あなたside
そう話せば二人して
" 何アホな事言ってんの? "
みたいな目で見てくるから!
気づいたら慎くんが私の中で特別な存在になっていた。
ずっと一緒に居てくれて
私にとってなくちゃいけない存在。
ずっと…?
そんな…
初めはただ、かわいい後輩。
熱出して急に倒れるもんだから看病していた。
その時から何かが私の中で動き始めていたのかもしれない。
会う度会う度、見つけるのが早くなっていた。
早くなるのにそう時間は掛からなかったし
むしろ、仲良くなって距離も縮まって嬉しかった。
壱馬の優しさが裏目に出たことだって
一番に側にいてくれたのは慎くん。
どんなときも。
大丈夫ですよ。
そう優しい声でいつも励ましてくれていた。
それなのに、私の勝手で慎くんを引きづっていた。
こんな私でもいいの…?
龍友さんの大きな声で広まった。
やばいやばい。
めちゃめちゃ注目されてる…
泣いてるところなんて見て欲しくないのに…
龍友さんが声をあげようとした時。
目を隠していた手をパッと取られ
振り向くと
公開。
幸せだけどはずかしい。
手を取られ歩いてきたのは近くの公園。
そう、慎くんに最初に気持ちを伝えられた場所。
今になっては懐かしい思い出。
あの頃は若葉だった緑の葉も今となり、先端だけ黄色くなり
秋の訪れを知らせていた。
お互い顔を合わせると慎は顔を赤くしてる。
なんだ、と崩れ落ちる慎くん。
ぐだあっとなり、ベンチに座る。
ほら、と膝を上にあげて見せてくるけど
ズボン履いてるから。ね?慎くん。
私にその痛みはわかんないよ?笑
天然な彼も、
その途端、下がっていた口は上に上がり
不意に見せる笑顔。
私に抱き着いてきてぐるぐる回る。
はぁ、、いい匂い。
馬鹿馬鹿。
幸せ。
本当だ、気持ち伝えたらスッキリ。
悩みなんて吹っ飛んだなぁ。
止まると、慎くんの、顔がすぐ側にあるもんだから
私はビックリして顔を背けた。
腰に手を回され、近くなる距離。
そう小さく喜ぶ彼の頬に背伸びをしてキスをした。
やっぱ、先輩らしいところ見せなきゃ。
なんて思った私が馬鹿だったのか。
あっという間に立場逆転。
名前を呼ばれ、慎くんの手が後頭部に回ると
近まる顔とともに触れた唇。
あっという間の行為に唖然。
照れるように笑う慎くんに酷く心を苦しめられる。
ぎゅっと抱き締めてこの上ない幸せを噛み締める。
ずっと、待たせてごめんね?
" 好きになってもいいよ "
初めからその答えだったのかもしれない。
Fin
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。