第4話

孤独 へウォン※獣人パロ(2)
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2023/02/04 14:00
ぴょんぴょんと跳ねる狐の足音に、獲物だ、と思わず捕まえたが。

…こいつ、お父さんの獲物だ。完全に。
(なまえ)
あなた
…なに逃げようとしてんだ
じたばた暴れてるこいつに唸るように言うと、「触るなっ」「がるるっ」ばかり言ってやがる。
(なまえ)
あなた
そんなにうっせえと喰ってやるぞ
羽交い締めにしている手を解いて、背中から服を持って、半ば引きずる様にして部屋の中に入れた。

手頃なゲージの中に入れると、「キューン…」と鳴きやがる。

その顔を見て、自分が思ってたよりも全然可愛くて少し驚いた。
(なまえ)
あなた
肉、食え
ゲージの中に肉を放ると、両手で持ってちゃんと喰ってる。

何も食べさせられてなかったようで、目をとても大きく開いてる。

…獲物に肉あげるなんて、何やってんだ俺。
へウォン
へウォン
……。
食べ終わったようで、また「がるるるる…」と唸り出した。

ふと『可愛い』なんて感じてしまって、自分の気持ちに蓋をするように「グルルッ」と唸った。

獲物に好意を抱くなんて、俺は…本当に何をやってるんだ…?

一方その子は俺の唸り声に相当ビビったらしく、耳をぴたりと寝かせて上目遣いで見上げてくる。

その顔が、まるで「許して」と言ってるようで。
(なまえ)
あなた
…別に怒ってねえよ
ついそんな言葉が口から出ていた。
へウォン
へウォン
また…あの人のところか…
ふと、あいつが呟いた言葉が可哀想になって来て、「肉と水は俺がやるから安心しろ」と口走ってしまった。

俺は昼は暇だし、狩りに参加するのはたった5時間だけ。

寝るのも2時間で十分だからほとんどの時間をPCで費やしている。

あいつは尻尾を少し左右に振って、耳もちょっと立ってる。
(なまえ)
あなた
…そんなに嬉しいのか?
挑発するように言うと、「別に」と可愛らしくない返答。
(なまえ)
あなた
…ほんっと、お前可愛くねぇな
その瞬間、しゅんと垂れ下がる尻尾と耳。

白いモフモフの尻尾が垂れ下がると、本当にいけないことをしてしまったようでこっちまで悲しくなる。
(なまえ)
あなた
…全部、あんたの感情が尻尾と耳に出てるぞ
へウォン
へウォン
…うるさい
照れたようにそっぽを向いてるけど、耳が真っ赤。
(なまえ)
あなた
…可愛いとこ、あんじゃん
へウォン
へウォン
…っ、ぅ、うるさい…
こうゆうところを見ると『ツンデレも悪くないな』なんて思ってしまう。

──────…ギィーッ…

ドアの音がした。

お父さんが帰ってきた音。

獲物にゲージから出ろ、と合図すると、泣きそうになりながら出てきた。
(なまえ)
あなた
…父さん、獲物逃げてた
へウォン
へウォン
…がるるる…
塾の先生達
塾の先生達
チッ、逃げやがって…
だからクソは嫌いなんだ…
あなたの下の名前、新しい獲物を頼む
(なまえ)
あなた
了解。
ハイエナ達から仕入れる
ドアを開けたところにいた父さんに獲物を預けて、他の獲物を見物しにPCを立ち上げた。


…一刻も早く、あいつを引き取りたかった。




誰かのために尽くすのは、これが初めてかもしれない。







孤独が、怖かった。

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