俺は、彩奈に頼み、対戦バトルを
してもらうことにした。
俺は、いつも、うさぎの戦士という
キャラを使っているが、彩奈に知られると
恥ずかしいので、柴猫という、キャラを選んだ。
俺の方を、チラリと見て、顔をそらす
彩奈。
顔が、いっきに赤くなる俺。
うそだろ!?まさか、夏樹が、俺が
あのキャラを使っていることを、話した
のか?
恥ずい、恥ずすぎる。
夏樹は、ちゅうちゅうと、ストローを
くわえながら、ジュースを飲んでいる。
こ・・・こいつ!
俺は、顔を横に振り、冷静さを
取り戻す。
スタート!!という、音声で、
俺と彩奈のモンスターバトルが、
始まった。
なぜ、彩奈が、キモキャラの鳥男を
選択したかは、謎だが、俺は、かまわず
必殺技を、発動する。
「柴猫ビンタ切り」という、モンスターの
必殺技を決め、とどめの一撃で、彩奈を
KOした。
俺は、弟の方を見る。
もちろんゲーム好きの夏樹は、俺の作戦に
のってくるに違いない。
見事に、のってきた。
スタート!!!
俺と夏樹のモンスターバトルが、
始まった。
夏樹も、俺も、すごい速さで
ボタンをカチャカチャと、連打する。
夏樹のモンスター、ファイアードラゴンは、
水に弱く、炎に強いモンスターだ。
ファイアードラゴンの、炎を吐く
攻撃で、俺のHPが、いっきに
減る。
今度は、俺が柴猫の、しっぽ攻撃を
くりひろげる。
夏樹は、慎重に攻撃をかわして、いく。
俺が、必殺技を出そうとした瞬間、
ファイアードラゴンの、必殺技が
一歩先に、発動!!
KO!!
はしゃぎすぎて、机の角に、自分の
小指をぶつけた夏樹。
俺の作戦。それは、彩奈に勝った
俺が、夏樹に負けて、結果的に
弟の機嫌を直すことだった。
1人ときめいてる、俺の顔を、
じっと見る夏樹。
部屋の空気が、しーんと
静かになる。今、弟の口から
なにか聞こえたような・・・
空耳に違いない。俺は、もう一度
夏樹に聞いた。
俺は、夏樹をにらむ。
にらみ合う、俺と夏樹。
夏樹を、見つめる彩奈。
俺は、夏樹の口をふさぐ。
暴れる夏樹。
夏樹が、彩奈に懐いてたのは、
好きだったから?
うそだろ・・・
彩奈が、ガチャリとドアを
開ける。
彩奈は、顔を少し赤くさせ、
ドアをガチャンと閉め、自分の家に
帰って行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。