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第1話

悲劇のアリス
202
2018/12/04 05:27
「なんで眼帯なんて…」

「不気味だよ」

村の中を歩く私に向かって村人達はひそひそと呟いた。

「アリス、大丈夫か?」

「!ペーター!」

ペーターとは私の幼馴染で、いつも味方をしてくれた、優しい男の子。

「ありがとう。私なら大丈夫よ。気にしてないわ」

「そ…っか。なんかあったら俺に言えよな。」

「うん!わかったわ!」

「ペーター!こっちの果物運ぶの手伝ってくれ」

「はーい!!俺行くね。じゃ」

そう言い、ペーターは行ってしまった。

これが最後の会話になるとは私は知る由もなかった。


「アリス、ちょっといいか?」

そう村長は私に声をかけた。

「…?なんでしょうか」

「急なことなんだが…この村を出て行ってくれ。」

「え…?」

私は持っていた籠を落とす。

「今なんて…」

「村人達はお前を奇妙がっている。だから」

「そんな!!」

そこに、大きな大人達がやってきた。

「連れて行け。」

「…!?やめて!!きゃっ…」

私は必死に抵抗した。

ペーターに会えなくなるのも嫌、家族にだってもう会えない。

「やめてっ…離して…」

すると大人達は

ガッ

鈍い音が響いた。

棒状のもので殴られた。

私は倒れてしまう。

そして、足で踏みつけられ、複数の大人達に蹴られ続けた。

「痛い…やめ…て…」

意識を失いそうになりそうになったその時、
ペーターがたまたま通りかかった。

「ペーター…たす…け…て」

「おい!!何してんだよ!!」

ペーターがそう言うと村人達が集まってくる。

「ペーター。関わるのはやめた方がいい。」

「あんな奇妙な子に近づいちゃだめよ」

「…っ!!」

ペーターは村人達に引き留められるも、私を助けに大人達に向かって殴り掛かろうとした。

「ペーター…!危ない!」

ペーターは大人達に殴られ、血を流した。

「わかったわ!わかったから…やめて!私が村を出ていくわ」

そう言うと大人達の暴行はぴたりと止んだ。

「アリス…アリスだめだ!」

「…ペーター。ごめんなさい。」

私はなんとか立ち上がると、暗い森の中へと歩いていった。

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