昨日、久しぶりにお酒を慣れていないのに大量に飲んだ事が仇となって、二日酔いになっている。
しかも、昨日毛布がうまくかかっていなかったからか、少し怠く感じるタイプの風邪気味でもある。
これぞ、満身創痍…
その時、丁度ドアがガラッ、と開いた。
やはり私が天田先生と同じ量のお酒を飲んで二日酔いなのだ。既に昨日の時点でベロンベロンになっていた天田先生はもっと酷いだろう。
その瞬間、天田先生がお腹を抑えながらしゃがみ込んだ。
実はその日事に交代制で、私はレベル1の担当。ナースは2週間事に変わるけど医師は一ヶ月事に変わる。担当がない日はナースも医師も「非番」になって基本的に雑務や資料を漁る事が殆ど。まだ私が来てからは担当部屋にナースがいる為鳴った事はないがナースコールが鳴った時はその部屋担当で非番のナースが駆けつける事がある。
と非番の医師を呼んだ。
そう思いながらも、私は天田先生と非番の医師をドアの前で見送った。
スラスラと、あっという間に報告書を書いた。後は、院長に提出するだけだ。
院長の書籍前
とドアをノックして入る。
レベル1病室にて
私は遂に覚悟を決めた。そして、愛華ちゃんに近寄る。
私には、5歳年上のお姉ちゃんがいた。
お姉ちゃんは優しくて、頼もしくて。でも、時より見せる弱い所も「お姉ちゃん」だった。
私が小学2年の時、親から「お姉ちゃんはとある病気に罹って治療するために病院に行った」と言われ、その日からお姉ちゃんは姿を眩ませた。
小学3年の時、お姉ちゃんの部屋を整理している時最後に家族一人一人に向けて短く書き綴っていた手紙を見付けた。中を読むと
「お母さんヘ。これまで育ててくれてありがとう。親不孝でごめんね。
お父さんヘ。今まで私の為に仕事を頑張っていたのに、ごめんなさい。私は二人の娘に産まれた事を後悔していません。ありがとう。
最後に麻耶へ。こんなお姉ちゃんでごめんね。いつか、いい子にしてたら、お姉ちゃんきっと帰ってくるから。」
とどこを取っても「お姉ちゃん」だった。
この手紙を見た親は号泣していた。
そこから、中学一年。お姉ちゃんが奇病を患って治療を受けている事を知り、私は志望を医師から奇病特別看護師に変更した。
一応医師の国家試験を受けたが、不合格だったので看護学校を受験して見事に合格。通う事になった。
私は息を飲んだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。