前の話
一覧へ
次の話

第1話

天然少女は気づかない
80
2020/04/14 08:45
春ーーーーそれは出会いの季節。

そして、けじめをつける季節でもある。
天月翼
天月翼
よしっ
俺は今日、16年想いを寄せ続けた幼馴染に、告白する。
❦❦❦❦
小牧恵
小牧恵
入学式、晴れてよかったねぇ〜
天月翼
天月翼
ああ
小牧恵
小牧恵
私、この学校の制服なんか好きだ!
天月翼
天月翼
・・・そうか
小牧恵
小牧恵
あ〜! 絶対なんとも思ってないでしょ⁉
幼馴染のめぐみの言葉に、ギクリと思わず肩をすくめる。
天月翼
天月翼
べ、別に・・・。
その制服も似合ってんじゃねーの?
小牧恵
小牧恵
えへへ。そうかな〜
翼くんも似合ってるよ
とっさに出た言葉に、恵は一瞬ジトッと俺を睨む。
が、またいつもの上機嫌な表情に戻ると、桜並木を駆け出した。
天月翼
天月翼
おい待てよ!
小牧恵
小牧恵
ねえ、翼くんはさ・・・
どうしてこの高校にしたの?
“そんなの・・・恵がいるから”
流石にそれはキモいか??

でも、彼奴の側にいれるなら、理由はなんでもいい。
小牧恵
小牧恵
翼くん・・・?
天月翼
天月翼
・・・学校の偏差値?
小牧恵
小牧恵
えぇ〜ww
嘘だぁ!
小気味よくクスクスと笑う恵の腕を取る。
天月翼
天月翼
なあ、すーーーー
明石透
明石透
おーい! 席後ろの人〜!
一緒に帰らん?
中西恭弥
中西恭弥
明石、なんか今は不味くない?
タイミング的に・・・
明石透
明石透
そうなん???
タイミングってなんなん?
中西恭弥
中西恭弥
いや、だから・・・
こいつら‼

掴んだ手が若干緩みそうになる。
恵が困惑しているのが、伝わってくる気がした。 

でもまだ、あいつらとは(若干)距離がある。
想いを伝えられるのは今しかねぇ・・・!
天月翼
天月翼
あの・・・ずっと前からSーーーー
向井美月
向井美月
小牧じゃん!
お前も帰りこっちなのか?
八代真奈
八代真奈
よければ、一緒に帰りましょう?
小牧恵
小牧恵
あ、向井さん! 八代さん!
ちょっと待ってて〜
明石透
明石透
なあなあ、あまっち〜。
タイミングってなんなん?
あ、勝手にあまっちって呼んでもたけど、
ええやんなぁ?
上機嫌に言うと前の席の人・・・・・が、俺の肩に手を置いた。
俺は反射的に、恵の腕を離した。
向井美月
向井美月
小牧ぃ!
天月翼
天月翼
ほら、友達呼んでんぞ。早く行けよ
小牧恵
小牧恵
ああ、うん!
じゃあね、翼くん!
明石透
明石透
あ!女のコおったん・・・!
気ぃつかんかったん。堪忍な
中西恭弥
中西恭弥
ごめん。お取り込み中だった?
こいつ空気読めないから
明石透
明石透
ええ! 今日初めてあったんに酷い〜
中西恭弥
中西恭弥
自己紹介の時、自分で言ってたんじゃん
天月翼
天月翼
・・・お前ら、
空気読めないってそういうとこだぞ
明石透
明石透
あまっち・・・⁉
中西恭弥
中西恭弥
(“ら”?)
これが3週間前のこと。
❦❦❦❦

そして、現在ーーーー
天月翼
天月翼
ホントいいタイミングで来てくれたよなぁ
明石透
明石透
恭! あまっちが褒めてくれたん!
中西恭弥
中西恭弥
絶対違うでしょ・・・
翌日、俺と恵が幼馴染ということが2人に明らかになったのは、言うまでもない。

プリ小説オーディオドラマ