「普通に通り抜けられた……嘘でしょ」
ガッカリ感を醸し出し出している彼女の名前はあなた。
履いているブーツを二回床に打ち付けると
靴底が震えだした
彼女は腹いせに壁を蹴ると
チェーンソーのような音を出しながら、壁が崩れていった
「……あれ、ここもしかして食堂……? 」
中に居るコック達が縮こまり、怯えた目で見てくる
「いい目してるね、ごめんね。怯えさせたかな? 」
彼女は仔犬をあやす様に優しく喋りかけると
更に壁を壊し、廊下へ向かった。
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コツコツと、彼女のブーツの足音が響く
普通のブーツより重い音がするのは果たして気の所為だろうか
「んーっと、医療室は……」
「動くな!! 」
響く声
彼女はそれに思わず眉を寄せた
「何? 」
「……何者だ貴様!! 何をしに来た!! 」
彼女の発する殺気に一瞬たじろいだ兵士
その兵士の後ろには50人は居る大量の屈強な兵士達がいた
それを見た彼女は面倒くさそうに口を開く
「……あのねぇ、女1人に対してそれ卑怯じゃない? 」
「はっ!! この国ではこれが作法でな!! 」
一気に襲いかかる兵士達
彼女は普通に歩き、耳鳴りのような音を発しながら
『何か』を行った
「むさ苦しい男ども……躾直してやる」
女1人に対して大量の兵士
そこに立っていたのは
気を失い、体には火傷跡が大量に有る兵士達
かすり傷ひとつ無い彼女の姿
彼女は髪をかきあげると
「ま、たかが駄犬50匹じゃ相手にもならない」
と言い残し
素早い動きで医療室へ向かった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。