第36話

江口's STORY[6]
571
2022/05/16 21:59
江口拓也
江口拓也
へぇ…





俺は、宏太朗が安元さんと廣瀬くんに叫ぶ言葉を聞いた。





普通の人間なら、こんな反応はしないだろう。
江口拓也
江口拓也
宏太朗…
そんな顔もできたんだ。
…俺にはしてくれなかったのに。



心の中に渦巻くドス黒い嫉妬心に、我ながら重症だなと鼻で笑う。
江口拓也
江口拓也
さ!
宏太朗と会えることだし、もう一度計画を見直すか。




そう言って俺は、ケータイを見る。



普段はゲームばかりしているケータイも、今は大事な調べ物の手段だ。



一つの間違いも許さない。



だって、宏太朗が苦しんじゃうでしょ?



だから、ちゃんとやってあげないと。



辛い顔を見るのは嫌だ。








『バンッ』




銃声がなった。


江口拓也
江口拓也
さっきよりも大きく聞こえる!
本当にすぐそこにいるじゃん♪
『バンッ、バンッ』
江口拓也
江口拓也
…派手にやってるなぁ




こんなにも俺に対して必死になる俺の恋人が可愛すぎる。



いよいよこのショーもフィナーレを迎えることだろう。




最高の終焉を。




江口拓也
江口拓也
さぁ、おいで。
大好きな先輩を待たせないで?
俺はもう我慢できないよ?
早く、早く俺のモノに…




そして、宏太朗がこちらに向かってくるのをGPSで確認すると、俺は笑みを浮かべた。




























その笑い方は、さっきの宏太朗とそっくりだった。

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