あなたside
久しぶりの壱馬との会話。
ずっと話してられる。
と、私の頭にズシッと壱馬の手。
何も言えず私は壱馬に送られることに。
あ、玲於くん帰ったんだ。
疲れてるし、当たり前だよね。
いつも玲於くんは私を待っててくれて飲みに行く時は
必ず送ってくれてる。
メンバーは 珍しい とか ありえない って騒いでるんだけど
これこそが玲於くんの本性で優しさなんだと受け取る。
そして、帰り途中に静かな空間を消した壱馬
玲於くんとは仲良くさせてもらってるけど
そんな深い繋がりはない。
私は持たないよ?そんな感情。
壱馬はどうなの…?
私に内緒で…
prrrrrrrrrr
私の携帯かと確認するけど画面は暗いまま。
壱馬の携帯。
私から遠く離れたところで電話をしに行く。
…葵ちゃん…?
自分だって…葵ちゃんとまだ連絡取って会ってるんでしょ。
私の事心配するより自分を心配すればっ…?
電話の途中に壱馬に話しかけた。
待って、と言われるがそんなの構わない。
壱馬が私をじっと見た。
携帯も下にブランとぶら下げて通話を切る。
必死に零れそうになる涙を堪える。
優しい声で私を呼ばないでよ…
ついに、留めておいた涙が滝のように溢れてくる。
私の手を取ろうとする壱馬の手を払い除けた。
何語ってんだろ…私。
壱馬はそんな中途半端な事はしない人。
ただ一つのことに集中する。
一途な人だもん。
けど、そうでもいかなくなるほど
大事な事があるから連絡取って会ってる。
例え、そうじゃなくても私はそう思うから。
そうじゃないよ、と分かってしまうと
もっと立ち直れなくなる。
もういいんだ。
大好き、壱馬。
あ、間違えた…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。