第5話

静かに
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2020/08/23 04:22
「あのうるさい犬ら、止めてくれたらいいよ」

にこやかなオスマンに対し

「やったー、てかまだやってんの? 」

神の下の読めない表情で答えるペ神

薬の匂いが染み付いた白衣をひらひらとなびかせながら、騒音の元に近付いていく

「みんな、少し静かにしようね」
「うるさい」
「ペ神は黙っといてや」
「しんぺいさぁん……!! 」

鬱が白衣にしがみつき、助けを乞う

「おぉ大先生可愛いね、今夜どう?」
「それは嫌やけど、あいつら何とかして下さい! 」
「おけおけ、許してもらう為にも止めなきゃね〜」

するとしんぺい神は、コネシマとシャオロンに顔を近付け、肩を掴んだ

「コネシマ、シャオロン、それ以上暴れたいなら」

察したのか、内ゲバをしていた二人は固まっている

「俺とベットの上で暴れようね」
「ちゃうんすよ、ごめんなさい」
「すいません、許して下さい」
「ふっ……クックック……!! 」

いつ見ても面白い
あいつらの潔さには思わず喉を鳴らしてしまう。
オスマンが横目で見てから、少し笑った。

「ふ、グルッペンだって人の事言えんやろ」
「あぁ、そうだな……では本題に入る。」

そう言うと、ピリッとした空気になり
幹部達のその姿はまさに『軍人』

この内容でそんな姿にならなくてもいいのだが。

「……結婚は、しているか? 」

あぁ
笑いを堪えるので精一杯だ

沈黙に包まれた会議室はただ一人、俺だけが笑いを浮かべていた。

「何か言いたそうな顔だな、どうした。早く質問に」
「どうしたちゃうやろ、頭壊れたか? 」

と声を一番に出したのは
童貞を拗らせているロボロ。

「あぁロボロすまない、お前には全く縁のない話だったな」
「あっはははは!! ロボロ可哀そっ!! 」
「うるさい黙れ鬱ぅ!! 」

一気に笑いに包まれた会議室
その衝動で唸りながらも起きたトントン

「う……あれ、騒がし……なんかあった? 」
「あぁ、トントン。お前も無いとは思うが、結婚はしてるか? 」
「……なんや? 嫌味か? 恋人すら居ない童貞の俺に聞きやがって。」

やはりな
ここの様子を見る限り誰も居ないようだし

「ふむ、やはりあの手紙は罠か」

分かりきっていたがな
集める必要もわざわざなかった

「手紙……あっ!! 」
「どうしたん? なんか心当たりでもあったの? 」

オスマンが近寄ると
しんぺい神は至って普通の世間話をするように

「ごめーん! それ、俺の奥さんの手紙だわ! 」

と言った。

「……え」
「いやぁーごめんごめん!! そういやそろそろ来る言ってたわ!! 」

ハッハッハー、と笑い飛ばすしんぺい神
待て、聞き間違いか?
奥さん……?

「冗談キツイぞ、まさか一番有り得なさそうなお前が」
「多分あと1時間ぐらいしたら来るんじゃないかな」

どうやら本当らしい
驚きで固まっていると、下から『キィィン』と独特な音が鳴った

「……敵襲!! 速やかに対処しろ!! 」

ゾムはじっと黙り、音元を探っているであろう
突然の事に汗が垂れている

「っ真下……!! 大食堂からや!! 」
「コネシマ、ショッピ!! 偵察行ってくれ」

二人とも即座に向かってくれた

「不味い……!! 大食堂はコックがまだ夕飯の準備をしてくれているはずやで!? 」
「やばいやん!! 俺も行く!! 」
「待てゾムお前は」

混乱状態
俺の指示が通らない
どうすれば

「はーい!! ちゅうもぉーく!! 」

声をあげた人物
それはしんぺい神

「……っ何を笑っているんだ!! 緊急事態だぞ!? 」
「大丈夫だって、あの独特の音は絶対__」


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