春ーーーーそれは出会いの季節。
そして、けじめをつける季節でもある。
俺は今日、16年想いを寄せ続けた幼馴染に、告白する。
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幼馴染の恵の言葉に、ギクリと思わず肩をすくめる。
とっさに出た言葉に、恵は一瞬ジトッと俺を睨む。
が、またいつもの上機嫌な表情に戻ると、桜並木を駆け出した。
“そんなの・・・恵がいるから”
流石にそれはキモいか??
でも、彼奴の側にいれるなら、理由はなんでもいい。
小気味よくクスクスと笑う恵の腕を取る。
こいつら‼
掴んだ手が若干緩みそうになる。
恵が困惑しているのが、伝わってくる気がした。
でもまだ、あいつらとは(若干)距離がある。
想いを伝えられるのは今しかねぇ・・・!
上機嫌に言うと前の席の人が、俺の肩に手を置いた。
俺は反射的に、恵の腕を離した。
これが3週間前のこと。
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そして、現在ーーーー
翌日、俺と恵が幼馴染ということが2人に明らかになったのは、言うまでもない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!