第9話

約束
75
2020/11/24 04:47
あなた

(ここは………どこだろう?暗くてよく見えない。)

あなた

(私は……何してたんだっけ?)

あなた

(あぁ、そうだ。四木沼と対峙して……撃たれたんだっけ。)

あなた

(………滉は?どこにいるの?)

暗い中で一人、自問自答していると……声がした。
………とても、とても懐かしい声が。
アヤノ
アヤノ
あなた!あなた!
あなた

(姉………さん?)

アヤノ
アヤノ
そうだよー!( *¯ ꒳¯*)
あなた

(どうして……?)

アヤノ
アヤノ
あなた、よく聞いて。
アヤノ
アヤノ
私の願いを叶えて欲しいの。
あなた

(願い?)

アヤノ
アヤノ
そう。
アヤノ
アヤノ
……私の願いは一つだけ
アヤノ
アヤノ
私の願いは………あなたと滉、つぼみと、幸助、修哉が幸せでいること
あなた

(え……)

アヤノ
アヤノ
それが私と、母さん。それから叔母さんの願いだから
あなた

(………姉さんは、幸せ?)

アヤノ
アヤノ
私は十分すぎるくらい幸せだよ!
あなた

(そっか………わかった。姉さんの願い、絶対に叶えるね!!)

アヤノ
アヤノ
ほんと?約束だからね?
あなた

(うん!約束)

アヤノ
アヤノ
あ、そろそろ行かなきゃ。
アヤノ
アヤノ
あなた。
あなた

(ん?)

アヤノ
アヤノ
修哉達によろしくね!………幸せになって。
───そこで、私は目覚めた。
あなた

………姉……さん……

星川翡翠
星川翡翠
あなたさん!
カノ
カノ
姉ちゃん!!
キド
キド
良かった……
セト
セト
目が覚めたんすね!
鵜飼昌吾
鵜飼昌吾
良かった………
汀紫鶴
汀紫鶴
無事で何よりだね( * ◜ω◝ )
鴻上滉
鴻上滉
あなた……
鷺沢累
鷺沢累
とりあえず手術は成功したので安心してください。でもしばらくは入院だそうです。
あなた

入院………

鴻上滉
鴻上滉
ちなみに俺も入院だから
尾崎隼人
尾崎隼人
滉……それ堂々と言うところじゃないからな?w
星川翡翠
星川翡翠
それより……さっきから気になってたんですけど……あなたさん……何故、泣いてるんですか?
あなた

……へ?

私は自分で気づかないうちに泣いていた。
みんなが心配そうにするので、観念して話した。
あなた

………夢にね、姉さんが出てきてね、私にこう言ったの。

みんなは私の話しを真剣に聞いていた。
あなた

願いを叶えて欲しいって。

鴻上滉
鴻上滉
………願い?
あなた

うん。

カノ
カノ
願いって……どんな?
あなた

『私の願いは一つだけ。あなたと滉、つぼみと、幸助、修哉が幸せでいること。それは私と母さん。それから叔母さんの願いだから』って

キド
キド
姉さん………
あなた

それでね、私聞いてみたの。姉さんは幸せかどうか。

鴻上滉
鴻上滉
姉さんは、なんて言ってた?
あなた

『私は十分すぎるくらい幸せだよ』って

セト
セト
……なんていうか………姉さんらしいっすね
キド
キド
だなw
尾崎隼人
尾崎隼人
つーか、あなたたちの姉さんって………
あなた

死んだよ。

星川翡翠
星川翡翠
え?
鷺沢累
鷺沢累
………理由を聞いても?
あなた

………自殺………したの。

鵜飼昌吾
鵜飼昌吾
………そう、なのか。
汀紫鶴
汀紫鶴
………そうか
しんみりした空気の中、カノが口を開いた。
カノ
カノ
あなた姉ちゃんはさ
あなた

ん?

