(ここは………どこだろう?暗くてよく見えない。)
(私は……何してたんだっけ?)
(あぁ、そうだ。四木沼と対峙して……撃たれたんだっけ。)
(………滉は?どこにいるの?)
暗い中で一人、自問自答していると……声がした。
………とても、とても懐かしい声が。
あなた!あなた!
(姉………さん?)
そうだよー!( *¯ ꒳¯*)
(どうして……?)
あなた、よく聞いて。
私の願いを叶えて欲しいの。
(願い?)
そう。
……私の願いは一つだけ
私の願いは………あなたと滉、つぼみと、幸助、修哉が幸せでいること
(え……)
それが私と、母さん。それから叔母さんの願いだから
(………姉さんは、幸せ?)
私は十分すぎるくらい幸せだよ!
(そっか………わかった。姉さんの願い、絶対に叶えるね!!)
ほんと?約束だからね?
(うん!約束)
あ、そろそろ行かなきゃ。
あなた。
(ん?)
修哉達によろしくね!………幸せになって。
───そこで、私は目覚めた。
………姉……さん……
あなたさん!
姉ちゃん!!
良かった……
目が覚めたんすね!
良かった………
無事で何よりだね( * ◜ω◝ )
あなた……
とりあえず手術は成功したので安心してください。でもしばらくは入院だそうです。
入院………
ちなみに俺も入院だから
滉……それ堂々と言うところじゃないからな?w
それより……さっきから気になってたんですけど……あなたさん……何故、泣いてるんですか?
……へ?
私は自分で気づかないうちに泣いていた。
みんなが心配そうにするので、観念して話した。
………夢にね、姉さんが出てきてね、私にこう言ったの。
みんなは私の話しを真剣に聞いていた。
願いを叶えて欲しいって。
………願い?
うん。
願いって……どんな?
『私の願いは一つだけ。あなたと滉、つぼみと、幸助、修哉が幸せでいること。それは私と母さん。それから叔母さんの願いだから』って
姉さん………
それでね、私聞いてみたの。姉さんは幸せかどうか。
姉さんは、なんて言ってた?
『私は十分すぎるくらい幸せだよ』って
……なんていうか………姉さんらしいっすね
だなw
つーか、あなたたちの姉さんって………
死んだよ。
え?
………理由を聞いても?
………自殺………したの。
………そう、なのか。
………そうか
しんみりした空気の中、カノが口を開いた。
あなた姉ちゃんはさ
ん?
姉ちゃんに生きて欲しかったって思ってる?
その質問に驚いた。なんでそんなことを聞くのか、修哉の意図が分からなかった。
僕は………姉ちゃんを助けたかった………でも、できなかった………まだ子どもだったから……でも、あなた姉ちゃんも同じはずなのに。なのに………姉ちゃんからは、寂しいとか悲しいとか………そんな感情が読み取れないんだよね
カノ!!
だってそーじゃん!!姉ちゃんが死んだ日もあなた姉ちゃんは泣いてなかった!!!普通泣くよね!?家族が目の前で死んだらさぁ!!!
その会話を聞いて、私はブチ切れた。
………るさい………
あなた?
………悲しかったに決まってるじゃん!!
辛かったよ!!姉さんが目の前で飛び降りてさ!!でも!!……泣けなかった……なんでだと思う……?
私は泣きながらカノに言った。全員が唖然としている中で。
私が………泣けなかったのは………同時に父さんが許せなかったからだよ………!!
つぼみたちの目の力の研究のためだけに姉さんが大切にしていた人たちの命を奪ったアイツが!!許せなかった…………
だから復讐してやろうと思って滉と一緒に調べてた。けど………見つかった情報は一つしかなかった………
それって………
?つまり……どういうことだ?
つまり………
滉がちらりとこちらを見ていた。
「言ってもいい?」と聞くように。
私は頷いた。
どうせ隠してもなんの得もないのだから。
見つかった情報は、あなたたちが居た孤児院の院長と叔父さんが裏で繋がっていたってことだけ。
え………?
どういうことっすか?
まぁ、見ればわかるか。
そう言って私は右側(撃たれてない方)の脇腹を見せた。
………それは?
火かき棒で叩かれた時の痣って言えば………わかるよね?
そう。私にだけある痣。引き取られる前、私はずっとカノ達を庇って自分だけ犠牲になるように仕向けていた。
………ごめん………姉ちゃん………
修哉は泣きながら謝っていた。
私はそんな修哉を抱きしめた。
私もごめん。修哉に当たっちゃったね……
でも、なんで修哉達を叩こうとしたんだ?
