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第30話

悪化
3,585
2019/04/02 07:41
お金を使う訳には行かないので、本当に辛くなった時に薬を飲むために飲んでいない。
椎名
椎名
はあっ…は、ぁ…拓斗…
椎名 拓斗
椎名 拓斗
なあに?
心配そうに私をのぞき込む拓斗
椎名
椎名
ごめ、ゴミ箱…
椎名 拓斗
椎名 拓斗
わかった!
拓斗が袋を入れたゴミ箱を私に手渡してくれた。
椎名
椎名
おぇ…ケホケホっ
ゴミ箱に吐く私を見て、拓斗は水を持ってきてくれた
椎名
椎名
ありがとう
椎名 拓斗
椎名 拓斗
大丈夫?
椎名
椎名
大丈夫だ、よ?
椎名
椎名
ゲホッ、ぅ…おぇぇ!
駄目だ、クラクラする

最近あんまり食べてないからかな…

退院してからバイトをしていたけど、今は週に1回行くぐらい

あまり布団から起き上がれない
椎名
椎名
ありがとう、拓斗もう寝なさい
椎名 拓斗
椎名 拓斗
うん…
拓斗が寝たあとの事だった。

わたしは無理矢理体を起こして家事をする。

その時だった
椎名
椎名
ゲポッ…
ービシャっ
赤い血を口から吐き出した。

かくん、と膝をつき、座り込んだ
椎名
椎名
う…ぅえ、ぐっ…
口を押さえている手から血がゴポゴポと溢れる。


苦しくて苦しくて…

薬…


わたしは薬に手を伸ばした。

袋からだして手に取った時、また血を吐いた。
椎名
椎名
ごぽっ…はあっ、ぅ…ぐぅっ…
手が震えて薬を落としてしまった。

霞む視界で必死に薬を探す。

やっと見つけて流し込む。
椎名
椎名
は、ぁ…はあ…
片付けないと…


ードサッ


力が抜けて倒れ込み、そのまま眠りについた。
椎名
椎名
ん…
まだ薄暗い朝に目が覚めた私は血の片付けをした。

その最中にまた苦しくなった。

薬飲んだのに、なんで?!
椎名
椎名
はあっ、はあっ、はあっ、
ピンポーン


だ、れ?


私はなんとか立ち上がり、フラフラと玄関まで行って鍵を開けた。


ガチャ


ふらっ

平野紫耀
平野紫耀
雪ー、っておい!
扉を開けることは出来たけど、そこで力尽きてそのまま紫耀の胸に倒れ込んだ。


そしてまた、吐き気がこみ上げてくる。
椎名
椎名
ハァハァ…ぅ…ゴポッ
大量の血を吐いた雪はズルズルと力が抜けていく。
平野紫耀
平野紫耀
今救急車呼ぶから!…もしもし!
紫耀が救急車を呼んでくれたけど、ここまでは少し時間がかかるらしい。

苦しい…

紫耀は私を自分を支えてくれている。
椎名
椎名
はあっ、はあっ、たく、と…
平野紫耀
平野紫耀
拓斗は?
椎名
椎名
しんし、つ…
平野紫耀
平野紫耀
拓斗!拓斗!起きろ!
椎名 拓斗
椎名 拓斗
ん…紫耀兄ちゃん?
椎名 拓斗
椎名 拓斗
え、お姉ちゃん…ぅ、うぇぇぇん!
血だらけの部屋と雪は拓斗にとってショックが大きく、泣いている。


さっきから雪の呼吸がおかしくなってきた。
平野紫耀
平野紫耀
(くそっ!はやくこい!)
ーピーポーピーポー
平野紫耀
平野紫耀
はっ、救急車来たぞ!
椎名
椎名
はぁ…は、ぁっ…
救急隊
患者は?!
平野紫耀
平野紫耀
ここです!
救急隊
なっ!直ぐに運ぶぞ!
救急隊
いちにっさん!
椎名
椎名
ぅ…はぁ、はぁ(担架に乗せられる
平野紫耀
平野紫耀
雪、しっかりしろ!(拓斗と付き添う
ピーポーピーポー


救急車に乗り込んですぐの事だった。
椎名
椎名
ぁ…ぅっ、ゲホゲホ…ごほっ(口に手を当てて咳き込む
救急隊
あ!(酸素マスクを外して横を向かせる
椎名
椎名
ぅ、ゴボッ!
びちゃっ!!


雪は大量の血を何度も吐いた。
平野紫耀
平野紫耀
雪!(雪の手を握る
椎名
椎名
ゲホッ……(てから力が抜ける
平野紫耀
平野紫耀
え?…冷たい…
雪の手から力が抜けたと思えば、どんどん手が冷たくなっている。
救急隊
心拍数、サチュレーション共に低下!
救急隊
くそっ!間に合うのか…!
異常を知らせる機械音が鳴り響く車内


青白い顔をした雪を見ていることしか出来なかった。

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