男の人の声が聞こえ皆が避けると
パパだった
メガネをとられ涙を拭かれる
それだけで震えが止まらなかった
あぁ...良く言ってたな。
俺のお母さん似の顔があるから俺を引き取ったって
確かに俺はメガネを外せば女顔だ
こんな顔が嫌なんだ...この顔のせいでパパに殴られて
殴られて...何...?俺は今何を思い出そうとした...?
その続きは...?
逆らったらどうなる?
殴られる?それともまた...
またッ...遊ばれる...
パパの両手には紙袋が4袋パンパンに中に洋服やウィッグが入っていた
そうだ。パパは俺を女装されるのが好きだったんだ...
女みたいな服しか貰えないでその服で学校に行ったからいじめられたんだ
その言葉は大人が言うととても恐ろしいものだ
子供よりも大人の方が立場が上、言っている事を信用して貰えるのは大人だ
もう理央さん達は赤の他人。頼れない
無理やり外に追い出しドアを閉めた
カチャッ
突然突き飛ばされる
先に...暴力だな...
思いっきり腹を蹴られる
その次はうつ伏せにさせられ服を捲られる
昔から顔だけは傷つけて来なかった
怖い...怖い...
首をぎゅっと掴まれる
抵抗はしちゃダメ
ただされるがままになるしか早く暴力が終わることは無い
手を離して洗面所の方へ行く
水の音が聞こえる
すぐに戻ってきて紙袋からロープを出す
手を後ろでキツく縛られる
洗面所に引っ張られ洗面台には水が貯めてあった
水をキュッと締めて髪の毛を掴まれる
そして、
水に顔を入れらる
10秒、20秒、30秒
引き上げやられて
またすぐにいれられる
もう何十分それを続けたかわからなかった
ロープを解いてもらう
髪を乾かせられ
頭にネットを被せられる
食卓用の椅子に座らせられウィッグを付けられる
パパ丁寧にクシを通しアイロンで巻いていく
ケープで髪をやんわりとかため髪の毛は完成した
まつ毛を何かで挟みクルットさせまつ毛に何かをぬる
ほんのりピンクのリップをつけられツヤツヤなグロスを付けられる
洗面所に行って今着ている服脱ぎ渡された服を着る
びっくりするほどサイズがピッタリだった
できてリビングに行くとニヤニヤしていた
正面から抱きつかれる
怖い故に敬語になってしまう
怖い...
パパは機嫌がいい時にしか笑わない
何があったんだ...
何も俺の声聞こえてない...
いっつもそうだ
ウィッグとネットを外す
何してるの...俺...
こんな事したら殴られる...
部屋に駆け込む
ドアを締めて鍵をかけようとしたけど遅かった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。