第47話

男の人
2,790
2019/05/15 14:04
あなたside
慎くんが帰ればすぐ支度。


楽しみすぎておかしくなりそう。
クローゼットを開ける。


ん ~ 、今日暑いからなぁ。
あなた

ワンピースは辞めておこうかな。

とりあえずデニムと白いTシャツ。


デニムにインして


めちゃくちゃシンプルな服にした。


そこに小物を付け足す。
髪の毛を内巻きに巻き、ベージュのバンダナを巻いた。


腕には時計をはめて、カバンは斜めがけの黒いカバン。


化粧も薄めにし、
お気に入りのピアスをつけてよし。
鏡を見てふと思った。
あなた

色落ちてきてるなぁ…

メッシュブラウンにしていたがちょっと薄くなってきてる。


こりゃ、美容院行かなきゃ。
髪も伸びてきてるし、この夏で結構切っちゃお!!


髪色と髪の毛を変えることに決定。
prrrrrrrrrr
慎くんに電話。


まだかなぁ ~ 。
長谷川慎
はぃ…
あなた

あ、慎くん?
どう?準備出来た?

長谷川慎
え!あ、ちょっと…待ってて…ください!
あなた

寝てた?

長谷川慎
いや!ちょっと…だけ…
あなた

私はいつでも行けるからね。

長谷川慎
急いで支度します!
あなた

は ~ い。

慌ててたなぁ。


寝ちゃったんだ、ベッドにでも横になったのかな。
慎くんの準備が出来るまで待つことに。
携帯のカメラのアルバムを開く。
何故か無意識に手が動いて、押していた。
そこに広がったのは何枚もの壱馬との写真。
一番初めの写真は、初めてデートに行った写真。


何枚かすれば海岸でお洒落な人を真似したい!と


壱馬に駄々こねて撮ってくれた写真。


手を繋いで私の前を歩いてる写真。


その瞬間を撮りたくて頑張ってたら突然後ろ向いて


なにしてんの、って驚かれたなぁ。


その時の瞬間も撮った。
何だか、今思うと楽しすぎた思い出ばかり。
あなた

っ…

気づいたら目の前がぐにゃぐにゃに曲がってる。


やばい、お化粧が…
上を向いて堪える。
また、慎くんが  大丈夫  って慰めてくれるかな。


慎くんの優しい声で。
prrrrrrrrrr
表示されたのは


" 慎くん "
あなた

っ…はい!

長谷川慎
出来ました!
あなた

よし!

長谷川慎
迎えに行くんで待っててくださいね。
あなた

え?いいの?

長谷川慎
駅までの途中なんで僕が拾います。
拾います…か。


なんかいい。笑
あなた

ありがと。

長谷川慎
いえ!なら行きますね。
あなた

待ってる。

よしっ、待ってよう。
鏡の前で慎くんが来るまで待つ。
涙ぐんでないかな…


大丈夫。


もう、壱馬は元カノさんを…
あなた

っ…

どうしてだろ。


涙が溢れて止まらない。


もう、忘れたのに。


忘れようとしたのになぁ…
こんな時に、
ピーンポーン…
あなた

えっ…

慎くんが来たのかも。
急いで慎くんの居る玄関の前にスリッパを履いて立つ。
ドアを開けようとした時。


手が止まる。
なんで…?


早く入れてあげないと…


ドアノブを回そうとするけど回らない。


回せない。
長谷川慎
あなたさん?
慎くんの心配したような声。


分かってるよ。


開けなきゃ…ね。
あなた

うっ…ん…

ぎゅっと手に力を入れるけど回らない。
長谷川慎
あなたさん、大丈夫…
あなた

うんうん!大丈夫!

笑ったら変な気持ちは飛んでいくかと…
長谷川慎
あなたさん、開けて?
あなた

長谷川慎
開けて、あなたさん。
さっき壱馬との思い出を、思い出していると


何故か泣けてきてしまった。


なんでかは分からない。


胸が苦しくなったからだ。
あなた

…開けられない

長谷川慎
なんで?
あなた

ごめん…

長谷川慎
言ってくれなきゃわかんないですよ。
あなた

…うっ…

長谷川慎
あなたさん、
そう何度も何度も呼ぶ慎くんの声。


呼ばれる度、涙が止まらない。


優しく、暖かい声。


私を安心させてくれる慎くんの声。
私の耳にずっと鳴り響く。
あなた

…慎…くんっ…

長谷川慎
何?あなたさん、
あなた

助けて…って言っ

長谷川慎
あなたさん、開けて、お願い。
慎くんの必死に私に伝える声を聞いて


鍵を開けた。
その時、勢いよくドアが引かれて私ごと持ってかれそうになった。
あなた

わっ、

ぎゅっと、慎くんの胸の中に。
あなた

ま、慎くん…

長谷川慎
はぁ、もう、心配しました。
暑かった…よね。


汗ばんでる。


私、最低だ…人の気持ち考えてなかった…
あなた

ごめん、暑かったよね、ほんとごめ

長谷川慎
助けるに決まってます。
あなた

え?

長谷川慎
あなたさん、もっと僕に頼ってくれませんか?
あなた

頼る…?

長谷川慎
好きな人の為になることしたいんです、僕。
私を離して目を見て話す。
なんだろ、慎くんがすごく男の人に見えた。
その…胸がいつもよりバクバクと高鳴る。

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