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第12話

ten
1,784
2021/08/08 10:02
クルーウェルside



『えるせんせー、えるせんせー!』


ク「…?どうした、仔犬」


小テストの採点をしていると、あなたが俺を呼んだ。
珍しいな、いつもは仕事をしている時は大人しくしているというのに。


『これ、えるせんせいにあげる!(((にこ』


そう言い、あなたが俺に渡したのは小さな袋。


ク「…中を見ても?」


『うんっ(((にこ』


袋を開け中を見ると、そこにはところどころ歪な形をした小さめのドーナツが入っていた。


ク「ドーナツ、か?」


『うん、つくったのー!いっつもね、えるせんせいとか、お兄さんたちいっぱいがんばってるからね、
えるせんせいたちに、がんばったでしょう!(((にこ』


…ふ、がんばったで賞、か。


ク「ありがとう、あなた。
…で、これは誰と作ったんだ?まさか一人で作ったんじゃないだろうな」


もし一人で作ったのだとしたら、それはそれで評価するべきだが…。
一人では危険だからな。火傷などしたらどうする。


『んーん、とれーくんがてつだってくれた!』


ク「とれい…ああ、三年のトレイ・クローバーか。
ちゃんと礼は言ったか?」


『うん、いったよ!(((にこ』


ク「good girl!」


クローバーか…、後で礼を言っておくか。


『せんせい、おしごとつかれたら食べてね!
ちゃんとね、せんせいがげんきになるように、いーっぱいきもちいれたから!(((にこ』


ク「ふ、ああ。味わって食べるよ。

ありがとう、あなた」


優しく頭を撫でればえへー、と頬を緩ませるあなた。


ク「…それにしても、何故ドーナツにしたんだ?
菓子なら他にも色々あっただろう」


『ば○とけろよんだー!』←


ク「…成る程な」


その後、あいつは他の先生方にドーナツを渡しにいった。
中のドーナツを一口食べる。
ほぉ、初めてにしては中々美味いじゃないか。
…今度、何かあいつに買ってやるか。

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