確かに
実は、その院長……情緒不安定らしくてな
噂じゃ職員にも当たってたらしいっす
だから丁度いいと思って試したわけ。まぁおかげで父さんとの関係もわかったしね。
………は?
……姉ちゃん……その話は聞いてないよ( '-' )
…………あっ………てへ☆
………絶対忘れてただろ( '-' )
ソンナコナイヨ( ・∇・)
あなたって顔に出やすいよな、昔から( '-' )
それ言うなーーーーー!!w
で、話しを戻しますけど………つまりあなたさん達のお父様が裏で指示をしていたというわけですか?
まぁ、そんなとこ
けど、姉さんが死んでから父さんは行方不明。探すにしても手がかりが全くなくてな……
探しようがないな………
だから………諦めた( ・∇・)
えw
いやだってさ?父さんのためにわざわざ探すのも癪だし!それに面倒だし( '-' )
………後者だな( '-' )
後者ですねw
後者に違いない( '-' )
後者ですね……w
後者だねw
後者っすね……
後者だな……
前者も有り得るかも……?
後者に一票( '-' )
ちょ、みんな酷くない!!!?合ってるけどさぁ!w
とにかく……2人とも無事でよかったよ
ご心配おかけしましたw
済まない……
まぁ、無事ならいいんじゃないかな?
そうですね!
そんな何気ない会話は長く続き、全員が帰ったあと。
滉がふと、衝撃的なことを言った。
………実はさ、俺も手術したんだよ。
そーなんだ、手術を………って………はい!?
そんなに驚くことか?
え、いや、だって………いつの間に………
あなたが寝てる時って言えば……分かるか
あー、なるほど( '-' )
………─────消えるかも知れない
……消えるって……刺青?
うん、消えるかも知れない………いや、多分…………消える。────あいつに撃たれたところ……刺青の場所だった。
滉は私にそう告げた。
そっか………良かった………
きっと火傷みたいな跡は残るだろうけど、でもあの黒い羽根はきっともう見えない。偶然に決まってるけど、最後にたった一つだけ……俺のためになることをしてくれたよ
………そっか
私は安堵した。───これで滉は自由になれた、本当によかったと心からそう思った時、私は滉に謝らねばならないことがあることを思い出した。
あのさ……滉
なに?
ごめん……
え?
私ね、あの日から……滉のこと護るって決めてた。なのに………護れなかった………結局、滉に怪我させちゃったし、負わなくていい傷を負わせてしまった………護るって決めたのに………ほんと情けない………
こんな……頼りないやつで───ごめんね
……あのさ、あなた。俺だってあの日からあなたのこと護るって決めてたし、そもそも俺があなたに怪我させたくなくてやった事だから………あなたが謝る必要もないし、あなたのせいじゃないから
…………滉………
大丈夫……あなたは情けない奴でもないし、頼りない奴じゃないよ。それは俺が一番よく知ってるから………だから、安心しろ
それに、あんなのは別に………大したことじゃないよ。………あんたを、誰かに奪われる痛みに比べたら………っ
!?
………あぁ、やっぱり……全部吹っ飛んだ
へ?
病院って何もすることがないんだよな。本を読むか、考えごとするか、それくらい。だから、次にあなたの顔を見たら、ああ言おう、こう言おうって色々考えてたんだけど………いざこの病室来て、こうしてあなたに触れたら………─────吹っ飛んだ
………滉………
………良かった。またこうして………あなたに触れられた………奪われずに………失わずに………済んだ
私は滉を抱きしめた。『もう大丈夫だよ』と言うように。────すると滉が口を開いた。
………──────好きだよ
……え?
一番大切で………一番きらきらしてて………一番目が離せない。あぁ、それと………一番危なっかしい
ゔっ………言い返す言葉も御座いません………
そこも含めて好きになったから、いいよ
ふふっ、ありがとう(*´ω`*)
一番欲しかったもの………俺は手に入れたよな?そう思っていいよな?
………もう、今更じゃない?w
………──────不安だから
私は滉の手を握った。
大丈夫、滉はもう手に入れたよ?……私は滉の側に居るよ。──────ずっと、隣に居るからね
…………うん
そんな会話をしながら、私は幸せだと感じていた。
それから1ヶ月後、私と滉は退院した。
続く
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