第11話

割れたクッキー 「彩奈編」
55
2019/09/03 10:32
僕は、階段を降りた。
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
・・・
ドカッ!!
前をよく、見ていなかったせいで、
誰かにぶつかってしまった。
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
った
クルクルと端にとばされる
クッキー袋。
高月 はじめ
高月 はじめ
大丈夫か?
顔をあげると、僕とぶつかったのは、
はじめだった。
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
大丈夫だよ。ぶつかって、ごめんな
高月 はじめ
高月 はじめ
なんだよ、今度は、ご機嫌ななめ
なのか?
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
別に・・・
僕は、パンパンとスカートを
たたき、立ち上がる。
高月 はじめ
高月 はじめ
なんか、今、とんでったぞ?
袋みたいなやつ。
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
・・・
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
クッキーだ。さっき、作ったやつ。
僕は、とんでいったクッキーを、拾う。


中を確認すると、ハート型のクッキーは、
真ん中に、きれつがはいり、割れている。
高月 はじめ
高月 はじめ
なんだ?クッキーか?
俺にも見せろ
ひょいっと、顔をのぞかせる
はじめ。
高月 はじめ
高月 はじめ
うわっ、ハートが、真っ二つに
なってんじゃん!
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
・・・
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
ああああああああ!
僕は、さくに渡す前に、二つに割れて
しまったクッキーを見て、悲しくなる。
高月 はじめ
高月 はじめ
それ、もう誰かに、渡さねえの?
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
渡せるわけ、ないだろ?
こんな、割れてるクッキー
高月 はじめ
高月 はじめ
なら、俺が食っていい?
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
え?
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
こんなので、よかったら、どうぞ
僕は、割れてるクッキーを、はじめの
前に差し出す。
高月 はじめ
高月 はじめ
いただきます
パクリ
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
はじめは、僕の持ってるクッキーを
顔を近づけて、口でかじった。
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
まだ、僕が持ってるから!
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
じ、自分で持って食べろよ!
高月 はじめ
高月 はじめ
モグ、モグ
高月 はじめ
高月 はじめ
だって、お前・・・
俺の前で、すごく悲しそうな顔するから
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
はあ?
僕は、頭の中が?マークで、あふれる。
僕は、悲しいのか・・・
そんなこと、ないはずなのに・・・
心の中が、モヤモヤするというか、
こんな感覚は、あまり感じたことが
ない・・・
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
はじめ!
高月 はじめ
高月 はじめ
ん?
赤坂 彩奈
赤坂 彩奈
よく、わかんんないけど、クッキー
食べてくれてありがとう。じゃあな!
僕は、急ぎ足で、はじめから
離れる。
高月 はじめ
高月 はじめ
クスクス
高月 はじめ
高月 はじめ
あいつは、見てて飽きねえな
高月 はじめ
高月 はじめ
じゃあね。僕ちゃん
家の前に着くと、さくが、僕の家の前で、
立ちながら待っていた。

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