カノ
カノ
姉ちゃんに生きて欲しかったって思ってる?
その質問に驚いた。なんでそんなことを聞くのか、修哉の意図が分からなかった。
カノ
カノ
僕は………姉ちゃんを助けたかった………でも、できなかった………まだ子どもだったから……でも、あなた姉ちゃんも同じはずなのに。なのに………姉ちゃんからは、寂しいとか悲しいとか………そんな感情が読み取れないんだよね
キド
キド
カノ!!
カノ
カノ
だってそーじゃん!!姉ちゃんが死んだ日もあなた姉ちゃんは泣いてなかった!!!普通泣くよね!?家族が目の前で死んだらさぁ!!!
その会話を聞いて、私はブチ切れた。
あなた

………るさい………

尾崎隼人
尾崎隼人
あなた?
あなた

………悲しかったに決まってるじゃん!!

あなた

辛かったよ!!姉さんが目の前で飛び降りてさ!!でも!!……泣けなかった……なんでだと思う……?

私は泣きながらカノに言った。全員が唖然としている中で。
あなた

私が………泣けなかったのは………同時に父さんが許せなかったからだよ………!!

あなた

つぼみたちの目の力の研究のためだけに姉さんが大切にしていた人たちの命を奪ったアイツが!!許せなかった…………

あなた

だから復讐してやろうと思って滉と一緒に調べてた。けど………見つかった情報は一つしかなかった………

星川翡翠
星川翡翠
それって………
鵜飼昌吾
鵜飼昌吾
?つまり……どういうことだ?
鴻上滉
鴻上滉
つまり………
滉がちらりとこちらを見ていた。
「言ってもいい?」と聞くように。
私は頷いた。
どうせ隠してもなんの得もないのだから。
鴻上滉
鴻上滉
見つかった情報は、あなたたちが居た孤児院の院長と叔父さんが裏で繋がっていたってことだけ。
カノ
カノ
え………?
セト
セト
どういうことっすか?
あなた

まぁ、見ればわかるか。

そう言って私は右側(撃たれてない方)の脇腹を見せた。
鷺沢累
鷺沢累
………それは?
あなた

火かき棒で叩かれた時の痣って言えば………わかるよね?

そう。私にだけある痣。引き取られる前、私はずっとカノ達を庇って自分だけ犠牲になるように仕向けていた。
カノ
カノ
………ごめん………姉ちゃん………
修哉は泣きながら謝っていた。
私はそんな修哉を抱きしめた。
あなた

私もごめん。修哉に当たっちゃったね……

尾崎隼人
尾崎隼人
でも、なんで修哉達を叩こうとしたんだ?
汀紫鶴
汀紫鶴
確かに
キド
キド
実は、その院長……情緒不安定らしくてな
セト
セト
噂じゃ職員にも当たってたらしいっす
あなた

だから丁度いいと思って試したわけ。まぁおかげで父さんとの関係もわかったしね。

キド
キド
………は?
カノ
カノ
……姉ちゃん……その話は聞いてないよ(  '-' )
あなた

…………あっ………てへ☆

尾崎隼人
尾崎隼人
………絶対忘れてただろ(  '-' )
あなた

ソンナコナイヨ( ・∇・)

鴻上滉
鴻上滉
あなたって顔に出やすいよな、昔から(  '-' )
あなた

それ言うなーーーーー!!w

星川翡翠
星川翡翠
で、話しを戻しますけど………つまりあなたさん達のお父様が裏で指示をしていたというわけですか?
あなた

まぁ、そんなとこ

キド
キド
けど、姉さんが死んでから父さんは行方不明。探すにしても手がかりが全くなくてな……
鵜飼昌吾
鵜飼昌吾
探しようがないな………
あなた

だから………諦めた( ・∇・)

尾崎隼人
尾崎隼人
えw
あなた

いやだってさ?父さんのためにわざわざ探すのも癪だし!それに面倒だし( '-' )

尾崎隼人
尾崎隼人
………後者だな(  '-' )
星川翡翠
星川翡翠
後者ですねw
鵜飼昌吾
鵜飼昌吾
後者に違いない(  '-' )
鷺沢累
鷺沢累
後者ですね……w
汀紫鶴
汀紫鶴
後者だねw
セト
セト
後者っすね……
キド
キド
後者だな……
カノ
カノ
前者も有り得るかも……?
鴻上滉
鴻上滉
後者に一票(  '-' )
あなた

ちょ、みんな酷くない!!!?合ってるけどさぁ!w

尾崎隼人
尾崎隼人
とにかく……2人とも無事でよかったよ
あなた

ご心配おかけしましたw

鴻上滉
鴻上滉
済まない……
汀紫鶴
汀紫鶴
まぁ、無事ならいいんじゃないかな?
鷺沢累
鷺沢累
そうですね!
そんな何気ない会話は長く続き、全員が帰ったあと。
滉がふと、衝撃的なことを言った。
鴻上滉
鴻上滉
………実はさ、俺も手術したんだよ。
あなた

そーなんだ、手術を………って………はい!?

