ポンと私の頭に手を置くとクシャクシャと回す。
大丈夫
と言ってくれてるみたいで
お兄ちゃんみたい。
アリーナを出ると
いわゆる天使。だって!
必死に玲於くんの視界に入ろうと飛んだりしてるけど
どこどこ ~ 、と探す一方で
手元には今日自分で作ったパンを渡そうと思って
持ってきたパンの袋を持ったままだった。
猛ダッシュでメンバーさんの元へ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。