俺は、宏太朗が安元さんと廣瀬くんに叫ぶ言葉を聞いた。
普通の人間なら、こんな反応はしないだろう。
心の中に渦巻くドス黒い嫉妬心に、我ながら重症だなと鼻で笑う。
そう言って俺は、ケータイを見る。
普段はゲームばかりしているケータイも、今は大事な調べ物の手段だ。
一つの間違いも許さない。
だって、宏太朗が苦しんじゃうでしょ?
だから、ちゃんとやってあげないと。
辛い顔を見るのは嫌だ。
『バンッ』
銃声がなった。
『バンッ、バンッ』
こんなにも俺に対して必死になる俺の恋人が可愛すぎる。
いよいよこのショーもフィナーレを迎えることだろう。
最高の終焉を。
そして、宏太朗がこちらに向かってくるのをGPSで確認すると、俺は笑みを浮かべた。
その笑い方は、さっきの宏太朗とそっくりだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。