鴻上滉
鴻上滉
そんなに驚くことか?
あなた

え、いや、だって………いつの間に………

鴻上滉
鴻上滉
あなたが寝てる時って言えば……分かるか
あなた

あー、なるほど( '-' )

鴻上滉
鴻上滉
………─────消えるかも知れない
あなた

……消えるって……刺青?

鴻上滉
鴻上滉
うん、消えるかも知れない………いや、多分…………消える。────あいつに撃たれたところ……刺青の場所だった。
滉は私にそう告げた。
あなた

そっか………良かった………

鴻上滉
鴻上滉
きっと火傷みたいな跡は残るだろうけど、でもあの黒い羽根はきっともう見えない。偶然に決まってるけど、最後にたった一つだけ……俺のためになることをしてくれたよ
あなた

………そっか

私は安堵した。───これで滉は自由になれた、本当によかったと心からそう思った時、私は滉に謝らねばならないことがあることを思い出した。
あなた

あのさ……滉

鴻上滉
鴻上滉
なに?
あなた

ごめん……

鴻上滉
鴻上滉
え?
あなた

私ね、あの日から……滉のこと護るって決めてた。なのに………護れなかった………結局、滉に怪我させちゃったし、負わなくていい傷を負わせてしまった………護るって決めたのに………ほんと情けない………

あなた

こんな……頼りないやつで───ごめんね

鴻上滉
鴻上滉
……あのさ、あなた。俺だってあの日からあなたのこと護るって決めてたし、そもそも俺があなたに怪我させたくなくてやった事だから………あなたが謝る必要もないし、あなたのせいじゃないから
あなた

…………滉………

鴻上滉
鴻上滉
大丈夫……あなたは情けない奴でもないし、頼りない奴じゃないよ。それは俺が一番よく知ってるから………だから、安心しろ
鴻上滉
鴻上滉
それに、あんなのは別に………大したことじゃないよ。………あんたを、誰かに奪われる痛みに比べたら………っ
あなた

!?

鴻上滉
鴻上滉
………あぁ、やっぱり……全部吹っ飛んだ
あなた

へ?

鴻上滉
鴻上滉
病院って何もすることがないんだよな。本を読むか、考えごとするか、それくらい。だから、次にあなたの顔を見たら、ああ言おう、こう言おうって色々考えてたんだけど………いざこの病室来て、こうしてあなたに触れたら………─────吹っ飛んだ
あなた

………滉………

鴻上滉
鴻上滉
………良かった。またこうして………あなたに触れられた………奪われずに………失わずに………済んだ
私は滉を抱きしめた。『もう大丈夫だよ』と言うように。────すると滉が口を開いた。
鴻上滉
鴻上滉
………──────好きだよ
あなた

……え?

鴻上滉
鴻上滉
一番大切で………一番きらきらしてて………一番目が離せない。あぁ、それと………一番危なっかしい
あなた

ゔっ………言い返す言葉も御座いません………

鴻上滉
鴻上滉
そこも含めて好きになったから、いいよ
あなた

ふふっ、ありがとう(*´ω`*)

鴻上滉
鴻上滉
一番欲しかったもの………俺は手に入れたよな?そう思っていいよな?
あなた

………もう、今更じゃない?w

鴻上滉
鴻上滉
………──────不安だから
私は滉の手を握った。
あなた

大丈夫、滉はもう手に入れたよ?……私は滉の側に居るよ。──────ずっと、隣に居るからね

鴻上滉
鴻上滉
…………うん
そんな会話をしながら、私は幸せだと感じていた。
それから1ヶ月後、私と滉は退院した。
続く

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