あなたさん、相当ダメージ受けてるだろう…
だから、断る…?
ここは壱馬さんの見方もしたい!
けどあなたさんの見方も…
僕の目の前で手を広げ上下に動かす。
壱馬さん、もう葵さんと会うのはやめましょう!
そう言ってあげたい。
そうして、あなたさんとちゃんと向き合えば
あなたさんも気持ちを取り戻してくれる…はず。
けど、多分傷は残ったまんまなんだろう。
と面白半分で言ったつもりの壱馬さんが僕のおでこを
触った、
明日からツアーなのにここでダウンしてる暇なんかない。
パッと逃げてきた。
いやいや、熱なんかあるわけない。
あったら困る。
と、そおっと自分のおでこに手を近づけてみる。
ベンチプレスのやりすぎか…?
あ ~ 、僕そんなに体力なかった?
ぼーっと歩いていると
自販機で飲み物を買う翔平さんを見つけて
手を振った。
僕の口は塞がらない。
目の前でGENERATIONSさんと一緒に行動している
あなたさんの姿がある。
パッとあなたさんがこっちを見た。
やば。
一応頭を下げておいた。
するとあなたさんはニコッとして手を振ってきた。
一気に上昇する体温。
さっきよりも…やば…
意識ぶっ飛んだ。
.
…?
目を開けると白い天井。
僕…何して
左から覗き込んできたあなたさん…
あなたさん!?
びっくりして跳ね起きた。
ガチか…
今回の熱はすぐ治らせるつもりだったのに…
後ろで冷えピタを構えるあなたさん。
ちょっと頬が赤くなった。
あなたさん可愛い。
油断した瞬間、あなたさんの冷えピタを持った手が
僕のおでこに直撃。
でもなんだか気持ちい。
熱だって認めたら余計にえらくなるから本当は嫌だった。
明日までに完璧に治さないと…
そう微笑む隣のあなたさんの笑顔を見ながら眠った。
その笑顔、壱馬さんにも見せてあげて欲しい。
ふと思った僕。
壱馬さんの悲しむ顔も見たくないし
あなたさんの悲しむ顔も見たくない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!