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第3話

第一章 2
74
2021/01/09 11:07
高麗 愛紅 (こうり あく)
赤城…楽しい?
急に変な質問してくんなよ
と思いながらも俺は質問に答える
赤城 星渚 (あかぎ せな)
楽しい事もあるけど
楽しくないこともある
圧倒的に楽しくない事の方が多い。
高麗 愛紅 (こうり あく)
あそ…
高麗は素っ気ない返事をすると
白い錠剤を飲んだ。
赤城 星渚 (あかぎ せな)
お前がいつも飲んでるそれ
なんなの?
ふと気になって聞いてみる
高麗 愛紅 (こうり あく)
危ない薬では無いよ
赤城 星渚 (あかぎ せな)
違くて、何のために飲んでんの?
高麗 愛紅 (こうり あく)
さぁわかんない
これ飲むと気分が良くなって
何にも考えれなくて、楽になる。
30分くらいで切れるけど。
それどう考えても危ない薬だろ。
と言いたかったけど
高麗が何を飲もうと
俺には関係ない。
きっと高麗も思っているだろう
私が何を飲もうと赤城には
全く関係の無い事だと。
高麗 愛紅 (こうり あく)
空瑠くんどこ行ったんだろうね
赤城 星渚 (あかぎ せな)
今更何だよ。
もう何年も前の事だろ?
赤城 星渚 (あかぎ せな)
俺達だってもう高2なんだ。
高麗 愛紅 (こうり あく)
まだ3年しか経ってないじゃん
赤城 星渚 (あかぎ せな)
3年もたってんじゃねえかよ
空瑠あくる みなと
空瑠は中学の同級生だった
俺らは中学の時
あの日、あの場所で
自分を変えてしまった
高麗 愛紅 (こうり あく)
何でこーなったんだろ
高麗 愛紅 (こうり あく)
何で私達だったのかな?
考えたって分からない
質問をしてくる高麗が
鬱陶しくなって俺は立ち上がった
高麗 愛紅 (こうり あく)
どこ行くの?
赤城 星渚 (あかぎ せな)
サボり。
帰り際に一言だけ
俺は高麗に言った。
赤城 星渚 (あかぎ せな)
お前、
薬で頭おかしくなったんじゃねーの。
暗い階段を降りて
裏門を飛び越えて学校から出る
まだ真昼間だ。
トイレで制服から私服に着替えると
学生だとは思われなかったようで
特に不審な目をされる事は無かった。
人通りの多い道を歩いていると
ドンっと誰かの肩にぶつかる
赤城 星渚 (あかぎ せな)
っ…すいません
空瑠 湊 (あくる みなと)
いえ、こちらこ…そ…
赤城 星渚 (あかぎ せな)
空瑠…?
空瑠 湊 (あくる みなと)
赤城!!
空瑠 湊 (あくる みなと)
久しぶり!!
元気してた??
赤城 星渚 (あかぎ せな)
まぁ…そっちは?
空瑠 湊 (あくる みなと)
まぁまぁってとこかな、
赤城 星渚 (あかぎ せな)
お前今、行方不明って事に
なってんじゃねえの?
空瑠 湊 (あくる みなと)
そう。
赤城 星渚 (あかぎ せな)
帰んねぇの?
空瑠 湊 (あくる みなと)
まぁ…色々あって…さ
これ以上は
言いたくないない
と思っている気がしたから
それ以上はきかなかった。
空瑠 湊 (あくる みなと)
なぁ久しぶりじゃん?
どっか入って話そーよ
赤城 星渚 (あかぎ せな)
ん、
俺達はカラオケに入ると
ジュースを飲みながら話し始めた
空瑠 湊 (あくる みなと)
赤城、もう高2だよね?
赤城 星渚 (あかぎ せな)
お前もだろ。
空瑠 湊 (あくる みなと)
学校とか行ってんの?
赤城 星渚 (あかぎ せな)
うん
空瑠 湊 (あくる みなと)
楽し?
赤城 星渚 (あかぎ せな)
まぁまぁってとこかな。
空瑠 湊 (あくる みなと)
高麗は?
どうしてるか知ってる?
赤城 星渚 (あかぎ せな)
同じ高校だよ。
元気にやってる、
空瑠 湊 (あくる みなと)
そ、
他わいも無い会話を何時間もした
切り出すのはいつも空瑠からだった
空瑠 湊 (あくる みなと)
なぁ直球に聞くけどさ?
赤城 星渚 (あかぎ せな)
うん、何?
やっと本題か、
と思いながら重い空気の中
俺は残りのジュースを
口に流し込んだ。
空瑠 湊 (あくる みなと)
赤城はさ…
どんな力、持ってんの?
赤城 星渚 (あかぎ せな)
俺?
空瑠 湊 (あくる みなと)
うん。
赤城 星渚 (あかぎ せな)
人を洗脳出来るw
俺が笑いながら言っても
空瑠は笑わなかった。
きっと俺とは力が違うのだろう。
高麗もそうだった。
血を見て覚醒する、
というのは一緒らしい。
でも高麗の力は
相手の心を色んな状態に
変えることだった。
赤城 星渚 (あかぎ せな)
空瑠は?
そう聞くと空瑠は
大きな息を1つつくと
話し出した
空瑠 湊 (あくる みなと)
驚かずに聞いてくれよ?
俺は小さく頷いた
やけに真剣なそのトーンに
体が強ばる
空瑠 湊 (あくる みなと)
俺、血を見ると
その時殺したいと思った奴のこと、
殺せる。
俺は初め驚きすぎて
息をするのも忘れていた。
苦しくなってきて
自分が息をしていない事に気づく。
急いで息を整えて
空瑠に向き直る
赤城 星渚 (あかぎ せな)
まじ?
空瑠 湊 (あくる みなと)
驚くなって言ったじゃん
いや…驚くなって言う方が無理な話だろ。
有り得ない…
でも俺だって空瑠だって高麗だって
不思議な力を手に入れてる。
じゃあなんだってありなんじゃないか?
そう言われればそんな気がしなくもない
その会話を最後に
俺達はカラオケ屋を出た。
あたりは真っ暗だった、
俺達はその後各々の帰るべき場所に帰った
最後にアドレスだけ交換して
俺達は駅で別れた
俺と空瑠は逆方向の電車だった。
線路を2個挟んだ先のホームに
空瑠の姿を見つけて
軽く手を振った
空瑠も手を振り返した。
電車が来るのは俺の方が早かった
現実感が無いまま電車に乗りこみ
俺は家に帰った。

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