あなたside
慎くんまだかなぁ…
私が入口について10分が経過したとき。
走って来てくれた慎くん。
その髪型好きだなぁ…
黒髪で真ん中で別れてて…
前に来た慎くんの香りがふわっと香る。
今では自然に繋ぐことのできる手。
そう言うとピタッと止まる慎くん。
ん?
手も離さない。
動かない。
突然な、敬語で驚く。
最近、敬語外れてくれて嬉しいなぁなんて舞い上がってたけど
また、戻っちゃってる、
そこから、私が話しかけても
頷くか
顔を横に傾けるか
横に振るかしか
反応してくれなくて
ちょっと呆れかけてた。
私のアパートの階段を上がってる時
私が前で慎くんが後ろ。
振り向いて、慎くんに聞くけどやっぱ、無反応。
何かしちゃったかな…
ちょっと自分を疑い始め、
私がカバンから鍵を取り出して鍵を開けた。
ドアを開けて玄関で靴を脱いでいるとき。
慎くんに呼ばれ、振り返る。
急に近づく慎くんの顔。
ゆっくりじゃない、
早く。
今までにないようなあっという間。
キスも今までとは違う。
何度も何度も角度を変えていつの間にか求めてる私。
苦しくなって、慎くんの肩を叩く。
玄関の光だけ。
オレンジに灯された玄関。
慎くん、背が大きいから顔が陰になる。
そう言われ、ハッとした。
慎くんが思ってること。
今からしようとしていること。
それと、私も慎くんと同じ気持ちなこと。
慎くんの手に引かれ、寝室に向かう。
私の心臓はバクバクと今までにないくらい音を立てて
止まらない。
何気ない寝室でも
特別となると私の寝室じゃなく見える。
ドアを開けて入ると
慎くんは私をベッドにゆっくりと寝転ばせて
軽く馬乗り。
慎くんの肘が私の顔の横にある。
すっごい、近距離。
やばい…
やばい…
この言葉しか出てこなくて
起き上がろうとする私を止めて
ごめん、と謝る。
なんで?
慎くんは謝らなくていいのに。
涙を流すのを堪えてたら
慎が私の唇を奪う。
優しくて、溶けてしまいそう。
私は嬉しくて嬉しくて何度も頷いた。
反則…って照れて赤くなってた。
ま、言わないけど…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。