雪が発見されたのは、父親が出て言ってすぐだった。
白いベッドが真っ赤に染まり、ぽたぽたと血が垂れおちていた。
呼吸も弱く、危険な状態
手術は5時間半かかった。
それから雪が目覚めたのは、一週間後だった。
紫耀?
声が出ない
泣きながら手を握っている紫耀
ここは…
そうだ、私はお父さんに…
涙が溢れて止まらない
紫耀を見ると安心して…
あまり上手く動かない手を必死に動かして紫耀に触れようとする。
ーふわり
優しい力で抱きしめられた。
紫耀の匂い…
暖かい紫耀の腕の中は、安心して離れたくなかった。
少し涙声で大丈夫、大丈夫と言い聞かせるように呟く紫耀
私は目が覚めてすぐということもあり、そのまま目を閉じた。
雪は俺に抱き締められて眠った。
雪をこんなにも苦しめるあいつを許さない。
今もまだ捕まっていないので、安心はできないがひとまず雪が落ち着くまでは…
この時、俺はあいつを甘く見すぎていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。