なんとか家に着いたけれど、その頃には立っているのもやっとだった。
とにかくご飯作らなきゃ…
と言っても、作れるような状態じゃないから今日は仕方なくカップ麺にした。
そう言って、カップ麺を食べる拓斗
私は少し水を飲んだ。
拓斗をお風呂に入れなきゃ…
食べ終えて少し経った拓斗をお風呂に入れた。
私は服を着たままお風呂に入れている途中、倒れそうになったけれど、なんとか持ち堪えた。
拓斗がもう寝れる状態になって、安心したのかどっと疲れが襲ってくる。
布団に拓斗を横たわらせ、水を飲もうと台所に向かった。
けれど、スーッと力が抜けていく。
ガタガタッ!ガシャン!
ドサッ
大きな音を聞いて台所にやってきた拓斗が見たのは、床に散乱した物と倒れている雪だった。
雪の顔を覗きこむと、真っ赤な顔をして目を瞑っていた。
苦しそうに息をしてぐったりとしている雪を見て、拓斗はおかしいと感じたのか、雪の名前を呼んだ。
何度呼んでも目を覚まさない雪に不安を感じて、ついには泣き出してしまった。
目を覚ました雪は拓斗が泣いているに気がついた。
ゆっくり体を起こして、壁にもたれながら力なく拓斗を抱きしめた。
とにかく、このままだとまずい
そう感じて、雪は病院に行こうと決めた。
だけど、ここまで悪化してしまったら病院に行くのも簡単な事じゃない。
まだ涙を流しながら心配をする拓斗
そう言ったものの、立ち上がることも出来ないほど弱っていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!