第6話

家出 カズハ
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2023/02/19 14:00
(なまえ)
あなた
…いっつもそうじゃん!
ズハオンニ、ほんとにひどい!
カズハ
カズハ
……
…この喧嘩が始まったのはほんの3分前位のこと。

最近ズハオンニは、私に対して凄く冷たい。

おやすみもなかなか言ってくれないし、正直辛い。

ズハオンニのインスタを見ても、大半がクラオンニとのツーショだったりウンチェに関する投稿だったり。

なんで、彼女の私とは撮ってくれないの?

いっつもそう言うけど、こうゆう時に限って喋らない。

…ズハオンニは、思えばずっとそうだった。

いつか昔に告白してきた癖に、付き合った瞬間たどたどしくなって。

ハグ、キスとか以前に手すら繋いだことはない。

奥手すぎるズハオンニとの付き合いも、いい加減疲れた。



…あぁ、もう、イライラしてきた。
(なまえ)
あなた
…もういい。私出るから
カズハ
カズハ
…えっ
泣きそうになるオンニを見ても、今日だけは何とも思わなかった。

可愛いとか、そんな気持ち本当に少しもなくて。
(なまえ)
あなた
さよなら
カズハ
カズハ
ちょっ…!
ズハオンニの遮る言葉を無視して、外に飛び出す。

はぁ、と溜息をついて、ロック画面を開く。

…ズハオンニの、横顔。

昔…付き合う前から、ずっとこの壁紙。

……たしか、付き合う前は両片思いだったんだっけ。
(なまえ)
あなた
…さむっ
とりあえず、誰か泊めてくれないかな。

そう思い、電話をかけたのは『あの人』だった。
(なまえ)
あなた
…うぅ〜
ドアを開けてくれた人にそのまま飛びつくと、「おんに!?危ないですよ〜」って支えてくれる。
(なまえ)
あなた
イソや〜
イソ
イソ
どうしたんですか?
こんな時間に…
私はこの可愛い後輩に、包み隠さず話した。

ズハオンニと付き合った時から構ってくれなかったこと。

最近構ってくれないし、進展がないこと…
イソ
イソ
…それは…あなたオンニが、カズハさんに飽きたんじゃないですか…?
(なまえ)
あなた
…私が、ズハオンニに、飽きた…?
言われてみればそうかもしれない。

前までは何をやっても様になるなぁ、なんて思ってたのに、最近はズハオンニが何をやっていても、どうでもいい、私には関係ないとしか感じなかった。
(なまえ)
あなた
…私、ズハオンニの事…好きなのかな…?
不安になってきて…

なればなるほど、本当は好きじゃなかったんじゃないか、って思えてくる。

悩みに悩んでいる間、不意に後ろからハグされた。
(なまえ)
あなた
…レイや〜
レイ
レイ
大丈夫です。
きっと、恋人さんとは上手く行きます!
レイに励まされると、本当に上手くいく気がしてきて…

スマホの画面を付けると、ズハオンニからの着信が1件だけ来ていて、背景画像にも可愛いオンニが居た。
レイ
レイ
…こんなに可愛い方と付き合ってるなんて、羨ましいですよ〜
レイが画面を覗き込みながらそう言ってくる。
イソ
イソ
…まだその写真を可愛いと思える間は、彼女さんの事好きなんじゃないですか?
家に帰って甘々な彼女さん見たら元気でますよ〜
語尾の方はテキトーに言うイソに、生意気な〜!って言おうとしたけど…ほんとにイソの言う通りだ。

…なんて考えてたら、本当に彼女からの着信が来た。
(なまえ)
あなた
もしもし?
カズハ
カズハ
…ごめん、私が悪かった…ぐすっ
泣いてるのか、嗚咽がたまに聞こえてくる。

それ位、私のことを好きで居てくれる事が本当に嬉しい。

私、オンニ達に嫉妬しちゃったんだ。

いっつもズハオンニと写真撮って、仲良さそうに抱き合って…

結局…ズハオンニに無関心になろうとしたのに、そんなこと出来なくて。

いつまでも好きなんだな、私。
(なまえ)
あなた
こちらこそごめん…
ただ嫉妬しちゃっただけだから…
そう言うと、ズハオンニは『良かった…』って言って泣き出してしまった。
レイ
レイ
…じゃあ、解決しましたし…帰りましょう!
レイはそう言うなり、私を宿舎から押し出した。
今、家の前。

何回か戸惑ってから、浅い呼吸をした。

ガチャ、と鍵を開けると、ほんのり彼女の香りがした。

そっと奥のリビングに進むと、ソファでぐっすり寝てる愛しの彼女が居る。

目が腫れていて…泣いてた事が分かって、ちょっとだけその頬に触れた。

暖かい頬に触れた瞬間、その冷たさに驚いたのか、オンニはぴくって眉を上げた。
カズハ
カズハ
…んぅ、?
ズハオンニは眉を顰めながら私を見ると、また泣きそうになってる。
(なまえ)
あなた
…オンニ、本当にごめん…
カズハ
カズハ
…私こそ、ごめん
彼女をそっと抱き寄せると、照れ笑いしながらもされるがままになってるオンニ。

…可愛い。


オンニの柔らかな唇に、そっと自分のものを重ねた。

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