急に変な質問してくんなよ
と思いながらも俺は質問に答える
高麗は素っ気ない返事をすると
白い錠剤を飲んだ。
ふと気になって聞いてみる
それどう考えても危ない薬だろ。
と言いたかったけど
高麗が何を飲もうと
俺には関係ない。
きっと高麗も思っているだろう
私が何を飲もうと赤城には
全く関係の無い事だと。
空瑠 湊
空瑠は中学の同級生だった
俺らは中学の時
あの日、あの場所で
自分を変えてしまった
考えたって分からない
質問をしてくる高麗が
鬱陶しくなって俺は立ち上がった
帰り際に一言だけ
俺は高麗に言った。
暗い階段を降りて
裏門を飛び越えて学校から出る
まだ真昼間だ。
トイレで制服から私服に着替えると
学生だとは思われなかったようで
特に不審な目をされる事は無かった。
人通りの多い道を歩いていると
ドンっと誰かの肩にぶつかる
これ以上は
言いたくないない
と思っている気がしたから
それ以上はきかなかった。
俺達はカラオケに入ると
ジュースを飲みながら話し始めた
他わいも無い会話を何時間もした
切り出すのはいつも空瑠からだった
やっと本題か、
と思いながら重い空気の中
俺は残りのジュースを
口に流し込んだ。
俺が笑いながら言っても
空瑠は笑わなかった。
きっと俺とは力が違うのだろう。
高麗もそうだった。
血を見て覚醒する、
というのは一緒らしい。
でも高麗の力は
相手の心を色んな状態に
変えることだった。
そう聞くと空瑠は
大きな息を1つつくと
話し出した
俺は小さく頷いた
やけに真剣なそのトーンに
体が強ばる
俺は初め驚きすぎて
息をするのも忘れていた。
苦しくなってきて
自分が息をしていない事に気づく。
急いで息を整えて
空瑠に向き直る
いや…驚くなって言う方が無理な話だろ。
有り得ない…
でも俺だって空瑠だって高麗だって
不思議な力を手に入れてる。
じゃあなんだってありなんじゃないか?
そう言われればそんな気がしなくもない
その会話を最後に
俺達はカラオケ屋を出た。
あたりは真っ暗だった、
俺達はその後各々の帰るべき場所に帰った
最後にアドレスだけ交換して
俺達は駅で別れた
俺と空瑠は逆方向の電車だった。
線路を2個挟んだ先のホームに
空瑠の姿を見つけて
軽く手を振った
空瑠も手を振り返した。
電車が来るのは俺の方が早かった
現実感が無いまま電車に乗りこみ
俺は家に帰った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!