第2話

森の出会い
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2018/12/04 05:44
「っ…!」

殴られた傷、そして体力も限界だった。

「…ここで休もうかしら。」

木陰で休もうとしたその時。

笛の音が聴こえた。

「とても綺麗な音だわ…」

アリスは音のする方へ近付いた。

すると、木の枝を踏んでしまい音が出てしまった。

ピキ

「誰だ!」

笛の音は止み、こちらへ誰かが近付いてくる。

「…っ!」

アリスは引き返そうとするが…

バタン

転んでしまった。

「君!大丈夫!?」

そこには優しそうな男の子がいた。

「ええ…大丈夫よ、大丈夫…」

立ち上がった瞬間、グラりとふらつき倒れてしまった。

「ちょっと…!!」

そこで私の意識は途絶えた。



パチ

目が覚めると、そこにはさっきの笛の男の子がいた。

「あ、よかった。目が覚めたんだね。」

男の子は優しく声をかけてくる。

「あなたは…誰?」

「僕はハリー。…君は?」

「私は…アリスよ。」

「どうして、君はこんなにボロボロなんだ??誰かに殴られたのか…?」

ハリーは手の甲で頬を撫でる。

「…っ!大丈夫よ、大したことないわ。」

「だーめ。見せて。」

そう言うとハリーは私の髪をかきあげ、頭の傷を見る。

「これ…酷いな。」

するとハリーはカバンから塗り薬のようなものを出した。

「これ、塗ってもいい?」

「…いいわ」

薬を塗るハリーの顔が近付く。

「っ…」

お互いに顔が近いことに気がつくと

「ごめ…ん」

「…」




この出会いが恋の始まり、悪夢の始まりでもあった。

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