私は店を出た後、街の中をゆっくり歩いていた。
目には次々と涙がこぼれてくる。
ドンッ
途中、誰かとぶつかってしまった。
聞き覚えのある声だった。
涼くんだった。
私は涼くんに連れられて、近くのカフェに入った。
「どうぞ」
店員さんから、コーヒーとミルクティーが運ばれた。
私はカフェに入ってから少しは落ち着いたものの、まだ心が痛い。
私は目の腫れを抑えるためにトイレに向かった。
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涼太side
あなたがトイレに行った後、
ブー ブー
机の上に置いてあったあなたのスマホがなった。
画面には「北ちゃん」と表示されていた。
たぶん、あの彼氏だろう。
俺は電話に出た。
電話の向こうで息の切れている声が聞こえてきた。
そして、俺は電話を切った。
あなたがトイレから戻ってきた。
少し笑うようになったけど、無理して笑っているみたいだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!